第21話 ―― 成果の波と、帝国からの影
本日ラスト!
屋敷の朝は穏やかだった。
ルシフェリアはリリと一緒に朝食を準備しながら、
昨日の成果を振り返っていた。
「リリ……隠れ店舗の売上、
昨日は銅貨700枚を超えたってセレナさんから連絡あったよ。
このペースなら、来月には屋敷の修繕費も回収できそう」
リリはスープをかき混ぜながら、
「すごいね、フェリちゃん!
セレナさんの人脈と、私たちの商品が噛み合ってるんだね」
ルシフェリアは頷き、
「うん……でも、ギルドの目がまだ光ってる。
セレナさんに頼りきりになるのも危ないから、
そろそろ自分たちのルートも作らないと」
その時、店舗からセレナの使いが駆け込んできた。
「フェリ様!
セレナ様から緊急の伝言です。
『ヴェルディア魔王国の使者が商会に来ています。
『噂の癒しのお守り』の作り手に会いたいと言っています。
どうしますか?』」
ルシフェリアは息を飲んだ。
「ヴェルディア魔王国……?
聞いたことないな……
でも、商会で会うなら……行ってみよう」
リリが心配そうに、
「フェリちゃん……ヴェルディアってどんな国なんだろう。
セレナさんが言うなら、かなりヤバい国かも……」
ルシフェリアは頷き、
「うん……でも、
知らないままじゃいられない。
セレナさんに詳しく聞いてみよう」
隠れ店舗に到着すると、
セレナが奥の部屋で待っていた。
部屋の隅に、黒いマントをまとった
若い魔物が座っていた。
セレナはフェリを見て、
「来たわね。
ヴェルディアの使者よ。
覇王様が、あなたに興味を持ってるみたい」
アルトは立ち上がり、
緊張した様子で頭を下げた。
「失礼します……影の覇王様が、
『ルミナス王国で噂の癒しのお守り』が広まっていると聞き、
使者を送りました。
もし可能なら……直接、作り手の方にお会いしたいと」
ルシフェリアはセレナに視線を向け、
セレナは小さく頷いた。
ルシフェリアはアルトに向き直り、
「わかりました。私たちが作り手です。
お守りはここにあります。……ヴェルディア魔王国は、
今、勢力を拡大していると聞きましたが……
何をお求めですか?」
(ブラフかけてみて様子を伺ってみよう)
アルトはマントの下から小さな箱を取り出し、
中から古い書物を差し出した。
「これは……影の覇王様からの贈り物です。
前魔王時代の魔術書の一部。
癒しのお守りの製法を改良できるかもしれません。
特に、薔薇香を嗅いだ瞬間一瞬でサキュバスのものだと分かったのですが、
これを闘争用の月桂香に変更できないかと……
戦闘意欲を高め、恐怖を軽減する効果を狙っています。
覇王様は、『調和ではなく、力による統一』を目指していますが、
あなたの存在が……その計画を変える可能性があると、
興味を持たれています」
ルシフェリアは書物を受け取り、静かに言った。
「ありがとうございます。
でも、私の目的は支配や制圧じゃありません。
みんなが安心して暮らせる場所を作ることです。
……お守りは、力ではなく、癒しのために使いたい」
アルトは少し驚いた顔をしたが、すぐに頭を下げた。
「わかりました。
覇王様に、その言葉をお伝えします。
……また連絡します」
アルトが去った後、セレナが静かに言った。
「ヴェルディア魔王国は、
覇王が支配による統一を掲げている強硬派の国よ。
ルミナス国境で動きを見せているから、
関わると危険かもね」
ルシフェリアは頷き、
「ありがとう、セレナさん。
……気をつけるよ」
――隠れ店舗の販売はさらに拡大し、
新たな来訪者が現れた。
底辺魔王の成り上がりは、
他国の影に気づき始め、
静かに次の手を考え始めた。
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