第12話 ―― レッスン加速と、露店の危機
本日2本目です
数日があっという間に過ぎた。
毎朝、ルシフェリアは子供たちを連れて老魔物の洞窟へ通った。
リリとアリアは露店を担当し、
ルシフェリアは子供たちと一緒にレッスンに集中した。
老魔物の教えは厳しく、毎日感情の吐き出しから始まった。
ガルは「親父は魔王の命令で死んだ!」と叫び、
巨大化を抑える練習を繰り返した。
レイラは「お母さんの翼を奪った魔王!」と涙ながらに叫び、
風圧を制御する術を身につけていった。
ザクは「僕だけ生き残った……」と孤独を吐き出し、
膨張を最小限に抑えるコツを掴んだ。
ミナは「私の炎で家族を焼いた……」と自責を叫び、
炎の噴出を指先レベルに抑えられるようになった。
ルシフェリアも毎回一緒に並び、
「みんなを守りたいのに……まだ弱くて悔しい!」と叫びながら、
自分の魔力を循環させて抑える練習を続けた。
老魔物は毒舌を吐きながらも、
「ふん……少しマシになったな、フェリ」
と、少しずつ認めるような視線を向けるようになった。
5日目には、洞窟内で小さな実践テストが行われた。
老魔物がわざと怒りを煽る言葉を投げかけ、
子供たちが暴発しそうになるのを、
「吐き出して、抑えろ!」の繰り返しで乗り越えた。
ルシフェリアも自分の魔力を循環させて抑え込み、
老魔物は「高貴な血筋の小娘が……少しは役に立ったな」と呟いた。
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午後、露店に戻ると、
リリとアリアがすでに開店準備を終え既に営業していた。
売上は銅貨180枚を超えた。
ルシフェリアは袋を握りしめて笑った。
「これで……子供たちの食事代と、先生へのお礼も出せる」
しかし、客の波が引いたある日の午後、
ギルドの制服を着た女性職員が露店に近づいてきた。
「あなたがフェリ?ギルドマスターから話は聞いているわ。
この露店、魔族の出店許可は取ってるの?」
ルシフェリアは背筋が凍った。
(許可……取ってなかった……!)
女性は冷たく続けた。
「許可がない場合、即時撤去よ。
それとも……ギルドに正式に申請する?
その場合、身元調査が入るけど……いいの?」
ルシフェリアは笑顔を保ちながら、
心の中でパニックになった。
(やばい……身元調査されたら、赤い目と角がバレる……
魔王だって……!)
アリアがそっと糸を広げ、
露店の一部をぼんやり隠したが、糸はまだ弱く、
全体を覆いきれない。
ルシフェリアは女性に言った。
「すみません……申請は明日します。
今日はもう閉めます……」
女性は少し迷った後、頷いて去っていった。
ルシフェリアはアリアに小声で言った。
「アリア……ありがとう。
でも、まだ糸が弱いから……全体を隠せないね」
アリアは脚を震わせた。
「もっと魔力があれば……
ごめんなさい、フェリさん」
ルシフェリアは決意を込めて頷いた。
「うん。
許可は申請せずに、隠れて続ける。
でも……いつか、堂々とやれるようにしないと」
――レッスンは続き、露店の売上も増え始めた。
底辺魔王の成り上がりは、新たな危機を迎えていた。




