英雄と英雄を戦わせることを提案された
第5作目の投稿です。
1千年をかけて結ばれる2人の恋愛物語です。
作者のはげみとさせていただきますので、もしよろしければ、ブックマークをお願い致します。
一生懸命、書き続けます。
是非是非、お楽しみください。
「僕とミンメイさんに災厄ですか? 」
「はい。御注意ください。一見、平和で幸せな毎日がすぐにやってくると思われるのですが、そんな時には注意しなければなりません。英雄に対して運命は厳しいのです」
「ありがとうございます」
今、何時くらいだろうと思い神崎信は時計を見ると、もう11時を過ぎていた。
「ところで、お嬢さん。これで大丈夫でしょうか。システムにウィルスが侵入したとはいえ、一応、僕が勝ちました。あなたの借金は今日、支払わなくてもよくなったのですね」
「えっ‥‥ そうそう。帳消しになったと思います。ありがとうございます」
魔女リリは、彼が祖母が言った真実を全部無視したことに驚いた。
(どういうこと? この子ばかなの。おばあさまが言ったじゃないの、私が3人を使って、実力を試そうとしました。英雄の転生者であることを知っているか。それで危険な戦いに追い込んだのよ)
彼は大らかな性格だった。
だまされたかもしれないが、結果として、とても不利な戦いに勝てた。
1人の女の子を救うことができた。
自分がそう考えれば良いと思った。
だまされたとしても、それで構わないと思うことができる性格だった。
彼は電車の時間が気になった。
「失礼します」
それで、急いで外に出て駅の方に走り始めた。
この国有数の私鉄グループの総帥は自社ビル最上階にある広い執務室の中にいた。
今、この男の心の中にある最大の懸案は神崎のことだった。
4ヘッドの戦いに勝った初めての若者だった。
その才能はやはりレベル1を超えていると思われた。
そして、その若者は自分の娘と婚約したことを聞いた。
普通の父親であれば立派な人物と結婚する娘を祝福するだろう。
しかし、総帥林龍の場合は全く正反対だった。
若い頃、数年間、異国に駐在していた時、ごく短期間現地の娘と結婚した。
自分の妻は美しく聡明な女性だった。
しかし、すぐに彼は彼女を捨てた。
それはやむを得なかった。
彼の家業は鉄道事業であり、政治家とのコネが必要不可欠だった。
それで、直ちにある有力政治家の娘と愛のない結婚に踏みきらざるをえなかった。
帰国するその日に秘書が離婚の手続きを済ませた。
その日、彼女は言った。
「お別れが辛くなるから、今日は朝から留守にするわね」
彼の目を見つめていた。
大きくて美しい目だった。
自分を簡単に捨てて逃げようとしている彼への恨みは全く見えなかった。
それ依頼、彼は彼女の毎日を継続して調査させていた。
しばらくして、女の子を出産したという報告があった。
それを聞いた瞬間、彼はとてもうれしかった。
しかし、
他の鉄道会社や国の鉄道との激烈な戦いが彼の心を急激に痛めた。
冷酷で非情な経営者にならなくては、絶対に勝てなかった。
年を重ねた今、彼の人生の最大の悔いは彼女だった。
「そっとしてほしいのに、それがなんで娘がこの国に来るのだ。それによりによって、今、この国で最強の能力をもっている若者と結婚するなんて、自分への復讐を頼むのか‥‥ 」
「おじさん。そんなに真剣に考えてると体に悪いわよ」
急に、自分以外には誰もいないはずの執務室で、私鉄の総帥林龍は声を掛けられた。
「誰だ」
「ここにおります。深淵の魔女ローザの孫娘リリです。今日は、おばあさまが依然受け取っていた手付金を返しに参りました」
ドスンという音がした。
気が付くと、彼の机の上にかなりの札束が置かれていた。
机の上に魔女の装束を着た若い娘が腰をかけていた。
「返すということは、契約を取り消すということか? 」
「そうです。あなた様の娘さんと御婚約した若者を倒すことは無理です。あれは英雄の転生者です。しかも、普通の英雄ではありません。人間の歴史に残った最大の英雄です」
「そこをうまくやるのが深淵の魔女ではないか」
「あら~ おじさま。英雄の転生者はあなたの娘さんと婚約されたのですよ。最強の男性がこれからずっと彼女を愛し、彼女の幸せな毎日を作って行くのです。それをなんで壊そうとするのです」
「あいつ、神崎信はきっと私の地位を狙っているに違いない。私に対する恨みを娘からもたくさん聞いているに違いない」
「被害妄想でしょう。それとも、転生前に御自身がやってしまったことに縛られているのかしら。なにしろ、自分の娘に愛する人を亡き者にさせたのですからね」
「なにをわけの分らないことを言うんだ。私は神崎を亡き者にしたいわけではない。徹底的にたたきつぶしてやれば気が済むのだ。それは、麻雀ゲームの中の戦場の中で良いのだ」
「それは不可能ですよ。全く不可能です。あの若者はどんな困難なことでも不可能としません。神が彼に与えたギフトは、必ず困難を乗り越えさせます。結果、必ず困難を乗り越えます」
「そんなことはわからないじゃないか。たとえば、魔法でバーチャル空間の戦場を徹底的に不利にしてしまえば良いのだ。勝つ可能性がほぼ0%に!! 」
「例えそうしても、彼は勝ってしまします。私が実験しましたから良くわかるのです。3倍の的、3万人の兵力差、いきなりのシチュエーションでも彼は勝ちます」
「適当なことを言うな」
「適当ではありません。しっかりした根拠があります」
「まさか‥‥ 」
「今、おじさまが思われたとおりです。私は彼が負けるのが必然のシチュエーションに、彼を投げ込みました。しかし、彼は勝ちました」
「‥‥ 」
「ショックですか? 良いじゃないですか。彼はあなたの娘さんの夫になるのですよ。これから仲良くすれば、素敵ですよね」
「それは無理だ―― 」
「どうしてですか? 」
「どうしてかはわからない。不思議なことだが神崎信のことを考えると、言いようのない恐怖心が湧いてくる。彼が私の全てを奪ってしまうと」
「おばあさまが言ってましたわ。かって、長い距離、時間、次元を超えておじさまが転生する前、あの英雄とあなたの娘さんにひどいことをしたのです。そのことが忘れられないのですね」
「なんとかならないものか。もう、この気持ちに耐えられない」
「それでは、良いことをアドバイスします。英雄の転生者と英雄の転生者を戦わせるのです。そして打ち破ったら、おじさまの目にとまらない場所で隠れるように住むことを約束させるのです」
「英雄の転生者? 」
「よく考えてください。あの若者は神崎信=カンシン、そして同じ時代最強の戦士がいましたよね」
「‥‥‥‥‥‥そうか、コウウ!! 」
お読みいただき心から感謝致します。
今までとは少し違った物語ですので、おもしろいかとても心配です。
※更新頻度
週1回、日曜日午前中です。不定期に午後や土曜日に更新させていただきます。
作者のはげみとさせていただきますので、もしよろしければ、ブックマークをお願い致します。
一生懸命、書き続けます。




