File No.22 暗い過去
加江田、つまり井中は、2000年に東京で生まれた。
昔から頭が良く、スポーツも万能で、両親にも褒められて育った。
父親は外資系企業に勤務していた。
彼はインターナショナルスクールに通い、幸せな日々を送っていた。
小学生までは…
ある日曜日、両親は仕事の用事で新宿駅周辺を歩いていた。
すると突然、リベルタスが新宿駅で暴動を起こした。
次々と爆弾が爆発し、新宿駅はあっという間に炎に包まれた。
井中夫婦は必死に抵抗した。
しかし、その抵抗も虚しく、二人は無残にも殺害されてしまった。
それから彼はインターナショナルスクールを辞め、孤児院に入った。
捻くれた性格だった彼は、孤児院でいじめを受けていた。
それでも耐えながら、アルバイトでコツコツとお金を貯め、アメリカへ留学した。
そして見事UCLAに合格し、無事に卒業を果たした。
帰国後、彼は警察学校に入学した。
厳しい訓練に耐え抜き、卒業後は警視庁刑事部捜査一課に配属された。
そこで数々の迷宮入り事件を解決し、有名な刑事となっていった。
「…そんなことがあって、今に至るんだ。でも、今でも優しかった両親のことは忘れられないよ」
加江田はそう言うと、静かに号泣した。
「あの…泣いてますか?」
宇佐美は心配そうに声をかけた。
「泣いてねーよ、グスン!」
加江田は強がって言った。
その直後、彼はウイスキーのロックを飲み干し、バタンとソファに倒れてスヤスヤと眠り始めた。
その様子を見て、宇佐美は思った。
ーこの人を支えてあげたいー
そう思い、彼女はそっと彼の唇にキスをした。
翌朝、二人はバーで眠っていた。
するとマスターがベルを鳴らして起こした。
「いい加減、起きてください!」
マスターは呆れた様子で言った。
二人は目を覚まし、横を振り返った瞬間…
「わっ!」
「きゃっ!!」
同時に声を上げた。
「行くぞ、仕事場」
加江田は顔を赤らめながら言った。
「分かってますよ」
宇佐美はつんとした態度で返した。
そして、いつもの任務が始まった。
二人は覆面パトカーで警視庁へ向かった。
「おはようございます!」
加江田は岩山に挨拶した。
「おはよう、二人とも。ちょっと部長室に来てくれ。あと、高杉もだ」
岩山がそう言うと、高杉が「はい」と返事をし、こちらへ向かってきた。
「次の任務を教える」
そう言って、三人は部長室に入った。
すると小川が紅茶を注いだ。
「昨日の任務だが、倉庫室にあったのは違法な大量の麻薬、金塊、爆発物、火薬、偽札などだった。これらはすべて押収され、船員は全員逮捕された。よく頑張ったな、三人とも」
岩山はそう言って、三人を褒めた。
「ありがとうございます」
三人は嬉しそうに礼を言った。
「さて、次の任務だが…証拠品の写真を調査したところ、二の葉ユダがリベルタスのリーダーである可能性が高いことが分かった」
「え? リーダーですか?」
宇佐美が問い返した。
「そうだ。しかも新宿暴動事件の首謀者である可能性も高い」
岩山の言葉に、加江田は深刻な表情を浮かべた。
「そこで、二の葉ユダを指名手配犯とし、目撃情報が入り次第、捜査に向かう」
「その間は何をするんですか?」
高杉が尋ねた。
「その間は通常業務に戻ってもらう」
岩山はそう答えた。
それから三人は、それぞれの部署へ戻った。
井中、つまり加江田は捜査一課に戻り、以前と同じように仕事をこなしていった。
そして一か月が経過した。
しかし、井中は以前のように生き生きとはしていなかった。
ーああ、ピースに戻りたいなー
そう思うほど、彼はピースへの想いを募らせていた。
すると渡邉が声をかけてきた。
「おう、カエル。岩山が呼んでるぞ」
「え? 岩山部長が?」
加江田、つまり井中はエレベーターで14階へ向かい、部長室に入った。
中には、宇佐美と高杉もいた。
加江田は彼らを見ると、にっこりした。
すると岩山は、嬉しそうにこう告げた。
「目撃情報が見つかった」




