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ヌヴェル39 兎も七日

作者: 寺澤樹生
掲載日:2026/09/23

智史は、転校を繰り返していた。

いつも、いじめが原因だ。

智史は、いじめられやすいのかもしれない。

仲のよい友だちもできるのだが、彼がいじめられるようになると、みんな避けるようになり、逃げていった。


気づいてくれる先生もいた。

でも、そんな先生は、智史に転校を勧めるのだ。

何故、いじめられている者が逃げていかなければならないのか。

被害者じゃないか。

加害者である者が、何食わぬ顔で暮らせるというのは可笑しいのではないか。

智史は、いつも怒りがふつふつと沸いてくるのだ。


この学校でも、智史の堪忍袋の緒が切れようとしていた。

いじめグループにクラスから連れ出され、体育館の裏手にきていた。


その頃、智史の家では・・・

「美佐江さん、これ、智史持っていくの忘れよったんとちがうか?」

祖父の茂が、智史の母親・美佐江に見せたのは、智史の空手着の入った袋だ。

今日学校の帰りに道場に寄る予定だった。

「明日、空手の昇段試験じゃろう?もう何段になるんかのう?」

「次上がれば、五段ですわ」

「すごいのう。そや、この空手着わしが学校まで持って行ってやろか?」

「お父さん、そうしていただけると助かります」


いじめグループは、ご推察のとおり智史によってボコボコに打ちのめされました。

“兎も七日なぶれば噛みつく”ということわざがあります。

おとなしくかわいい兎も、毎日のようになぶっていれば、噛みついてくる。それと同じように、どんなに優しい人でも長期間にわたっていじめられたり、辱めを受けると怒り出すということです。

クラスへ戻る途中、智史は考えた。

「また転校かな?空手の昇段試験受けられるかな?・・・どこに行っても何なんだろう?これって・・・」


いじめは、いじめる側といじめられる側だけでなく、はやし立てる「観衆」や、見て見ぬふりをする「傍観者」が存在することでも悪化する。

いじめをなくすには、学校や家庭、地域社会などの周りの大人が連携して、早期発見と未然防止に注力することが重要であり、それは鋭意取り組まれていると信じたい。


この学校も、いじめ問題に本腰を入れることになる。

どうやら、智史の祖父である茂が結構、切れたみたいだ。


参考 文部科学省 学校におけるいじめ問題に関する基本的認識と取組のポイント


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― 新着の感想 ―
智氏が、もっと早く空手5段の力を見せていたら、転校までする必要がなかったのかも…… 被害者に転向を進めるやり方は、駄目ですね。
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