第37話 ―― 帝国特務隊の接近と、影の足音
本日1本目~。
魔王城の修復は、
仲間たちの手で着実に進んでいた。
外壁の本補強は半分を終え、
玉座の間の天井も仮組みが完了。
朝の陽光が差し込むたび、
少しずつ「居場所」らしい形が見えてきた。
ルシフェリアは広間で、
レオン、リリ、ルナ、ガルムたちと次の作業を話し合っていた。
「次は、王の寝室の壁と床の修復ね。
ガルムさん、石材の運び込みをよろしく」
ガルムは岩肌の腕を叩き、
「任せろ。この城、俺の手でまた立派にしてみせる」
レオンは剣を腰に差したまま、
「俺は周辺警備を強化する。
帝国の気配が、少しずつ近づいてる」
ルシフェリアは頷き、
「ありがとう、レオン。
みんな、無理はしないでね」
その時、セレナが魔法陣から現れた。
表情はいつもより硬い。
「フェリ……悪い知らせよ。
帝国の特務隊が、ルミナス国境に集結してるわ。
目的は、『剣の亡霊の奪還』……
そして、あなたの調査。数は30人以上。
指揮官は、帝国の精鋭『銀狼騎士団』の副団長よ」
ルシフェリアは息を飲んだ。
「レオンを……連れ戻そうと……」
セレナは静かに、
「そう。帝国は、レオンを『神の使徒』として祭り上げてた。
あいつがいなくなったことで、帝国の威信が揺らいでる。
……特務隊は、もうすぐ、交易路の近くまで来るわ。
明日の朝には、接触してくる可能性が高い」
レオンは剣の柄に手をかけ、
「俺が、相手をする。帝国の犬だった俺が、
今はフェリの仲間だ。……それを見せつけてやる」
ルシフェリアはレオンの手を握り、
「レオン……ありがとう。
でも、一人で戦わせない。
みんなで、守り合うよ」
リリは優しく、
「私も、月桂香でみんなを支える。
痛みを感じづらくして、戦えるようにするね」
ルナは杖を握りしめ、
「私も!火の玉連射で、
援護します!風の壁で、みんなを守ります!」
ルシフェリアはみんなの顔を見て、
静かに決意した。
「みんな……ありがとう。
帝国が来るなら、私たちの道を、ちゃんと見せよう。
……調和の力で、守ってみせる」
セレナは小さく頷き、
「商会も、裏から支援するわ。資材の追加輸送と、
逃走ルートの確保は任せて。……フェリ、気をつけてね」
ルシフェリアはみんなに微笑み、
「うん。みんなで、この城を守ろう」
その夜、ルシフェリアは魔王城の窓辺で、
遠くの国境を見つめた。
(……帝国の特務隊……レオンを、
連れ戻そうとしてる。
でも、レオンはもう、私の仲間。
……私たちの道を、邪魔させない)
レオンがそっと近づき、
「フェリ……俺は、
お前のために剣を振るう。……恐れるな」
ルシフェリアはレオンの手を握り、
「うん……一緒に、守ろう」
――帝国特務隊の影が迫る中、
魔王城の仲間たちは、静かに決意を固めていた。
底辺魔王の成り上がりは、新たな試練の前に立っていた。




