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3対1の戦いを英雄は勝ち抜ける

第5作目の投稿です。

1千年をかけて結ばれる2人の恋愛物語です。

作者のはげみとさせていただきますので、もしよろしければ、ブックマークをお願い致します。

一生懸命、書き続けます。

是非是非、お楽しみください。

 神崎信(かんざきしん)が魔女リリの後についていくと、ある麻雀店についた。


 2人が入ってきたことを見ると、カウンターの店員ははっとしてボタンを押した。


「いらっしゃい。麻雀ゲームをなされるのはどちらでしょうか」


「僕です。それから、このお嬢さんのことを待っている方々がいるはずですけど? 」


「その方々かどうかはわかりませんが」


 店員はそう言うと、待合室のソファーセットにいた3人を見た。


 すると、その3人は立ち上がり、その内の1人が麻雀ゲーム室の1室を手で指さした。


「あの男達です。間違いありません」


 リリがそう言うと、彼は3人の男達に続けて同じゲーム室に入っていった。


「では戦ってきますね」


 彼はそう言うとゲーム室に入って行った。


 リリは部屋の外に1人で残った。


 彼女は麻雀ゲームのクラウドネットワークの中を魔眼で調べた。


 そして、バーチャルの中を調査した。


(意外にしょぼい戦場なのね。1人のプレーヤーが率いるのがたった15人の軍団なんて。ここは私が大いに盛り上げてあげるわ!! その方が彼の力が発揮されるでしょう!! )


 その後、魔法式を詠唱し、指先で魔法紋を形作った。


「いつわりの世界の戦場を大きくする。戦う兵士を1000倍にせよ。そして、人間の感情を現実に近づけるのだ。恐怖は真の恐怖へ。痛みは真の痛みへ。リアル―― 」


 彼女の指からエネルギーの固まりが放出され、ネットワークに入っていった。


 エネルギーの固まりはコンピュータウイルスのようにプログラムの結果を変えた。




 対戦する4人がゴーグルをはめて横たわった。


 すると不思議なことに、なかなかバーチャルの世界が展開しなかった。


(何かエラーが発生したのかな‥‥ )


 神崎信(かんざきしん)はそう思ったが、すぐにバーチャルの世界が展開された。


 ところが、そこは大がかりな戦場だった。


 それに最も異常なのは、配属された軍勢の数が莫大だった。


 通常は1人ずつ15人配属されるが、1,000人の軍団ごと1万5千人が配属された。


「将軍。どのように戦いますか? 」


 神崎に副官が質問に来た。


 副官は2メートルを越える筋肉隆々の大男だった。


 彼は言った。


「ただ、一つのことだ。戦法は『勝つ』だ。私の考えるとおり戦えば必ず勝てる。そうであろう。絶対に負けない。必ず勝つ」


「将軍。さすがでございます」


 副官は去って行った。


(確か今の男は副官の李斯。なんでだろう、なんで知っているのか? そして、さっきの受け答えは、自分ではないみたいだった)


 ミンメイと婚約してからは、あまり感じなくなった感触だった。


 しかしその前は、頻繁に昔のことのように想い出していた。


 彼は戦場の状況をすぐに把握した。


 そして、戦いで勝つための方法を思いついた。




 伝令が報告に来た。


「申しあげます。敵が移動を始めました。しかも、3つの軍がこちらの方に殺到しています」


(これが麻雀ゲームだったら、あり得ないこと。他の3人が1人を攻撃するなんて!! )


 間髪を入れず、彼は全軍に指示した。その決断のスピードは常人よりも何倍も速かった。


「今すぐ、北方に全速前進。この地は放射状に四方へ街道が伸びている。その内、北方へ向かう道を進むのだ。我らに攻めかかっている3つの軍勢は多数を認識し油断しきっている。最初にそのうちの1軍を撃破」




 四方の街道の中で北方へ向かう道のみが下っていた。


 彼は地形を利用して勢いをつけるとともに、機動性を最大限に活かして全速前進した。


 1万5千人もの軍勢が、恐るべき早さで、のろのろと前進してくる敵の1軍に攻撃を掛けた。


 神崎信(かんざきしん)は自分の軍の先鋒を重装の戦車で固めていた。


 その戦車を軍の先頭に押し立てて全速力で突進させた。


 北の道を上ってくる敵の1軍は油断しきっていた。


 戦いはまだずっと後だと思っていた。


 そのため、途中で野営地に適した場所を探していたくらいだった。


 結果として、彼の軍の奇襲は大成功をおさめた。


 初戦で、敵の3軍のうちの1軍を短時間に打ち破った。


 戦いが一段落すると、彼は全軍に指示を出した。


「さらに北方へ前進。そこにある小高い丘を中心に布陣する」




 敵の2軍は放射状にある街道の中心地で出会った。


 すると、そこは既にもぬけの殻だった。


「どこに言ったのだ」


「どうも北方の道を下り、途中で我が友軍の1つと交戦したようです」


「その結果は? 」


「今、確認させています。しかし多くの敗残兵が逃げてくるところを見ますと、我々の友軍の負けだと思われます」




 一方、神崎の本陣の様子だった。


 副官の李斯が彼に指示を仰ぎにきた。


「いつもながら見事です。さすがに英雄の即断と勇気で、敵の3分の1を撃破することができました。しかし、敵は依然、我が方の2倍の兵力、どうなされますか」


「全軍が居る場所は、ここら辺で比較的高い土地ですか? 」


「はい。将軍がいらっしゃるこの小高い丘を中心に」


「それでは、この下に川が流れていますが。その丘をなんとかせき止めましょう」


「川をせき止めるのですか」


「たぶん敵がこの地に進軍してくるのに後1日しかありません。普通無理ですね。でも無理じゃないような気もします」


 彼は突然歩き始めた。


 そして、副官の李斯などが後に続いた。


 小高い丘の下を流れている川の様子を確認し始めた。


 時間がもう無いというのに、彼は川沿いを注意深く確認した。


 すると、神崎信(かんざきしん)はいきなり大声を上げた。


「あった。見つけた!! 」


 そこは、小高い丘の真下、崖に密着して川幅がとても狭くなっている場所だった。


 彼は丘の上を見上げ自身深く笑った。


 そして指示した。


「副官。力が強い屈強な兵士ばかり千人ほどを集めてください」


 深夜、兵士が丘の上に集められた。


 もう深夜だった。


 眠くて仕方がない兵士達には不満をもっているものが多かった。


「ありがとう。大変だけど、お願いしたい!! 」


 いきなり将軍が彼らの前に現われた。


 兵士達はあっけにとられた。


 伝説がそこにいた。今の現実の世界では神崎(かんざきしん)だった。


 しかし、彼らの心の中にはある名前が浮かんでいた。


 カンシン、国士無双!!!!


 その伝説が彼らに深々と頭を下げてお願いした。


「戦術に関係するのに言えないが、この巨岩をでいるだけ多く、ここから落してほしい。我が偉業の達成に手伝ってほしい。お願いします」


 すると伝説が、自ら率先して巨岩の一つを押し始めた。

お読みいただき心から感謝致します。

今までとは少し違った物語ですので、おもしろいかとても心配です。


※更新頻度

週1回、日曜日午前中です。不定期に午後や土曜日に更新させていただきます。

作者のはげみとさせていただきますので、もしよろしければ、ブックマークをお願い致します。

一生懸命、書き続けます。





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