第三話 悔恨
地面に転がっていた食材を擦り切れたカバンに押し込み足を引きずりながら入り組んだ裏路地から街灯の柱が灯っている道にたどりつく
街の中心に開かれている一列に並んだテントを立てていた
商いをしているテントには装飾がつけられ交互に入り混じった人がその飾りを横目に足を運ぶ
その道はいつもより賑やかでなにより眩しかった
「あんなに身体中傷だらけでまた貴族様たちにいじめられたのかしら。」
「なんでこんなところにいるんだ。せっかく年に一度のお祭り騒ぎができる『収穫祭』ってのに厄介ごと起こされたらかたまんねーからな!」
その間ボロボロになった服と赤く腫れた顔をつまみにしながら脇目で酒を飲み話しているのがよく聞こえた
背中に受ける針のように痛い視線と声を感じながらその場から離れ暗い路地を駆け抜ようとしたが誰かにぶつかった
「何なんだよガキ。」
そこに居たのは麦わら帽子を被りまだ中身が残っているボトルを握りしめたおじさんがそこにいた
おじさんが酒を口に流し込み終えると僕の方を見て不思議そうに言った
「お前なんで下ばっかり見てんだ?俺の見て俺に対して俺にぶつかったことを俺に謝れよ。ガキ。」
僕はすぐさまおじさんを振り切りさらに前に進むと奥に作られた川を見つめながら手を握りしめる
「何で僕がこんな気持ちにならないといけないんだよ……」
そばに脈々と流れた河川を頼りにレンガに敷き詰められた道を何度も踏み続ける
人がいない廃墟になった古びた小屋がそこにあった
小屋に近づこうとしたとき遠くから光と遅れて破裂音が空から聞こえてくる
「花火……そうか今日は年に一度の『収穫祭』だったのか。もうあれから行ってなかったな。」
そんな小さな花火を数秒ながら目ながら小屋のノブに手を掛ける
――まだこんなところにいるのか
「そんなこと分かっているよ。」
自然と口から出た言葉とドアを開け木がすり減り軋む音が足元から響く
「……ただいま。」
そう玄関で言うが静寂が包まれる
「……って言っても誰かいるわけない……そうだよな。ここには誰もいないんだから。」
暗い表情を浮かべながら少年の心情と同じくらい暗い小屋の中を照らすためにまず靴を脱ぎ小屋の窓を左右に開け斜めから入ってくる月の光で部屋の中を照らす
そばの棚に置かれていたマッチの箱を取り出し箱の中に無数に入っていた棒を手に取り箱の側面をスライドさせてマッチの先端の火薬部分に火がつく
マッチの煙の独特な匂いに誘われてロウソクに火に灯りを灯される
廃れそうな火がついたマッチ棒は途切れそうになりながら台所にある窯に入っている薪に投げ入れる
街から買ってきた包帯を足に巻きつけ椅子に座る
「……本当になんでこんなことになったんだろう。」
傷ついた足とすり減った白い包帯を見つめ撫でながらあの日のことを思う
「……痛いな。もう少し巻いておかないと。」
僕の両親は金のかかる魔法使いの教師を王都から雇ってくれたりいまだに魔法が一切行使することができないのに直接魔力の使い方や剣術を教えてくれたりと親だった
他の貴族の家族から見ても僕の親は優しかった
「なぜ?貴族ではないものがここにいらっしゃるのでしょうか。確かこのパーティーは魔力も使えない穢れたものはいないと聞いていたのですが?」
神官様は僕のことを指さしていた
七歳の生誕を祝う誕生日パーティーに中で発せられたこの言葉を機にこれまで築き上げてきたその全ての関係が粉々に散った
「なにを仰っているのですか。神官様。……ど、どうゆうことなのですか?」
神官様は父上の言葉にため息を吐ながら自分の片目を指差す
「私の目は偉大なる女神様から授かった『加護』によって魔力を識別できます。体内に秘めた魔力……魔力探知にも引っかからないような生まれ持った微弱な魔力でも。キサマやここにいる他の貴族共からは魔力が感じるが、キサマのガキからは魔力の『ま』の字すら一切感じません。」
「信じられるか!そんな言葉に……本当に、本当にっ『魔力なし』で間違いないなのかッ!」
「ええ……残念ながらキサマのガキは親愛なる神から選ばれなかったようです。ええ……非常に残念でありますが。」
その言葉に反応した周りにいた貴族たちの嫌悪の目
激怒した父親にきれいに白い礼服を身につけ十字架のネックレスを掛けた女神官に向かって声を荒げながら激怒しながら見た父からの疑惑の目
初めてその無数の目を一斉に浴びたのが目の前に広がる揺るぎない現実だった