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目覚めたら、魔王に転職!? ~底辺スタートから世界統一はじめました~  作者: ふじなみ


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第9話 ―― 露店オープン初日と、恨みの叫び


ルミナス街のギルド裏路地。


朝の陽光が石畳を照らす中、

ルシフェリア、リリ、アリアの三人は

小さな木箱を並べて露店を準備していた。


ルシフェリアはアリアの糸で編んだハンカチとお守りを並べ、

リリの香りを染み込ませた布を軽く振って匂いを広げた。


「よし……『癒しの糸お守り』、完成!

 丈夫で壊れにくいし、香りで癒される……

 これなら、冒険者さんたちに喜んでもらえるはず」


アリアは蜘蛛の脚を丁寧に折りたたみ、

恥ずかしそうに言った。


「フェリさん……私の糸、

 こんなに綺麗に売ってもらえるなんて……ありがとうございます」


リリは香りを少し強めて、周囲にふわりと広げた。

「これで、通りかかった人に『いい匂い』って思ってもらえれば……

 自然と寄ってきてくれますよ」


最初の客は、

朝のクエストから帰ってきた冒険者パーティーだった。

疲れた顔の剣士が、ふと立ち止まって鼻を動かした。


「……なんだ、このいい匂い……おい、なんか癒されるぞ」


ルシフェリアは笑顔で呼びかけた。

「いらっしゃいませ!『癒しの糸お守り』です。

 アラクネの糸で編んで、特別な香りを染み込ませました。

 クエストの疲れが取れるかもですよ〜」


剣士は懐から銅貨を5枚出して、1つ買った。


「へえ、確かに丈夫だな。

 これで少しは癒されるかも……ありがとよ」


次々と冒険者が寄ってきて、銅貨がポロポロと入る。

ルシフェリアは内心で喜んだ。

(やった……!これで毎日少しずつお金が貯まる。

 子供たちの保護資金にもなる……)


そのとき、リリが小声で耳打ちした。

「フェリちゃん……さっきの情報通り、

 ギルド裏の廃墟でまた暴発があったみたいです。

 冒険者たちが『またあのガキどもか』って怒ってました……

 場所は特定できたので、今夜行けそうです」


ルシフェリアの目が真剣になった。

「わかった。露店はアリアに任せて、私とリリで今夜行く。

 子供たちを……絶対に助ける」


夕方、露店を閉めた後、

ルシフェリアとリリは街外れの廃墟に向かった。


廃墟の入り口は崩れた壁と雑草に覆われ、

中から小さなうめき声と、

時折「バチッ!」という火花の音が聞こえた。


ルシフェリアは深呼吸して、廃墟の中へ踏み込んだ。


「みんな……大丈夫?私たち、助けに来たよ……」


暗闇の中から、怯えた目がいくつも光った。

体を巨大化しかけた子オークが拳を握りしめて叫んだ。


「また……魔王の使いか!?魔王のせいで……親が死んだんだぞ!

 僕たちを……また捨てる気か!?」


翼を震わせた子ワイバーンが涙を流しながら叫んだ。

「魔王なんて……大嫌い!

 あいつが戦争起こさなければ……お母さん死ななかった!

 お前も……魔王みたいな匂いがする……!」


体を膨張させた子トロルが地面を叩きながら吠えた。

「近づくな! また……僕たちを道具にする気か!?

 魔王みたいに……使い捨てにする気かよ!もう……誰も信じねえ!」


小さな炎を噴き出した子サラマンダーが震える声で呟いた。

「……魔王のせいで……みんな死んだ……

 私たち……怪物だから……誰も助けてくれない……

 もう……いらない……」


子供たちは一斉に叫び、暴発の兆候が強まった。

廃墟の壁が揺れ、炎がちらつき、

風圧が吹き荒れ、地面が震え始めた。


ルシフェリアは胸が締め付けられる思いだった。

(前魔王への恨みが……こんなに深い……

 子供たちにまで、こんなに傷を残してる……

 私が新しい魔王だって知ったら、もっと怖がるかも……

 でも、だからこそ……私が塗り替えないと)


リリがすぐに前に出た。

「みんな……落ち着いて……」


リリは深呼吸し、なけなしの魔力をかき集めて、

【魅惑の薔薇香】を優しく広げた。


甘い香りが廃墟全体を包み込み、

子供たちの感情の高ぶりを少しずつ和らげていく。


巨大化しかけていた子オークの体がゆっくり元に戻り、

翼を震わせていた子ワイバーンの翼が静かに折りたたまれ、

体を膨張させていた子トロルの膨張が収まり、

小さな炎を噴き出していた子サラマンダーの炎が消えていった。


リリは優しく微笑みながら、香りをさらに柔らかく調整した。

「怖くないよ……

 私たち、みんなを傷つけない。

 一緒にご飯食べて、魔力の暴発を抑える練習をしよう?

 もう一人で怯えなくていいよ」


子供たちは互いに顔を見合わせ、

巨大化しかけていた子オークが震える声で言った。

「……僕……ガルって言うんだけど……

 本当に……守ってくれるの……?

 魔王みたいなやつじゃ……ないの……?

 また……裏切らない……?」


翼を震わせていた子ワイバーンが涙を拭いながら続けた。

「……私はレイラ……

 魔王のせいでお母さん死んだ……

 お前も……裏切らないよね……?」


体を膨張させていた子トロルが地面を叩くのをやめ、呟いた。

「……ザクだ……

 魔王みたいに……使い捨てにしない……?」


小さな炎を噴き出していた子サラマンダーが震える声で言った。

「……ミナ……

 もう……いらないって言われない……よね……?」


ルシフェリアは強く頷いた。

「うん。約束する。

 ガル、レイラ、ザク、ミナ……みんな、私の……仲間になって」


子供たちはゆっくりと涙をこぼしながら、

ルシフェリアの手を取った。


その瞬間、ステータスに変化が起きた。

【レベル:4 に上昇】

【魔王の支配契り(Lv.1) → Lv.2】

効果強化:住民の能力をさらに強化。

魔力共有範囲が拡大。

住民の暴発を一時的に抑えられる。


ルシフェリアは心の中で決意した。

(これで……子供たちも守れる。

 前魔王の恨みを、私が塗り替える。

 露店を大きくして、みんなの居場所を作っていく……)


――底辺魔王の成り上がりは、露店と同時に、

 新たな住民たちを迎え入れ、大きく動き始めた。


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