黒板とチョークと、異世界への転移
『黒板の魔導師』第1話です。
異世界×教師という少し変わった出発点から始まります。
ゆっくりと世界と“授業”の力が明らかになっていきます。
黒板の前に立つのは、俺の夢だった。
教育学部の大学四年。
教師を目指してきた俺――佐久間直哉は、卒業を目前に控え、教育実習の最終日を迎えていた。
「先生って、大変そうですね」
生徒の何気ない言葉が、妙に胸に残った。
授業中に寝る子。
スマホをいじる子。
現実の教室では、「教えること」の難しさばかりが目についた。
それでも、俺は諦めたくなかった。
“誰かの人生を変える授業”を、いつかやってみたいと思っていた。
放課後の教室。
夕陽が黒板を赤く照らす。
俺は最後の板書をゆっくりと書いた。
『命の価値』
チョークの音が止まった瞬間――
黒板の表面に、淡い光が走った。
「……え?」
手元のチョークが震えている。
いや、違う。
教室そのものが、揺れていた。
目の前の景色が歪み、光に包まれる。
黒板の文字が浮かび上がり、渦のように俺を飲み込んだ。
気づけば、そこは知らない草原だった。
空は深く、風は冷たい。
遠くに石造りの街が見える。
――異世界。
夢でしか見たことのない景色が、現実になっていた。
足元には、黒板とチョークが落ちている。
俺の持ち物が、なぜか一緒に転移してきたらしい。
「……まさか、これが俺の“武器”ってわけか」
半ば呆れながらチョークを拾い、黒板に一文字書いてみる。
『火』
その瞬間――
黒板の上に赤い魔法陣が浮かび、
空中に炎が生まれた。
「……マジかよ」
俺の書いた文字が、現実になっている。
心臓が高鳴る。
これが俺のスキル……“授業”の力。
黒板を抱え、俺は街へと歩き出した。
この世界でも、教えることが俺の武器になるなら――
授業を、始めよう。
ここまで読んでくださって本当にありがとうございます!
まだ始まったばかりですが、チョーク一つで世界を変える物語を目指します。
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