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措置

僕は目を閉じていて、意識だけが帰ってきた。何があったか、どこで意識が飛んだかまで瞬時に思い出せたので、怖いが、恐る恐る目を開けた…。


すると、あの碧姉の反応からやたらと事の重大さを思い知らされ、それからした予想と、あまり違わない展開になっていた。もちろん話すまではここまでは予想していなかった…。


何だか今まで見たどんな金属より金ぴかで頑丈そうな格子が部屋の一面で、他面も同じ金属っぽい壁になっている牢に入れられているようだ。

拷問を受けて殺される覚悟まではできていなかったが、大抵のことは覚悟できていた。

きっと彼女の仲間か種族で集まって、今僕をどう処理するかの議論中じゃないかと、安易だが想像する。


普通に考えて消されるわな…何で彼女が理解してくれるなんて思ったのだろうと、今更ながら思っていると、格子を隔てた廊下(この牢部屋は建物の一室に過ぎない。廊下もその壁も金ぴかだ)を彼女が歩いてきて、僕の牢の前で立ち止まり、僕の方を見据える。

彼女はもう人間の姿はしていなかった。服もいつも透けてた方が纏っていたカジュアルでラフな感じと異なり、人間でいう正装のような雰囲気のものを身につけていた。


しかしここからの予想は裏切られた。


彼女は言う。


「ごめんね ゆうくん。正体を知られたらこうしなきゃ、バレたときどちらも死ななきゃいけない。だから手荒にしてしまったの。本当にごめんなさい。

ゆうくんは何も悪くないと、私は思ってるし、ゆうくんのことは好きよ?…だからわたしも頑張ってみたけど……、あぁ ごめんなさい!あなたをもう元の世界に戻すことはできないの……」



最後は涙声だった。しっかり僕の目を見据えて離さないまま、涙を流して謝る人がいれば、もう何されて死んでも構わないと思った。


何にバレたらなのか、何に対して頑張って闘ってくれたのかは言わないが、おそらく地球にいる目的と関係のある、地位的に上の者たちと思われる。が、そんなことはどうでも良かった。そんなことより彼女の身を案じた。僕のせいで彼女にも罰が下るなら全力で阻止せねばならない。

僕が口を開こうとしたとき、先に彼女が言葉を続けた。



「それでね、ゆうくん。本当に申し訳ないんだけど、私が元々いた星に、住んでほしいの」




「!!???」





消されるんじゃないの!??




人生で一番驚いた。まだ8年だけど。



「頑張った」ってどれだけ頑張ったんだ!!



僕は感謝どころじゃない尋常でないありがたみを感じると、胸が詰まり、涙が溢れ、無意識に檻の存在も忘れて



「碧姉…!!」




と碧姉に飛びついた…つもりが、


でこに ものすごい衝撃を感じると、視界が暗転し、驚く碧姉の顔も見えなくなった………

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