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慌てて教室に飛び込み、引き出しから現国のノートを引っ張り出す。

持ってきた世界史のノートを直すのは面倒だったので、机の上にそのまま放り出す。

そのまま、視聴覚室まで走ろうと思った。

トロイ自覚はあったし、現に時間もない。

自分のドジで遅刻したくなかったのもあるし、どこか胸がざわざわして、シーンと静まり返った教室に1人と云うこの状況が、落ち着かなかったから。

最近は、それが何より怖かったから。

教室に1人でいたら、室井先生がやってきて・・・・・・。

誰もいないのが分かると、物凄く近くによってきて、「僕は父親なんだから」と肩を抱こうとしたり、髪を触ろうとしたりする。

その状況が思い出されて、気持ち悪くて仕様がなかったから。

早く、優子ちゃんや麻美ちゃんのいる視聴覚室へ・・・・・・・・・・そう、扉に行くよりも早く、扉が凄い音を立てて開く。

それこそ叩きつけるように、引き戸が勢いよく開いて、その勢いのまま扉が閉まり、また跳ね返って薄く扉が開く。

そんな扉の前に、室井先生がいた。

「な、ん・・・・・・・・・」

なんで?

帰ったって、各務先生が朝・・・・・・・・。

その思いより何より、その異様な風体に、扉に向かいかけた身体が自然と後ずさる。

「・・・・・・・・・・・・・カエデ」

縋るような、ざらざら粘つくような声に、一瞬で身体全体に鳥肌が立つ。

気持ち悪い。

怖い。

名前なんて呼ばないでっ。

そう叫んでしまいたかった。

だけど、叫ぶ・・・・・・・声を発するのも怖かった。

どう見ても、室井先生は普通じゃなかったから。

「おいで、カエデ」

さし伸べられる手。

いつものべったり後ろに撫で付けられている髪が、見る影もなくボサボサにあっちこっちに跳ねている。

ジャージの下でさえ、緩めているのを見たことがないネクタイが曲がって、胸元まで緩んでいる。

Yシャツのボタンもネクタイの緩んだネクタイの結び目まで開き、そのあたりまでがなぜか濡れて、変色していた。

アレが汗だというなら、間違いなく異常だ。

そう、異常。

いつもの、淡々として馬鹿にするようにしか生徒を見ない細い目が、真っ赤に血走ってギラついている。

伸ばされた腕・・・・・・・スーツの袖が、何かで引っ掛けたのか、ほつれて糸が出ている。

何よりも、教室・・・・校舎の中なのに、外履きだと分かる革靴でいる、意味がわからない。

何をとっても異常だ。

見た目も雰囲気も声も目も表情も。

何もかもがっ。

「おいで、カエデ」

肌の上を舐めうように、ザラザラまとわりつくような声に、鳥肌だけじゃない寒気がする。

また一歩、近づいてくる・・・・・・異常な姿の恐怖に、後ずさる・・・・・・・・そのお尻に机がぶつかるが、それを確認する余裕はない。

怖くて、先生から目が逸らせない。

視線を逸らしたら、それで何かが終わりそうな・・・・・・・・異常。

怖くて身体が勝手に震える。

歯の根が噛み合わず、カチカチなり始めるが、自分でもどうしていいか・・・・・・・どうしようもなかった。

「・・・・・・・・・・・・・・来いと、言ってる・・・・・・・・・だろうがっ!!!!!」

唾を飛ばして、机をなぎ倒し、呂律の回らない舌で突然叫んで向かってくるその姿に、声にならない悲鳴を上げかけた。

怖くて動けなかった。

机をお尻で押しのけようにも、教室の広さなんて限られてる。

何よりも、逃げようとする足がもつれ、今にも座り込んでしまいそうで、力が入らない。

捕まる!!

そう思った時、やけにのんびりした声がかかった。

「はいはい、そこまでですよ。室井先生」

それは、間違い様もない藤堂君の声で、その声を聞いた瞬間に足から完全に力が抜けて、へたたりこんでしまう。

目の前の異様な室井先生さえ、驚いているのか、藤堂君の立つ方を見て固まって・・・・・・・・。

「あ、もう、先生じゃないですよね」

ニコニコとした藤堂君の顔が、室井先生の頭越しに見える。

藤堂君は普段着なのか、グレーのシャツに薄手のジャケットにジーンズといった、とても高校生には見えない私服で室井先生を笑顔で見下ろしていた。

「玲人、退け」

低い東條君の声が聞こえて、本当に藤堂君の頭を押しのけて、押し出すようにして入ってくる。

東條君もまた、Tシャツジーパンに革製のジャケットを羽織った姿。

その私服姿は、どこからどう見ても高校生に見えない。

東條君は特に、大学生すらも通り越して、社会人の遊び着に見えてしまうぐらいで。

「退け」

小さな声で、何をするでもなくそう言っただけで、異様な空気を醸し出す室井先生が、怯えたように、素直に東條君の為に道をあける。

東條君は「退け」と言った一瞬だけ、室井先生を見た。

それだけ。

それだけで、東條君は室井先生なんかいないかのように、それからは真っ直ぐに私を見て、腕を取って引っ張り上げて立たせてくれた。

「大丈夫か?」

「・・・・・・・う、ん」

足腰力が入らなくて、東條君の腕に支えてもらわないと、自分じゃ立てないぐらいぐにゃぐにゃだけど、とりあえずは大丈夫。

東條君達が来てくれたし。

「怖い思いさせて、ごめん」

ポンポンと頭を撫でられ、東條君に促されて、誰かの机の上に座らされる。

私が後ろ向きに逃げたのと、先生がなぎ倒した机の所為で、席順がわからないほどグチャグチャだった。

見るも無残な教室の光景。

それでも、そこに東條君がいるだけで安心できた。

もう怖いことはないって思えた。

「まあ、これで、橘さんも、少しは危機感覚えたでしょ」

「お前はやりすぎなんだよっ!!」

楽しそうな藤堂君の言葉に、東條君が間髪いれずに凄い勢いで怒鳴るが、藤堂君は楽しそうに肩をすくめるだけ。

物凄く、東條君怒ってるみたいなんだけど・・・・・・・・・。

「俺としては、もう少し様子見て怖がらせた方が、今後の為だと思うけどね」

「黙れ!!」

「黙ってたら、この状況、章吾が解説してあげるの? ついでに騒ぐと、人が集まるよ?」

「そ、それは・・・・・・・・・」

私が机から落ちないように、肩を支えてくれる東條君は気まずそうに教室の外を見て、藤堂君はその姿を見てさらに笑う。

ゆっくりと、室井先生に視線を流して、笑みを深めて。

「で、警察呼ばれたいですか? それとも、出頭しますか?」

「ぼ、僕はっ」

「あぁぁ、叫ばないでくれます? 煩いし、僕にはあんたがどうなろうと知ったこっちゃないんで」

楽しそうにしか見えない藤堂君の言葉に、室井先生はなぜか首を振り、頭を抱えて、体を捻り、私に手を伸ばし・・・・・・・・・・・。

「こっち、見んな、腐れ変態」

東條君が、先生の視線を遮るように、私の前に移動する。

訳がわからないまま、離れて行く東條君の体温に不安になって、ざらざらした革のジャケットに触れれば、東條君の背中はとっても温かかった。

「まあ、精々、可愛がってもらった後は、死ぬまで身を粉にして被害者に慰謝料払い続けてください。ヤクザ相手に、支払い能力ないなんて言い訳が通用するとは思わないように。臓器売らせてでも、きっちり請求分、払わせますから」

言ってる意味は何となく分かるんだけど、それがどうしてそうなるのかがわからないと言うか・・・・・・・・。

ガシャンと凄い音がして、室井先生の姿が消えた。

嫌、藤堂君の言葉で力尽きたように崩れたんだ。

泣いているのか床に蹲って震えている大人の男の人。

頭をかきむしりながら、顔も服もぐしゃぐしゃにして泣き崩れる、情けない姿。

不安のままスベスベして柔らかい革ジャケットを・・・・・・掴んで皺を寄せるのもなんだか怖い気がして、背中を滑るよう裾を持てば、東條君から妙な声が上がる。

「んっ」

「東條君?」

「章吾、悶えてないで、先生達に捕まる前に逃げるよ。橘さん連れてきて」

「連れてってお前っ」

東條君が、私の疑問に思った言葉そのままを口にし、その直後に遠くで扉が開く音がした。

隣のクラス?

それからすぐに、廊下から声がかかった。

「藤堂? お前、今日は家の事情で欠席の連絡が」

「章吾!」

「くそっ。じっとしてろよ!!」

何が・・・・・・・と云う暇もなかった。

体がふわりと浮き、気がついたら、東條君の肩に担がれて、教室の外に出ていた。

「へ? え・・・・・・エエエエっ!!!」

「橘さん、喋ってると舌噛むよ」

なんなの?

何が起こってるの?

そんな当たり前の疑問は、どう見ても感じても、全力疾走で逃げてるらしい東條君達に聞ける状況でもなく、男の人の肩に担がれた状態で学校から逃走って言うおかしな状況を体感するしかなかったのである。










素直に、感想は「訳がわからない」である。

人一人抱えてるとは思えないスピードで走り続けた東條君は、追いかけてくる先生たちを近づけもせず、そのまま学校を脱出。

目が回ってると云うか、目まぐるしい展開に全くついていけずに真っ白になった私を、藤堂君が東條君の肩から下ろし、藤堂君がまたがったバイクに乗せられ・・・・・・・・・・・。

3人乗り、やろうと思えばできるんだね。

東條君と藤堂君の間に挟まれる形で大きなバイクに乗って、そのまま・・・・・・・・・・連れて来られた、多分その・・・・・・・そっち系のホテル。

訳がわからないまま、藤堂君にお姫様抱っこで入り口カウンターへ。

藤堂君の知り合いなのか「勘弁してください」と頭を下げるカウンターの大学生風のお兄さん。

すぐに東條君がやってきて、藤堂君からまた東條君に私が渡されたと思ったら、エレベーターに乗せられて、降りて廊下歩いて、部屋に入る、まる。

訳がわからないまま、わりと普通に大きなベッドの上にぺたんと座っていたら、差し出されるお茶のペットボトル。

「大丈夫か?」

東條君の顔が心配そうに歪んでいる。

「うん、多分?」

自分でも、何が大丈夫で多分なのかも分からない。

わからないけど、色んな混乱で喉が乾いていたから受け取ったお茶を飲もうと、蓋をあけようとして、掴んだ手が震えて力が入らずクルクル回る。

「貸せ」

東條君がお茶のペットボトルを抜き取り、蓋をはずしてからまた渡してくれる。

「ありがとう」

「章吾ってば優しいぃっ」

「玲人!!」

お茶を飲む目の前で、東條君と藤堂君がジャレている。

ジャレているのは分かるけど・・・・・・・・・・・・・。

「東條君、ペットボトルの蓋は?」

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

二人の目が、変な生き物を見る目で自分に向けられている。

なんでだろう?

蓋しないでペットボトル持ってたら、お茶零れるかもしれないのに。

「・・・・・・章吾。だから言ったんだよ」

「いや、混乱でボケてるだけだろっ」

「ボケてるのは元からっ。見なよ、この姿」

びしっと、藤堂君の指が私に向けられる。

なんで?

「あぁぁ・・・・・・・うん。俺が甘かった」

そしてなぜか、東條君は藤堂君の胸倉掴んだまま項垂れる。

何が、起こってるんだろう?

訳がわからないまま、でも、ペットボトルの蓋はほしいと東條君を見ていれば、胸倉捕まれたままの藤堂君がにっこり微笑んだ。

「何のサービスか知らないけど、スカート乱れてるよ」

胸倉捕まれたまま、にこやかに藤堂君の指が向けられた先は、私の足。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!!」

藤堂君の指摘の通り、ちょっとでも動けばパンツが丸見えになるだろう捲れ具合に、慌てて・・・・・・・・・・・・。

「東條君、蓋ぁ」

ベッドの上にはペットボトルを安全に置けるスペースはない。

このままじゃ零れるし、この姿は流石に、なるべく早くなんとかしたいと泣きつけば、物凄く疲れた顔で、東條君にペットボトルの蓋を差し出された。

ローテーブルの上にあった蓋を無言で掴んで差し出す姿は、怒ってるのか疲れてるのか、よくわからなかったけど。










危機感ないのはわかってたが、ここまでないと・・・・・・・・・・・どこから突っ込めばイイのか分からない。

ボケるのも大概にして欲しい。

ついさっき、襲われかかったってのに、ラブホに男2人に連れ込まれて、スカート捲れあがってるのも気にせず、ペットボトルのお茶が零れることをひたすら心配するその思考が、訳がわからない。

女は確かに訳がわからないが、その中でも橘は追随を許さない。

物凄く変な女。

手間がかかって・・・・・・・。

ペットボトルの蓋をきっちり閉めてからスカートを引っ張って戻し、ベッドの上で正座した・・・・・耳まで真っ赤になりながらもやっぱり危機感なく座る橘の姿に溜息が出る。

「お前、いい加減学べ」

「?」

なにがとそのまま翻訳できそうな不思議そうな顔には溜息しか出ない。

「頑張れ」

にこやかに肩を叩く玲人の手を叩き落し、やっぱりわかってない橘を見てからソファに座る。

「玲人」

俺にはもう、気力はない。

任せたと投げやりに言えば、玲人は楽しそうにハイハイと口を開く。

「昨日の話は覚えてる?」

「あ、うん。2人がなんとかするからって、助けてくれたのは分かるんだけど・・・・・・・」

まあ、不安だっただろう。

なんとかするとは言われていたが、次の日には言い切った本人達がいない。

その上元凶がわけの分からないままとってつけた理由で姿見せなくなれば、余計不安は募ったはずだ。

よく、電話を掛けてもなかったものだと感心する。

まあ、橘ならではと思わないでもないが。

「不安だったろ? なんで、電話してこなかったの?」

同じ事を考えていたらしい玲人の言葉に、橘は困ったように笑う。

「2人が学校着てないのは、確かに不安だった。けど、先生が体調不良で帰ったって各務先生から言われて、2人が何かしてくれたんだろうなって。二人が来てからちゃんと話し聞けばいいかなって。お家の都合だって先生から聞いたし、待つしかないだろうって思ったから」

「「・・・・・・・・」」

玲人と俺の溜息が綺麗に重なる。

どんだけ、お前は危機感がない!?

「俺言ったよね? 橘さんも注意しないと怖い目にあうって」

「あ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あれ? もしかして、2人とも室井先生がおかしくなるのわかってた?」

今頃か!?

それを、今頃言うのか!?

「自棄になって、橘さんに何かしらするだろう予測はついてたよ」

「そっか。助けてくれてありがとう」

にっこりと、疑うことを知らないのか笑う橘には、いい加減キレた。

「イイ加減にしろ!! 俺達が行かなければ、お前っ」

「あぁぁっ、章吾、抑えて抑えて!!」

立ち上がった俺を、後ろから玲人がソファに座らせようとする。

それを払いのけてから、俺は、橘が座るベッドに乗り、橘の鼻先まで顔を寄せる。

「その上、男2人の目の前で平然と、ベッドに座ってるなんて、どんな神経だ? 押し倒すぞ」

「へ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

少し怖がらせるつもりで、トンと肩を叩けば、橘は簡単にベッドに転がり、遅れて、目がだんだんと潤んで・・・・・・・・。

「あ゛」

マズイ。

やりすぎた!!

そう思っても遅かった。

橘の潤んだ目からボロボロボロボロ涙が零れる。

「い、あ、そ、そのっ、俺はっ」

「あぁぁぁ。章吾ってば、野獣」

歌いだしそうな玲人の言葉が暢気に響く。

「茶化すな!!!」

これ幸いと、ベッドから飛び降りて暢気に笑う玲人に掴みかかれば、後ろで・・・・・・・・いつになく素早い動きで橘がベッドの隅に逃げるのが分かった。

「あのね、橘さん。その場合はベッドの奥に逃げるんじゃなくて、一か八かでも俺達突き飛ばして扉に行くのが正解だと思う」

「ぬわぁぁっ! 違う!!」

おかしなコトを言い出すなと、玲人を突き飛ばしてから橘を見れば、ただでさえ小さな体を丸めて、ベッドの隅、壁に張り付くようにして布団を引っ張り上げてもぐりこんで震えていた。

なんだ、この生き物は?

「なんか、子猫が涙目で毛を逆立ててる感じ? もしくは兎がライオン前にプルプル震えてる?」

「玲人!!」

本気で茶化すなと怒鳴ってから、きっちり頭を下げる。

布団に目元までどっぷりもぐりこんでる橘に見えるかどうかは怪しいが、やらないよりマシだろう。

「悪い、やり過ぎた。怖がらせる・・・・・・・・つもりがなかったとは言わないが、押し倒したりしないっ」

「えぇっ? そんな約束しちゃってイイの? 後々困るのは」

「玲人!!」

こいつは、どこまで人をおちょくれば・・・・・・と本気で殴ってやろうかともう一度胸倉を掴んだら、後ろからまた、か細い泣き声が響いた。

「怖いコト、しない?」

涙に濡れて、赤くなった目元。

高く細い声は完全に震えていて庇護欲を一層誘う。

不味いんじゃないのかって意識のまま、玲人の胸倉掴んだまま顔だけ振り返れば、真っ赤に染まった目元を潤ませたまま、橘が布団を首まで引っ張り上げた状態からちょこんと顔を出し、耳まで真っ赤にさせて見上げてくる姿は、見た目的にはもう・・・・・・。

「・・・・・・・・・・・うわぁ、思いっきり逆効果」

「・・・・・・・・・・・玲人、いっぺん死んでみるか?」

気持ちは分かるが、お前は頼むから黙ってろ!!!

ソファの上にとりあえず玲人を放ってから、もう一度、橘に向けて頭を下げる。

「もう、怖がらせたりはしないっ。話をするだけだ」

「・・・・・・・・・」

無言の重い空気に、こんな時こそ馬鹿言えと玲人を呪うが、玲人はきっとニヤニヤ笑ってるだけだ。

モソモソとベッドの上で動く音が響き、ゆっくりと伺うように顔を上げれば、橘はベッドの上をヨタヨタと近付いてきて、ベッドの端に正座して俺を見上げる。

「仲直り、ね?」

涙目の、全身ほんのり赤く染めたままの姿で微笑むオマケつき。

橘?

お願いだから、状況考えた言動を取ってくれ。

ベッドの上で涙目で上目遣いで笑顔って、どんだけ・・・・・・・。

そんな思いは当然橘には伝わるわけがなく、玲人の楽しそうな「章吾頑張れ」の笑い声が響く。

元凶である当の本人は、笑い続ける玲人を不思議そうに眺めているだけだったが。

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