第十二話 別れ
「おいっ!起きやがれ!これがテメェの最後だなんて許さないぞ!!」
俺の肩に手が触れる
「だめだよ。エピス……もう息してしていない。」
「そう。無理じゃ……もう体内から彼の魔力が完全に消えた。……天に召されたのじゃ。」
「クソが!最後まで……最後までふざけやがって!」
俺はこの何も言えない無力感を吐き捨てるように壁に拳をぶつけ血が流れる
その様子を見ていたフィーオスは顔をあげ報告する
「展開していた魔力探知にたった引っかかりました!ありえない速さでこちらに向かってきます。対象は……一人!」
「全員戦闘態勢っ……!ノア様を守護するのじゃ!」
ジイさんが目の前の敵を警戒するようにこっちに向かってくる敵からノア様を守るようにお互い肩を寄せ剣を構える
あれがあいつが言っていたガキか?
ノア様と同世代じゃないか……本当にこんな奴が小規模の集団を潰した襲撃者だというのか……
「おい。お前がコレをやったのか?」
「……」
「おい!さっさと答えろ!」
ただその考えも少年が剣を振りかざし俺がすぐさま前に出て剣で受け止めた瞬間に流れ出た血……アイツたちの血液が俺の頬に染みついたとき
「ッ……殺す!」
この激情が湧き出るように感じさらに剣の勢いを強めた
「エピス!先行するな!」
「黙っとけ!フィーオス!こいつは……俺がやる!」
しかしこのせめぎあう時間が長ければ長くなるほどある違和感が感じられた
この剣の先から伝わる圧力と体格から見て身体強化系の魔法を使っている……のか?
俺は今初めてこの少年の……いやこの獰猛な化け物の目を見た。
――『ノスト帝国剣流』
剣技で対抗しようとしたが圧巻と恐怖を背中から虫が這いずるような感覚を覚え、咄嗟に足を無理やり前に出し剣を垂直に突き出す
そして俺の剣先が捉えていた脳天に突き刺さ去る前にやつの脳天が消えた
「なっ……!」
俺の視界の中で起きたのは人間業ではなかった
やつは進みづづけていた身を無理やり捻り俺の剣筋を避けているのが見えた
「誰が……誰をコロスって?」
すぐさま視線を斜め横にずらし態勢を立て方向転換させしたが呆気に取られた俺を見据えるようにすでに足を踏み出しやつ自己の剣を俺に対して突きつける
その危険を感知した俺は全身に巡らせていた魔力を腹に集中させ受け身の体制をとった
だがその刃は俺には届かず代わりに俺の背後から飛んでいたナイフを捉えていた
「エピス!下がっておれ!」
魔力を纏ったじいさんのナイフの投擲によって距離を取れるようになった
やつは剣を両手で持ちジイさんから投げられた数本のナイフをいとも簡単に防ぎ、仕留められたかった獲物を狙うように俺の目の前へ移動してくる
俺の代わりに前に出ていたジイさんと入れ替わりノア様の元へ戻った
「やるのぉ〜!小僧!」
ワシと小童は剣の角度を変ながらお互いの力がせめぎ合っている
しかし、力押し負けそうになり後ろへ下がっていくがワシの間と経験から力の方向を変え右袖から針を取り出し投擲する
すぐさま小僧も方向を変え避けたが額に微かな傷をつけた
小僧は額に傷がついたことを感知しながらワシへの追撃を開始する
「若さはいいがこれだけ動くと老体にはちと重いのぉ〜。」
年季の混じる手の甲を両手で突き出し腰を折る
「『炎の球体を放つ魔法』」
体の半分ほど大きさの火球を小僧めがけて放つ
ワシの魔法は小僧の体に直撃し目の前に扇形の燃える火の粉が飛び散る
数秒待ったが火の粉から誰かがいる気配はなかった。
小僧から微弱に感じていた魔力が消えておる……つまり死んだ。いや、殺したんじゃ。
「何だったんだ。やつは……子供なのにまるでケモノのような化け物だった。」
「貴族の服装だったみたいだけれど『魔法使い』でこれほどの被害になるとは聞いてない。一体誰だったんだ?」
「けど魔力探知が引っかからないってことはじいさんの魔法でやられたんだろ。」
「魔力探知が引っかからない?……!」
「みんな!!止まったらダメだぁ!!!」
そう叫んだノア様を見た瞬間ワシの右腕から下を断面が見えるくらい綺麗に切られていた
ワシの右腕を削いだ姿を見たのはたった一瞬だった
違和感に反応して後ろを向いたとき燃え広った炎から静かに堂々と姿を見せた小僧は下から上に剣を振り上げた
抜刀の速さは気づいたときには腕がもぎ取られていた
「うぐっ!や、やりおるな……小僧。」
「じいさん!!」
ワシは自身の斬られた右腕を残った左手でを押さえながら着ていたから即席の包帯を腕に何重にも巻き上げ無理やり出血するが気休め程度で意味はなかった
地面を見るとわしの血の液体が溜まり、直ぐ後ろに飛んだ腕の破片を見えた
体内の血がなくなっているのが原因か前の視界がぶれてくる
ワシは体を揺らし服の中から球体が飛び出し、球体の中から煙が噴き出す
「針には即効性の猛毒をつけていたんじゃがな。死んでいないということは耐性があるようじゃな。これは想定外じゃった。」
巻かれた煙によって瞬間的にお互いの位置が見えなくなっていた




