雪のあと
掲載日:2026/02/13
木の幹に、雪が貼り付いている。雪の乗ったフェンスが、重みで揺れた。
昨夜、めずらしく雪が積もった。早朝に庭にまいた水が凍って、私の足元でしゃりしゃりと音を立てる。
「いってきます」
コートの襟を立てて頬を隠すように首をすくめる。吐き出す息は白く、あっという間に指先がかじかんだ。ポケットに入れたカイロを握りしめる。
「つめたっ」
朝の日差しに溶けた雪が、ぽたぽたと落ちてくる。電線の上にも雪が乗っていた。
「あー。傘、持ってきた方がよかったかな」
雪が降っているときは気にしないのにね、と胸のなかで付け加えて、私は駅へと向かった。きっと通勤電車は着ぶくれした人でいっぱいなんだろうな、と小さく笑いながら。
<おわり>




