File No.26 ますます深まる謎
すると、年配の警備員が歩いて来た。
「君、ここは立ち入り禁止エリアだよ」
警備員は加江田に注意した。
「あ、すみません。警察です。少し事情を伺ってもよろしいでしょうか?」
加江田は警察手帳を提示し、そう言った。
「いいよ。じゃあ、ちょっと守衛室に来てくれるかな」
警備員はそう言って、加江田を守衛室へ案内した。
「あの、ここにテロ組織のメンバーが立ち入ったことはありますか?」
「いや、ないね。というか、ここ数年は誰も来ていないよ」
警備員は、どこか悲しそうに言った。
「…というと?」
加江田は問い返した。
「実はここ、10年前までは大手電機メーカーのエレクトロニクス工場が立ち並ぶ地域だったんだ。でも5年前にその会社が倒産してね。今はただの廃墟さ。私も、もうすぐここを辞めなければならない」
警備員はそう言って、うつむいた。
「そうなんですか…それは大変ですね。では、最近ここに立ち入った人物は、誰もいないということですか?」
加江田は念を押した。
「ええ、全く」
警備員は淡々と答えた。
その言葉を聞き、加江田は混乱した。
警視庁に勤めて以来、これほどまでに手掛かりが掴めないのは初めてだったからだ。
一方、東京の池袋、新宿、渋谷では、人混みに紛れてリベルタスのメンバーたちが動き始めていた。




