青白い炎は知らないうちに燃えさかる
第5作目の投稿です。
1千年をかけて結ばれる2人の恋愛物語です。
作者のはげみとさせていただきますので、もしよろしければ、ブックマークをお願い致します。
一生懸命、書き続けます。
是非是非、お楽しみください。
コウウは、神崎信と具美玲が親しそうに話している姿を見た。
転生前の記憶がある彼にとって、もちろん、具は再会することを待ち望んでいた人だった。
ただ、この場面は彼の主である林龍が意図的に設定したのだった。
それに加えて、興味深そうに一部始終を監視していた魔女リリも、いたずらをしようとしていた。
「ブルー ファイヤー 」
魔女は青白い炎の魔術をコウウにかけた。
はるかなる昔、無限の距離を隔てた、何次元も異なる世界の風景だった。
コウウ。
彼は転生者だった。
しかも、転生前の記憶持ちだった。
‥‥‥‥
そして今、転生前に生きた最後の時間が終わろうとしていた。
今晩も彼の耳には歌声が聞こえてきた。
それは何万人が歌う声だった。
しかも、コウウが良く知る歌だった。
彼の故郷でよく歌われる収穫の歌だった。
彼の故郷はこの大陸の南部、大農産地帯だった。
(もう、人数もわずかになってしまった我が軍、それを包囲する敵の大軍から私の故郷で歌われる収穫の歌が聞こえてくるのか?? )
精神的に限界だった。
勝敗の結果が明確になり寝返って敵の軍に加わる兵士が多いということだった。
彼は副官を呼んで聞いた。
「正直に話してくれれば良いのだ。今、我が軍の人数はどれくらいに減っている? 」
コウウよりも年長だが、自分の職務にいつも実直な副官の顔が非常に険しくなった。
「‥‥‥‥申し上げます。もう、わずか千人しかおりません」
「はははは。そちは最後に職務を少し怠ったな。私は昨日の夜、全軍を回って確認したのだよ。正確には800人さ。千人をきってしまった」
「申し訳ごさいません。我が軍を包囲する敵は、十万人ほどかと思います」
「その数は正確だな。ありがとう。100倍か、もう無理だな」
「将軍。お逃げになられますか」
「‥‥‥‥ 」
コウウはその問いには答えず、寂しそうに微笑んだ。
(ここで、漢の国との最終決戦が始まり、もう9か月ほどか―― 最初は我が方が優勢だったのだがな。漢は堅固な陣地に閉じこもり守るだけだった‥‥
‥‥これは劉との戦いではない。あの男、不思議な力をもつ。カンシン‥‥ )
コウウにはもう、カンシンの戦略がわかっていた。
(私の直感も優れていると思うが、カンシンはさらにその上をいっていたな―― )
ここは大軍が動くには全く適さない山岳地帯だった。
しかし、カンシンが指揮する敵軍は、たくみにコウウの軍を誘導した。
(戦うとすぐに逃げ、あたかも自分達の弱さを最大限に強調しているかのようだった。それは、私の軍に架空の勝利を味わせた。ところが、最後に逃げた先のここに、堅固な陣地を構築していた)
「一見、ばかげた戦法だがな。しかし、今から考えると最も合理的で勝利する可能性が高い方法だ」
目の前でカンシンが漢の軍の陣地を敷いていたのは、穀物の巨大貯蔵所だった。
もう滅亡してしまった以前の世界帝国が、全国から年貢として大量に徴収していた穀物だった。
数年分を厳重に貯蔵できるように堅固な作りになっていた。
常に腹一杯食べられる敵。それに比べ味方はだんだん食事の量が減っていった――
最終的に、コウウは負けて自害した。
その時、常にそばにいて彼を励ましてくれた虞美人も同様だった。
「カンシンよ。今度は負けない。おまえだけには絶対に負けない。しかし、しかし、今度の人生では、我が最愛の具さえ、私から奪うのか!! 」
強烈な嫉妬の青白い炎が燃えさかっていた。
コウウは楽しそうに話しがはずんでいる2人に近づいていった。
神崎信は気がついた。
彼は以前、新宿のある店で4ヘッドとの麻雀ゲームの戦いをした。
その時、私鉄の総帥、林龍について店に来てた男が近づいてきていた。
「あれは確か‥‥ 私鉄の総帥のそばにいた人。なんでこんな場所にいるのかな? 」
コウウは神崎と具のそばに来て話しかけてきたた。
コウウを見た瞬間、具美玲の顔が明らかに変わった。
何か特別なことを感じたようだった。
「きみは確か、神崎君だね。あの4ヘッドとの戦いは見事でした。私は、林龍が経営する○武鉄道の経営統括本部長です。御相談があります」
「どのようなことでしょうか」
「失礼ですが、林のお嬢様と婚約されていて、やがて御結婚されるのですね」
「そうですが」
「2つ質問があります。よろしいですか」
「どうぞ」
「こんな人通りが全く無い道で、すばらしい美女と2人だけでお話されているなんて。まさか、特別な御関係があるのわけではないでしょうね」
コウウの非常にぶしつけな質問だったが、これには具があわてて急いで答えた。
「いえいえ、コウウ様。そのようなことは全くありません。私は神崎さんの婚約者であるミンメイさんの幼なじみです。そして、たった今。神崎さんとお会いしてミンメイさんがらみのお話をしてただけです」
コウウは具の顔をまともに見ることができないようだった。
具の言葉に声を出して反論することは不可能だった。
ただ、心の中で嫉妬の青白い炎はさらに燃え上がった。
(なにをわざとらしい。こんなシチューエーション!! 簡単にできるわけない!! )
「いいでしょう。お嬢さんの話なら、信じざるを得ないです。もう1つの質問です。林龍が娘さんの結婚式に御列席されたいそうです」
「えっ!! そうですか!! ミンメイさんも喜びます。もちろん、招待状をお出しします」
「少し話しがややこしいのですが、我が主から神崎さんに、たってのお願いがあるそうです。もう1回、麻雀ゲームで実力を見たいとのことです」
「麻雀ゲームですか? 」
「林龍も、もう相当な年です。誰か跡継ぎにグループの統治を委ねたいそうです。譲るとなれば、当然、お嬢様の婿になられる神崎さんです。神崎さんの力を確実に確認されたいということです」
「あの~ 結婚式への御列席はミンメイさんにとってもうれしいことだと思います。血がつながった父と娘ですから。ただ、僕が私鉄グループの統治を引き継ぐなんて、とてもできません」
(カンシンよ。転生しても根本的に性格は変わらないのだな。控え目で慎ましく自分を常に下に見る。
自分自身のほんとうの力に全く気が付いていない)
「神崎さん。それは後で拒否して、逃げ回れば良いじゃないですか。まず大切なことは、ほんとうの父と娘が理解し合うことだと思います。その後のお2人の人生を輝かせるためです」
一瞬間があったが、神崎信は真剣な表情でうなずいた。
お読みいただき心から感謝致します。
今までとは少し違った物語ですので、おもしろいかとても心配です。
※更新頻度
週1回、日曜日午前中です。不定期に午後や土曜日に更新させていただきます。
作者のはげみとさせていただきますので、もしよろしければ、ブックマークをお願い致します。
一生懸命、書き続けます。




