File No.27 怪しい男性
池袋では、黒いパーカーにサングラス、マスクを着けた若い男性が、池袋駅東口にある並木の地面に爆弾を埋めた。
その爆弾は小型ながら威力は非常に強く、爆発すれば大量の死者が出るほどのものだった。
同様に新宿では、歌舞伎町の路地裏に爆弾が埋められた。
さらに渋谷では、ハチ公口の花壇の中に爆弾が仕掛けられた。
こうして三つの区域に爆弾が埋められたのだった。
その事実を知ることもなく、加江田は警視庁に戻った。
「どうだった、加江田?」
岩山が声をかけた。
「いませんでした。横浜にも、大阪にも」
加江田は疲れ切った様子で答えた。
「そうか…」
岩山はそれだけ言うと、しばらく沈黙が流れた。
「加江田、君は働きすぎだ。少し有給休暇でも取ったらどうだ?」
岩山はそう言って、加江田を見た。
「でも…」
「大丈夫だ。目撃情報が入ったら、また連絡する。しばらく休みなさい」
岩山は加江田の言葉を遮るように、穏やかだが有無を言わせぬ口調で言った。
「…」
すると、加江田は黙ってしまった。
こうして、翌日から加江田はしばらく休暇を取ることになった。
大晦日の夕方、彼はパジャマ姿で六本木のタワーマンションの一室にいた。
だが、心はひどく沈んでいた。
リベルタスの手がかりを何ひとつ掴めなかったことが、悔しくてたまらなかったのだ。
すると、宇佐美からメールが届いた。
ーカフェでも行って、リラックスしたらどうですか?ー
すると、加江田はこう思った。
ー気分転換に、カフェでも行くかー
そして、加江田は私服に着替え、けやき坂を歩き、ブックカフェ「ツタ」に入った。
コーヒーを一杯注文し、席に座ってしばらく休憩した。
すると突然、背中に一瞬、鋭い痛みが走った。
ーイタッ!ー
反射的に隣を見ると、黒いパーカーを着た不審な男性が座っていた。
加江田は違和感を覚え、その男を注意深く観察した。
すると、男の胸元に、リベルタスのマークが入ったバッジが付いていることに気づいた。
ー間違いないー
加江田は確信した。
そう、彼は、リベルタスのメンバーだった。
その瞬間、加江田の表情は一気に緊張を帯び、鋭いものへと変わったのだった。




