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目覚めたら、魔王に転職!? ~底辺スタートから世界統一はじめました~  作者: ふじなみ


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第10話 ―― 癖の強い先生と、監視の視線

今日分おしまいです。。

まだまだほんわかパート


翌朝、安宿の部屋はいつもより少し静かだった。



ルシフェリア、リリ、アリアは、

昨夜連れ帰った子供たち(ガル、レイラ、ザク、ミナ)を、

街外れの廃墟から少し離れた、

古い納屋を借りた隠れ家に移動させていた。


安宿は手狭で、子供たちの暴発リスクも考えて、

昨夜のうちにルシフェリアが銅貨を握りしめて大家に交渉し、

街外れの空き納屋を1週間だけ借りたのだ。


納屋は埃っぽく、壁に穴が開いているが、

広さがあり、子供たちが暴発しても周囲に迷惑をかけにくい場所だった。


朝の光が納屋の隙間から差し込み、子供たちは藁の上に座って、

ルシフェリアが買ってきたパンとスープを分け合っていた。


ガルはまだ警戒を解かず、

「本当に……ここにいていいの……?」と小声で呟いた。


ルシフェリアは優しく頷いた。

「うん。ここなら、暴発しても街の人に迷惑かけないよ。

 今日は魔力制御の練習を始めよう。

 でも……私たちだけじゃ、うまく教えられないかも」


リリが尻尾を振って言った。

「フェリちゃん……街外れに、魔術の先生がいるって噂を聞いたんです。

 癖が強い人らしいですが……魔力制御が上手いって」


アリアも頷いた。

「私も聞いたことあります。

 廃墟の奥に住んでる、老魔物です。

 前魔王の時代に城で教えていた人らしいけど……

 今は誰も近づかないそうです」


ルシフェリアは目を輝かせた。

「それだ!行ってみよう。みんな、待っててね」


午前中、ルシフェリアとリリは納屋から

少し離れた廃墟の奥へ向かった。


そこにあったのは、

蜘蛛の糸で覆われた洞窟のような住処。


入り口に座っていたのは、

巨大な蜘蛛の下半身を持つ老魔物だった。


上半身は人間に近いが、

肌は灰色がかって皺だらけ、

目は赤黒く濁り、

8本の脚がゆっくり動いている。



ゼノン、元魔王城の魔術講師だ。

ルシフェリアは深く頭を下げた。


「ゼノン先生……ですよね?

 街で噂を聞いて……

 魔物の子供たちの魔力制御を教えてほしいんです」


ゼノンはルシフェリアをじろりと見た。

彼女の赤い瞳に、ピクリと反応した。


「……赤い目か。高貴な血筋の魔族の娘だな。

 魔王の血を薄く引いてる……?ふん、面白い子だ」


ルシフェリアは慌ててフードを深く被った。

「え……高貴な……?ただの魔族ですけど……」


ゼノンは低く笑った。

「俺の目は誤魔化せんよ。だが、俺はもう教える気などない。

 前魔王の教え子はみんな死んだ。

 もう、誰にも教えたくないんだよ。帰れ」


ルシフェリアは深く頭を下げた。

「先生……子供たちは、

 前魔王のせいで親を失って、

 暴発で街の人に迷惑をかけてるんです。

 放っておくと、処分されるかも……

 先生の教えで暴発を抑えられたら……

 街の人たちも安心するし、

 先生の過去の罪も、少しは償えるんじゃないですか?」


ゼノンは杖を地面に叩きつけ、毒舌を吐いた。

「甘いな、小娘。俺の教え子はみんな死んだ。

 償い? 笑わせるな。

 俺はもう、誰の命も預かりたくない。帰れ、帰れ!」


交渉は難航した。

ルシフェリアは交渉術とマーケティングの嗅覚をフルに発揮した。


「先生……じゃあ、条件はどうですか?

 私が露店で稼いだお金を、先生の生活費に充てる。

 薬や食料、なんでも用意します。

 それで、子供たちを1週間だけ……教えてください」


ゼノンは目を細め、嘲るように言った。

「金か……金で俺の心が動くと思うか?断る」


ルシフェリアはさらに踏み込んだ。

「金だけじゃないです。

 先生が教えてくれた子たちが、ちゃんと生き延びて、

 笑えるようになったら……

 それが、先生の教えが無駄じゃなかった証拠になると思いませんか?

 前魔王の時代とは違う……今度は、みんなを守れるんです」


ゼノンは長い沈黙の後、杖を地面に叩きつけた。

「……ふん。1週間だけだ。それで駄目なら、二度と来るな」


ルシフェリアは深く頭を下げた。

「ありがとうございます!約束します!」


――その瞬間、洞窟の影から声がした。

「ほう……面白い話をしてるな」


エルドリックがマントを翻して現れた。

ゼノンはニヤリと笑った。


「お前か……エルドリック。久しぶりだな」

エルドリックはフェリを見て、穏やかに笑った。


「偶然通りかかっただけだ。

 この子、露店で売ってるお守りの持ち主だな。

 ゼノンに何を頼んでる?」


ゼノンは肩をすくめた。

「魔物のガキどもの魔力制御だよ。

 面倒だが、高貴な血筋の娘が頼み込んでるからな……

 少しだけ付き合ってやる」


エルドリックはゼノンに近づき、

ひそひそと耳打ちした。


「ゼノン……この子、赤い目だ。

 魔王の最後の言葉を覚えてるか?

 『次の魔王は、お前たちの世界から来る』……

 この子が……その可能性がある。監視してくれ」


ゼノンは低く笑った。

「ふん……わかった。だが、俺が教える間は、俺の教え子だ。

 お前が手を出すなよ」


エルドリックは軽く頷き、フェリに微笑んだ。

「また会おう、フェリ」


彼は去っていった。

ルシフェリアは背中に冷や汗を感じた。

(ギルドマスター……ゼノン先生と知り合い……

 これは……絶対偶然じゃない……)


ゼノンは杖を突きながら言った。


「さて……ガキどもを連れてこい。

 1週間で暴発を抑えられるか、見てやるよ」


ルシフェリアは頷いた。

「はい……ありがとうございます」


――露店は順調に動き始め、ゼノン先生との約束も取り付けた。

 子供たちの未来が、少しずつ開け始めた。


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