File No.28 追跡
すると、加江田の視線に気づいた怪しい男性は、早歩きで逃げていった。
しかし、加江田はすかさず彼の追跡を始めた。
男性はタクシーを拾い、車は急いで走り去った。
加江田もすぐにタクシーを捕まえた。
「お客様、どこまで行かれますか?」
タクシーの運転手が加江田に尋ねた。
「前の車を追ってくれ」
加江田はそう言った。
「え? どういうことですか?」
「いいから、早く!」
加江田の剣幕に押され、運転手は慌てて発車した。
「お客様…警察の方ですか?」
運転手は不安そうに尋ねた。
「ああ、公安だ。後このことは誰にも言うな」
加江田はそう言って、運転手に釘を刺した。
タクシーは渋谷、表参道、四谷を通過し、やがて歌舞伎町に到着した。
外はすっかり夜になり、あたりは真っ暗だった。
その後も、加江田は怪しい男性の追跡を続け、歌舞伎町一番街の中へと入っていった。
男性は左に曲がり、細い路地裏へと姿を消した。
加江田も後を追った。
やがて男性は、建物と建物の間に入り、小さな階段を下りていった。
加江田も同じように階段を下りていった。
下へ進むにつれて、周囲は次第に暗くなっていった。
そのとき…
「バン!!」
突然、背後から激しい衝撃が走った。
誰かに思いきり殴られたのだ。
加江田の意識は急速に遠のき、やがて彼は、その場に崩れ落ちるようにして気絶してしまったのだった。




