第24話 ―― 護衛隊の結成と、リリの特別製
3本目~~~!
商会店舗の奥部屋は、いつもより少し熱気がこもっていた。
セレナが依頼書を閉じ、満足げに息を吐いた。
「高額護衛依頼、『国境交易護衛』……
商会名義でギルドに正式申請したわ。
報酬は成功報酬制で、1人あたり銅貨300枚+ボーナス。
これで、冒険者ギルドの掲示板に即掲載されるはず」
ルシフェリアは少し緊張した顔で、
「ギルドに依頼……エルドリックさんがいるギルドに、
本当に大丈夫かな?」
セレナは肩をすくめ、
「商会名義だから、フェリは表に出ない。
依頼内容も『国境付近の交易護衛』とだけ書いてある。
ギルド側がフェリを疑う材料はないわ。
ただし……応募者が集まり始めたら、
ミリアスくんが面接と編成を担当してね」
ミリアスは地図を畳み、
「わかった。募集人数は最低8人。
戦闘経験豊富な者を優先する。お守りは全員に配布。
効果は……癒しと軽い士気向上で十分だ」
ルシフェリアは頷き、
「ミリアスさん……ありがとう。
あなたがいてくれて、本当に心強いよ」
その日の夕方、
最初の応募者が2人現れた。大柄なオークの男ガルドと、
細身のエルフの女性シルヴィア。
ミリアスが二人を奥の部屋に連れて行き、
短い面接を終えた。
「合格だ。明日から訓練開始。
お守りは後で渡す」
応募者たちが去った後、
ルシフェリアはリリに声をかけた。
「リリ……今回の護衛隊用のお守り、
特別製でお願いできる?
みんなの士気を保てるように、
少し強めに……」
リリは少し困った顔をしたが、
すぐに頷いた。
「わかった。ヒーリングは不本意だけど……
みんなを守るためだもんね。
薔薇香を、もう少し強くしてみるよ」
リリは店の奥の作業スペースに移動し、
自分の魔力を集中させた。
いつもより長い時間、香りを練り続け、
やがて淡いピンクの光が彼女の周りに広がった。
その瞬間、リリのステータスに変化が起きた。
【リリィス(サキュバス)】
【スキル:魅惑の薔薇香(Lv.1) → Lv.2】
効果強化:香りの範囲と持続時間が大幅に向上。
対象者の士気向上・疲労軽減効果が強化され、
軽い暗示効果も安定する。
追加効果:長時間使用で対象者の集中力・決断力が一時的に向上。
リリは額の汗を拭い、
少し疲れた笑顔でフェリに言った。
「できたよ……これなら、
護衛隊のみんなが長時間戦えるはず。
でも、ヒーリングっぽい効果は……
やっぱりちょっと嫌だな」
ルシフェリアはリリを抱きしめ、
「ありがとう、リリ。本当に助かるよ。
これで、みんなを少しでも守れるね」
セレナが部屋に入ってきて、
満足げに頷いた。
「いいわね。特別製のお守りなら、
初回テストの成功率も上がるわ。
護衛隊の募集は明日から本格的に始める。
ミリアスくん、面接は任せたわよ」
ミリアスは静かに頷き、
「任せろ。父の知識を、
ここで活かしてみせる」
ルシフェリアはミリアスの肩にそっと手を置き、
優しく言った。
「ミリアスさん……無理しないでね。
あなたが頑張るんじゃなくて、
みんなで頑張るんだよ。
ここは、一人じゃなく、みんなで守り合う場所だから」
ミリアスは一瞬目を伏せ、
小さく息を吐いた。
「……ああ。わかった」
――護衛隊の募集が始まり、
リリの特別製お守りが完成した。
底辺魔王の成り上がりは、新たな仲間と力を得て、
廃墟の交易路への第一歩を踏み出そうとしていた。




