第18話 ―― 屋敷の秘密と、迫る協力
本日2本目~
屋敷の探検は、午後から始まった。
ルシフェリアはリリとセレナを連れて地下室へ降りた。
古い魔法陣が床に刻まれ、かすかな魔力が流れている。
ルシフェリアは好奇心から中心に足を踏み入れた。
瞬間、視界が白く染まった。
次の瞬間、3人は魔王城の大広間に立っていた。
崩れかけた玉座、ひび割れた壁、埃と蜘蛛の巣。
ルシフェリアは慌てて周りを見回した。
「……え? なんで転送したの!?」
リリがすぐに周囲を警戒しながら言った。
「フェリちゃん……ここ、魔王城です。
私の知ってる場所と……少し変わってるけど」
セレナは冷静に魔法陣を見下ろし、
「そうなるよね。
この陣、双方向で繋がっているようね。
屋敷から城へ、城から屋敷へ……自由に移動できる」
セレナは周囲を見回し、
「こんなにボロボロだったかしら……
前魔王の時代より、かなり荒れてるわね」
ルシフェリアは咄嗟に判断した。
「ちょっと待って!
本物の魔王城なのかな……確認がてら、王の間まで歩いてみよう」
3人は徒歩で大広間から王の間へ向かった。
崩れた柱や落ちた天井の破片を避けながら進む。
王の間に着くと、ルシフェリアは深呼吸して、
セレナに向き直った。
「セレナさん……ここまで来てしまったなら、もう隠す意味がない。
実は、私は魔王の血筋なんかじゃない。
本物の魔王です。
魔王の命として……情報提供してください。
前魔王時代の生き残りの連絡先、古い書物、帳簿……すべて」
その言葉が出た瞬間、
ルシフェリアのステータスに変化が起きた。
【レベル:5 に上昇】
【新スキル獲得:絶対的支配(Lv.1)】
効果:魔物に対し、断れない指令を出すことができる。
対象は強制的に従うが、恩義や信頼が基盤にあるほど効果が安定する。
セレナは突然、気づかぬ間に口が滑るように話し始めた。
「うちの商会は元魔王領の古いルートをいくつか持っています。
前魔王時代の生き残りの連絡先も何人か把握していて、
古い書物や帳簿も大量に保管してます。
魔力システムの記録や領地管理の資料……
全部、フェリさんが欲しければ渡せますよ。
例えば、魔王軍軍団長のご子息の方などもご紹介できます……」
ルシフェリアはセレナの突然の情報開示を見て、
内心で実感した。
(……これがスキルの効果か。
しかも、内容が転職先の引継ぎみたいだな……)
ルシフェリアはスキルを発動させたまま、
かわいらしい笑顔でセレナに言った。
「セレナさん……今後も協力していただけるかしら?」
リリはルシフェリアのその笑顔を見て、戦慄した。
(……こんな顔のフェリちゃん、見たことない……
魔王としての顔……)
セレナは一瞬目を細めたが、
すぐに笑みを浮かべた。
「もちろんです。誠心誠意、尽くします」
ルシフェリアは優しく微笑んだまま、静かに言った。
「ありがとう。
ただ……陰からでお願いしますね」
セレナは深く頭を下げた。
「承知しました」
――屋敷の秘密が明らかになり、
隠れ店舗の販売も軌道に乗った。
底辺魔王の成り上がりは、
新たな協力者を得て、本格的な領地形成へ動き始めた。




