突然
こんなウジウジした僕は、あまり蓮奈に関わらないようにしなきゃと、距離を置いている。
というか、ほんと接点がないから普通に暮らしていれば、クラス替えするまで一言も話さない可能性も高い。
クラス替え⁇
いや、僕たちは中学三年生じゃないか…
あぁ…そうか。
このまま僕たちは、卒業するのか。
小学生の頃は、ギリ登校班なんかで関わっていたけど、中学は関わらないけど同じ空間にいられた。
でも…
卒業したら、もう接点なんてまるでないな。
かろうじて、ご近所さんってな感じになってしまうのかな。
高校は、一緒になる確率なんて低いし…
でも、その方が蓮奈は安心か。
こんなキモい僕と離れられるんだもんな。
僕は、蓮奈が好きだけど…だからどうした?ってことだ。
蓮奈は、僕が嫌いなのだから。
とにかく卒業まで…そっと静かに過ごして、僕の恋は終わりを告げる。
そう思っていた。
でも、突如事件はおきてしまったのだ。
そろそろ、下校前のホームルームが始まろうとしていた時だ。
皆帰りの支度をして、先生待ちだった。
そんな時、相沢さんがいきなり僕にとんでもないことを言ってきたのだ。
「ねぇ、わたし達付き合っちゃおうよ‼︎」
って。
⁉︎
いきなりの爆弾発言…
そして、そんな大声で…そんなこと。
一瞬、教室がシンと静まりかえった。
そしたら、今度は蓮奈がとんでもない発言をしたのだ。
「わたし…死ぬわ」
って。
ええええええええっ⁉︎
な、なんて⁉︎
蓮奈は、窓に向かって進んできた。
飛び降りるつもりなのだろう。
「待って‼︎蓮奈‼︎危ないから‼︎」
僕は、とっさに蓮奈に抱きついた。
「離して‼︎」
「ヤダ‼︎僕は、好きな人がそんなことするのは、絶対やなんだ‼︎」
…
「え…好き?でも真守は、ザワと付き合うんでしょ。」
「付き合わないよ‼︎僕は、蓮奈がずっとずっと昔から好きなんだ‼︎」
…
「じゃあ、なおさら死ななきゃだ」
「なんで、そうなるんだよ⁉︎そりゃ…僕は、蓮奈にとってキモい存在だけど…なにも死ななくてもいいだろ。僕が幼馴染で嫌気がさしたからって…死なないでよ。好きになってごめん。僕、蓮奈のこと諦めるから。だから…死なないでよ」
…
「わたし…前に真守と付き合うくらいなら死んだ方がマシって…言った。ほんとは、好きなのに…言ったの。付き合いたいの‼︎真守が他の人と付き合うの見たくないの‼︎大好きだから…だから…死んで詫びるの。付き合うくらいなら死んだ方がいいって言ったんだもん。好きなんだもん。付き合いたいもん…」
蓮奈は、ポロポロと涙を流した。
「蓮奈…ならさ、死ななくてもいい方法があるよ。」
「…なに?」
「人の気持ちなんて、かわるものだよ?だから、また言えばいい。死んだ方がマシって言ったの撤回‼︎って。」
「あ…そ…うか。じゃあ、言うね?わたしは…死なない‼︎真守と付き合いたい‼︎」
蓮奈の言葉が発されると、クラス中から拍手がわき起こった。
そして、陽キャ男子が僕に
「オレさ…内心真守には、敵わないと思ってたよ。オレが調子悪いとき、すぐ保健室連れてってくれたよな。あん時は、ありがとうな。おめでとう」
って。
それをみていた相沢さんは、
「やっぱりか。蓮奈がなかなか本音言わないから、奪ってやろうって思ったのに。残念…ねぇ、蓮奈…あたしさ、性格歪んでるよね。卒業までの間、無視してくれていいから。ごめん…じゃ」
と、相沢さんはバッグを背負って廊下に出て行った。
そこで先生がきたっぽい。
「先生、お腹痛いから保健室行って帰ります‼︎」
って声が聞こえた。
教室に入ってきた先生は、なんか異様な空気を察して、一番前の席の人に、なんかあった?と聞いていた。
質問された生徒は、ううん。と首を横にふったので、何事もなかったかのように帰りの会のホームルームが始まった。
帰りにもう一度、蓮奈とはきちんと話そうと思う。
僕は、ものすごく反省した。
蓮奈が僕を好きだったなんて…
なぜ気づかなかったのだろう…
一歩間違えたら、蓮奈はここにもういなかったかもしれない…。
僕のせいで、蓮奈がこの世から消えていたかもしれないと思うと、ゾッとした。
よかった。
僕のせいで、蓮奈が死ななくてよかった。
言葉って…とてつもない力を持っているんだなって、改めて感じた。
言ってしまったこと、そして言わないでいたこと。
その日…僕は、蓮奈がそばにいてくれてよかったと、きちんと伝えた。
好きって言葉もきちんと、はっきりと伝えたので、僕たちの交際が始まった。
伝え方を間違えたり、伝えなくていいことや、優しい嘘は…ついても僕は、いいと思う。
ただ、難しいことは…相手がどう受け止めるか、そして…これは違ったかな?って感じたとき、きちんと相手に納得してもらえるように、しなければならないってことだ。
僕は、人の感情も料理だと考えている。
料理は、味見をする。
それと一緒で人に伝えたときに、表情をみて、違ったかな?って思ったら、言葉の出汁追加や変更すればいいのだ。
ストレートに伝わるのが一番いいのかもしれないけど、僕は味見が必要な生き物だったりする。
だから、これからも蓮奈にはストレート失敗したのならば、何度でも味変して挑戦して、一緒に美味しいカップルになりたいと思う。
次の日、蓮奈はいつも通りに相沢さんと一緒にいた。
よかった。
相沢さんには、きちんと僕の気持ちを伝えた。
蓮奈が好きだし、付き合うことになったと。
相沢さんは、
「でしょうね。」
って、笑った。
よかった。
相沢さんが笑ったのをみて、僕はホッとして、蓮奈の方を向くと蓮奈もにっこり微笑んだ。
昨日とは、大違いなくらい今日は穏やかな日になりそうだ。
おしまい。




