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目覚めたら、魔王に転職!? ~底辺スタートから世界統一はじめました~  作者: ふじなみ


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第30話 ―― 覇王との対面と、揺らぐ信念

本日ラスト


セレナの商会裏の隠し部屋。


フェリが到着すると、セレナがすでに準備を整えていた。

「フェリ……覇王に会うのに、

 ルミナス国の民として失礼のない恰好にしないとね」


セレナは黒と銀の刺繍が入ったシンプルだが上品なドレスを差し出した。

肩から薄いマントが流れ、腰に細いベルトを巻き、

全体が控えめながらも品格のある装いになっていた。


髪は軽くまとめ、赤い目は隠さず、

むしろその特徴を「高貴な血筋」として活かすように整えられている。


「これなら、覇王の前でも、

 『ただの民』ではなく、『対等に話せる存在』として映るわ。

 角と目は隠さない。むしろ見せつけておきなさい。

 覇王は、血筋に敏感だから」


フェリはドレスを着替えながら、

「ありがとう、セレナさん……すごく綺麗」


セレナはくすりと笑い、

「似合ってるわ。

 ……覇王があなたに興味を持った理由、少しだけ話しておくわね」


セレナは声を落とした。

「ヴェルディアの諜報網は、ルミナス国内にかなり食い込んでるの。

 フェリが『赤い目の少女』として現れ、

 隠れ店舗で癒しのお守りを売り始めた頃から、

 覇王の耳に入っていたわ。

 最初は『ただのサキュバス商売人』だと思ってたらしいけど……

 交易路を復活させて、

 しかも『支配』じゃなく『調和』を掲げて成功し始めた瞬間、

 覇王の中で何かが変わった」


フェリは鏡を見ながら、

「変わった……?」


「そう。覇王は、『力による統一』しか信じてこなかった。

 でも、あなたが力を使わず、お守りだけで人々を繋げ、

 交易路まで復活させたのを見て、

 『別の道もあるのかもしれない』と、

 初めて疑問を抱いたらしいの」


セレナは少し真剣な顔で続けた。

「覇王は、自分の信念が揺らぐのを恐れてる。

 だからこそ、あなたに会いたがってるわ。

 『本当に調和で世界は変わるのか?』

 それを確かめたいんだと思う」


フェリは深呼吸して、

「わかりました。行ってきます」


中立地帯の廃墟交易所跡。

剣の亡霊は同行せず、

フェリはセレナの使いとミリアスだけを連れて現地に到着した。


やがて、黒いマントをまとった長身の男が、

一人でゆっくりと歩いてきた。


影の覇王。

赤みがかった瞳と、圧倒的な威圧感。

しかし、その目に、わずかな揺らぎが見えた。


覇王はフェリの前に立ち、低く言った。

「ルシフェリア……お前が、『調和の魔王』か」


フェリは静かに、

「はい。あなたが、影の覇王様ですね」


覇王は目を細め、

「お前の交易路、俺の国境を脅かしてる。

 だが、俺は怒ってない。むしろ、興味がある」


フェリは深呼吸して、

「覇王様……私は、力で統一する道は選ばない。

 みんなが安心して暮らせる場所を、

 少しずつ作っていきたいんです」


覇王はしばらく沈黙した後、

「……面白い。俺は、力でしか世界は変わらないと思っていた。

 だが、お前の道を見て、初めて疑問を抱いた」


覇王は一歩近づき、

「俺の統一は、弱者を切り捨てる道だ。

 お前の調和は、弱者も含めて生きる道……

 どちらが正しいか、まだわからない。

 だから、俺は見守ることにする。

 だが、もしお前の道が俺の統一を邪魔するなら……

 容赦はしない」


フェリは静かに、

「わかりました。私も、覇王様の道を否定はしません。

 ただ、いつか、お互いの道が交わる日が来たら……

 その時は、また話しましょう」


覇王は小さく笑い、

「いいだろう。その日まで、生き延びろ、ルシフェリア」


覇王は背を向け、去っていった。

フェリは深く息を吐き、ミリアスに言った。

「終わった……少しだけ、話せた……」


ミリアスは静かに、

「よくやった。覇王の目が、少し揺らいでいた。

 お前の言葉は、届いたんだ」


その夜、フェリは屋敷に戻り、リリに抱きついた。

「リリ……覇王様、少しだけ、

 心が揺らいでる気がしたよ」


リリは優しく、

「フェリちゃん……すごいよ。

 きっと、そうなるよ。

 私たちで、みんなを繋げていこう」


――覇王との対面が終わり、

 フェリの言葉が、覇王の信念に小さな亀裂を生んだ。

 底辺魔王の成り上がりは、新たな可能性と、

 大きな選択の前に立っていた。


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