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目覚めたら、魔王に転職!? ~底辺スタートから世界統一はじめました~  作者: ふじなみ


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第31話 ―― 幕間:三つの視線

1本目~


【ヴェルディア魔王国 覇王の自室】

覇王は部下の報告を聞き終えると、

静かに手を振って退出させた。扉が閉まった瞬間、

玉座の威厳はどこへやら、覇王はローブを脱ぎ捨て、

ベッドにドサッと倒れ込んだ。


「ふぅ……疲れたわぁ……」

長い黒髪をぐしゃぐしゃにかき回し、

枕に顔を埋める。


「ルシフェリア、ねぇ……あの子、ほんとに真っ直ぐでさ。

 『みんなが安心して暮らせる場所』って、あんな顔で言うんだもん。

 ……ちょっと、ずるいよね」

体をゴロゴロ転がしながら、 天井に向かってぼやく。


「調和の道も、いいよな~……

 みんなが笑って暮らせる世界かぁ……

 俺も、そんな世界で生きられたら、

 どんなに楽だったか……」

少し間を置いて、自嘲気味に笑う。


「でもさぁ……俺、転生した時から、

 武力特化のスキルしか貰えなかったじゃん。

 絶対攻撃、無限闘争、支配の眼光……

 全部、闘争するための力ばっかり。

 生き残るためには、力で支配するしかなかったんだよ……

 今さら『やっぱ調和にします~』って、

 言えるわけないじゃん……」

枕を抱きしめて、

頰を少し赤らめながら、小さく呟く。


「優柔不断すぎる自分、嫌いじゃないけど……

 ちょっと嫌いかも……

 ……でも、あの子に会った瞬間、なんか、ドキッとしたんだよね。

 赤い目も、真っ直ぐな瞳も、全部……可愛いっていうか、

 ……あれ?俺、惚れかけてる?

 ……いやいや、そんなわけないじゃん!覇王だぞ?

 俺は力で統一する王だぞ?

 ……でも、もう一回会いたいかも……」


覇王は枕に顔を埋め、もぞもぞと体を丸めた。

「まぁ……もう少し、見てみようかな。

 あの子がどこまで行けるか。

 俺の道を、本当に邪魔できるのか……

 それとも、俺の道に、ちょっとだけ混ざってくれるのか……

 ……それとも、俺が、あいつの道に、混ざっちゃうのかな……」


瞳に浮かんだ赤みが、ほんの少し柔らかく揺れた。

「ルシフェリア……お前、俺をどう揺さぶるつもり?」


【ヴェルディア魔王国 側近室】

使者が退出した後、

側近室には三人の将軍が残った。

女性将軍・ヴェラが腕を組み、静かに言った。

「覇王様の瞳が、一瞬だけ揺らいだ。

 あの小娘の言葉が、刺さったのは間違いない」


巨漢の将軍・ガルムが拳を握り、

「ふざけるな。覇王様は、力で統一する王だ。

 そんな甘い言葉で、心が揺らぐはずがない!」


若手の参謀・ゼオンが冷静に、

「ガルム、覇王様を過小評価するな。

 覇王様は強いからこそ、新しい道に興味を持つ。

 弱い王なら、自分の信念を曲げない。

 だが、覇王様は違う」


ヴェラが冷たく、

「その通りだ。覇王様は、

 『調和』という道を、初めて真剣に考え始めた。

 俺たちは、覇王様の剣だ。

 覇王様が調和を選ぶなら、俺たちはその剣になる」


ガルムは拳を握りしめ、

「……くそっ。俺は、力で統一する道を信じてる。

 覇王様が、道を変えるなら……俺は……」


ゼオンが静かに、

「俺たちは、覇王様の側近だ。

 覇王様の意志が、俺たちの意志だ。

 それだけだ」


三人の視線が、交錯した。


【ルミナス王国 ギルド本館】

ギルドマスター室。

エルドリックは窓辺に立ち、国境方向を睨んでいた。

部下が報告を終えた。

「マスター……廃墟の交易路が、

 商会名義で本格的に動き始めました。

 護衛隊は8人編成。剣の亡霊も参加しています。

 荷物は食料と薬草の見本……

 成功すれば、月間銅貨5000枚は固いそうです」


エルドリックは目を細め、

「商会名義……セレナか。

 フェリは表に出ていないが、

 裏で動いているのは間違いない」


部下が続けた。

「剣の亡霊は、帝国の特務任務として参加していますが、

 最近、ルミナス国境の報告が途絶えています。

 帝国側は焦っている様子です」


エルドリックは低く笑った。

「剣の亡霊が、フェリの側に傾いている……

 可能性があるな。

 帝国は、あいつを『神の使徒』として保護しているが、

 本当の正体は……まだわからない」


エルドリックは窓から視線を外さず、静かに言った。

「交易路の動きを監視しろ。

 フェリ……お前が、本当に『調和』を望むなら、

 俺は……見守る。

 だが、もし違うなら……俺が止める」


【エテルナス帝国 特務隊本部】

帝国の特務隊本部は、焦燥感に包まれていた。

司令官が机を叩き、

「剣の亡霊が、報告を途絶えさせている!

 国境任務の最中だというのに、

 何日も音沙汰がない!」


部下が頭を下げ、

「帝国の監視網でも、彼の位置が掴めません。

 最後に確認されたのは、ルミナス国境の商会近く……

 商会名義の護衛隊に、参加している可能性が……」


司令官は顔を歪めた。

「商会……あの女、セレナか。

 剣の亡霊が、あそこにいるなら……

 帝国の『神の使徒』が、ルミナス側に寝返る可能性が……

 絶対に許さん」


司令官は立ち上がり、

「新たな特務隊を編成しろ。

 剣の亡霊を、連れ戻す。……必要なら、力ずくでな」


帝国の影が、静かに動き始めていた。


――三つの勢力が、

 それぞれの思いを胸に、

 静かに次の手を考えていた。


覇王視点めっちゃ熱い!!

覇王も転生者にしてます!

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