第28話 ―― 初任務と、連携
2本目~!
廃墟の交易路の入り口。
朝焼けの中、護衛隊8人が整列していた。
ルシフェリアは隊員たち一人ひとりの顔を見て、
静かに言った。
「みんな、気を付けてね。無事に帰ってきて」
その言葉が出た瞬間、
ルシフェリアのスキルが発動した。
【絶対的支配(Lv.1)】が、隊員たち全員に軽いバフをかけた。
【護衛隊全員に「身体強化」効果付与】 筋力・敏捷性・集中力が一時的に向上
疲労蓄積が遅れ、痛みを感じづらくなる
隊員たちは一瞬体が軽くなったのを感じ、
互いに顔を見合わせた。
ガルドが斧を軽く振り、
「お? なんか体が軽ぇ……お守り効いてんのか?」
シルヴィアが弓を引いて、
「集中力が……上がってるわ。不思議……」
ミリアスはルシフェリアを一瞬見て、小さく頷いた。
「行くぞ。初任務だ」
隊列は街道を進み始めた。
最初の危険区間、崩落トンネルは、
ミリアスの計画通り迂回ルートAで回避。
中継拠点Bで補給を確保し、順調に進んだ。
しかし、盗賊巣窟に近づいた瞬間、
周囲の空気が変わった。
木々の影から、20人以上の盗賊が現れた。
リーダーの男が笑いながら、
「商会名義の護衛隊か?
寄せ集めの雑魚どもが、よくもまあ堂々と……」
盗賊たちは一斉に襲いかかってきた。
しかし、次の瞬間、盗賊リーダーの顔が凍りついた。
「な……なんだこの連携……!
ただの寄せ集めじゃねえぞ!
動きが……完璧すぎる!」
ガルドが斧を振り回し、前衛を一掃。
シルヴィアの矢が的確に後衛を射抜く。
ルナが火の玉を連射し、
風の壁で味方を守りながら、
「みんな、下がって! 私の番です!」
ルナの火の玉が盗賊の中心に炸裂し、混乱を誘った。
剣の亡霊は無言で前に出た。
一瞬の動きで、盗賊の先頭5人を斬り倒した。
盗賊リーダーが叫んだ。
「剣の亡霊……!? あいつがいるのかよ!
しかも、この連携……ただの集団じゃねえ!撤退だ!」
盗賊たちは散り散りに逃げていった。
ミリアスは冷静に、
「本隊、森へ進む。囮部隊、合流しろ」
本隊は森に入り、
野生魔物の群れと遭遇した。
狼の群れが襲いかかる。
ルナが風の壁を張り、
「みんな、下がって!私の火の玉で……!」
火の玉が連射され、狼の群れを焼き払った。
ガルドが斧で前衛を固め、シルヴィアが矢で援護。
剣の亡霊は一瞬で狼の群れを切り裂き、
隊の損耗を最小限に抑えた。
ルシフェリアは遠くから見守り、
「みんな……無事でいて……」
任務は成功した。
中継拠点Bで荷物を交換し、無事に帰還。
隊員たちは疲れ切っていたが、笑顔だった。
ガルドが斧を地面に立て、
「やったぜ!お守りなしでも、俺たちでやれた!」
シルヴィアが弓を下ろし、
「連携が良かったわ。ミリアスさんの計画通りね」
ルナは帽子を飛ばし、
「やったー!私、役に立てた!
また呼んでくださいね!」
剣の亡霊は無言で剣を収め、
ルシフェリアのほうを一瞬見た。
赤い目が、静かに光った。
ルシフェリアは剣の亡霊に近づき、
「ありがとう……あなたのおかげで、
みんな無事だった」
剣の亡霊は低く、
「俺の目的は、剣を振るうことだけだ。
……だが、お前の『調和』……少しだけ、興味がある」
ルシフェリアは微笑んだ。
「いつか、本当の名前を教えてくれる?」
剣の亡霊は無言で背を向け、去っていった。
その夜、ルシフェリアはリリに言った。
「剣の亡霊……仲間になれるかも、って思ったよ」
リリは優しく、
「フェリちゃん……きっと、そうなるよ。
私たちで、みんなを繋げていこう」
――初任務は成功し、
剣の亡霊の心に小さな変化が生まれた。
底辺魔王の成り上がりは、新たな仲間と、
未知の可能性に囲まれながら、次の道を歩み始めていた。




