第19話 ―― 転送の帰路と、拠点の未来
本日3本目~
魔王城の王の間から光が包み、
ルシフェリア、リリ、セレナの3人は屋敷の地下室に戻ってきた。
ルシフェリアは息を吐き、
「無事に帰れた……
本当に双方向で繋がってるんだね」
セレナはローブの埃を払いながら、
急に思い出したように言った。
「あら……急用を思い出しました。
商会に帰りますね。
また後ほど連絡します」
セレナは軽く会釈して、足早に地下室を後にした。
ルシフェリアとリリは二人きりになると、
地下室の魔法陣を見つめながら現状を整理した。
ルシフェリアは静かに言った。
「リリ……これからは前魔王とは違う道で進むよ。
力で支配するんじゃなくて、
平和的に、みんなが笑える世界を作っていく。約束する」
リリはフェリの真剣な目を見て、
少し戦慄しながらも頷いた。
「……はい、フェリちゃん。
私も、そう信じます。
でも……さっきのフェリちゃんの顔、少し怖かった……
魔王としての顔、初めて見た気がする」
ルシフェリアは苦笑いして、
「ごめん……でも、みんなを守るためだよ」
その時、屋敷の入り口から杖の音が響いた。
老魔物ゼノンが、ゆっくりと玄関ホールに立っていた。
「ふん……フェリ。
屋敷を手に入れたらしいな。
ここは以前、外務担当のレインという魔物が住んでいた。
魔王にも気に入られ、この国の王にも顔が利いた男だった。
今はもういないが……
この屋敷は代々幹部レベルが使ってきた家だ。
衰退した今はこの広さもあましてしまいそうだがな。
今後はここで子供たちの稽古をつけてやる」
ルシフェリアは驚きながらも、深く頭を下げた。
「先生……ありがとうございます。
これからも、よろしくお願いします」
老魔物は低く笑い、
「ふん……生き延びろよ、フェリ」
老魔物は去っていった。
一方その頃、ギルド本館のマスター室。
部下の一人が息を切らして報告した。
「マスター……町はずれの屋敷から、
一瞬ですが莫大な魔力が感知されました。
転送系の魔力反応です」
エルドリックは窓からその方向を見つめ、
静かに言った。
「あそこの家は……レインの前家だったよな」
部下は頷いた。
「はい。レインは前魔王時代、外務を担当していた魔物です。
なぜ今、あの屋敷から……」
エルドリックは目を細め、
「なぜだ……?
タイミングが良すぎる。
フェリ……お前は何をやっている?」
ギルドマスターは古い文献を手に取り、
赤い目の記述をもう一度読み返した。
――屋敷の秘密が明らかになり、
隠れ店舗の販売も軌道に乗った。
底辺魔王の成り上がりは、新たな拠点を得て、
静かに力を蓄え始めていた。




