File No.5 最悪な関係
「サンフランシスコ?アメリカ?もうですか?」
加江田は驚いた声を上げた。
「そうだ。君たち、一旦部長室に来てくれ。作戦を伝える」
岩山はそう言うと、三人を部長室へ連れて行き、ソファに座らせた。
ほどなくして秘書の小川静香が現れ、カップに紅茶を注いだ。
「まず明日、君たちはサンフランシスコ行きの便に乗り、サンフランシスコへ向かう。それから港に行き、闇商人を装って、密輸船、ダークナイト号に入船してもらう。これがダークナイト号のマップだ」
岩山はそう言って、三人にマップを見せた。
「入船後は船内の倉庫へ行き、証拠品を押収してほしい。途中で誰かが入ってきたら、公安警察だと名乗っても構わない」
すると、上山が驚いたように言った。
「いいんですか? 言っちゃっても?」
「ああ。どうせ逮捕する相手だ。秘密にしておく意味もないだろう。もし相手が襲いかかってきたら、殺さない程度に応戦してくれ。この船は横浜港へ向かう予定だが、到着時には大勢の警備隊が待機している。港に着いた瞬間、船員は全員逮捕、それがこの作戦だ。詳細は後で改めて確認する。
では、明日の夜8時に羽田国際空港第三ターミナルに集合だ。いいな?」
岩山が三人に確認した。
「はい!」
三人は勢いよく答えた。
それを見て、岩山は満足そうにうなずき、部長室を後にした。
しかし、高木の胸中には不安が渦巻いていた。
ー大丈夫なのかな…初めてなのに、こんなハードな任務で…ー
そう思いながら、彼はオフィスへ戻った。
すると、加江田がたばこを吸い始めた。
「ふー…」
いかにも自分が偉い人間だと言わんばかりに、煙を吐き出した。
それを見た宇佐美は、すぐに注意した。
「加江田さん、ここは禁煙ですよ。今すぐ火を消してください」
しかし…
「いいだろ、別に…ちょっとくらい…」
そう言って、加江田は注意を聞かずにたばこを吸い続けた。
すると宇佐美は鬼のような形相になり、声を荒げた。
「それ、警察官が言う言葉じゃないですよ! 今すぐ火を消してください!!」
こうして二人の関係は、出会った瞬間から最悪のものになってしまったのだった。




