惨劇
そろそろ激しくなっていきます!
戦闘シーンは相変わらず難しい......。
「フォォオオオオッ!!」
1体のフォーンがルリに向かって走って来る。
「砲兵構え!」
第4小隊、第1小隊の砲兵が1人ずつ、ルリの背後で銃を構える。
「撃て!」
その2人は、走ってくるフォーンの顔面を撃ち始めた。
しかし、フォーンは角をこちらに向けて弾丸を弾くことで、怯むことなく突っ走ってくる。
「撃ち方止め!」
ルリが指示を出し、2人は引き金を引く指を弛めた。
「ッ……? フォォ――」
銃撃が止んだことに気づいたフォーンが顔を上げる。
と同時にルリがフォーンの足元に忍び込み、胴から首にかけて戦斧を振り上げた。
フォーンは青い血を噴き出し、叫ぶ暇もなくその場に倒れた。
「まずは1体」
フォーンは飛び道具を自慢の角で弾く習性がある。
しかしその間は視界がかなり悪くなるため、前方がほぼ見えない。
つまりずっと撃ち続けてたら、敵を見失いかけていたから、銃撃が止んだ直後、敵の位置を確認するため顔を上げる。
その瞬間は隙だらけって訳だ。
「この要領だ! 予め組んだチームで同じようにやること!」
近接部隊1人、砲兵2人のチームを2つ。
近接部隊1人、砲兵1人、狙撃手1人のチームを1つ
近接部隊1人と狙撃手1人の、補助重視のチームを1つに分けていた。
「とっとと片付けて援護に行くぞ」
「応ッ!」
◇ ◇ ◇
「はい! これで全員自己紹介が終わりましたね!」
ラギルスの部隊はまだ出撃しておらず、やっと全員の自己紹介が終わったところだった。
「やっとか……」
「まさか1人1人深堀りするとは……」
ジャズとトーカはもうくたびれていた。
「よし! じゃあ出発……あれ? 他の皆さんは?」
「もう行っちゃったよ?」
周りが見えてなかったラギルスに、アリナが教えてあげた。
「う、嘘っ!? 私たちも早く行かないと!」
ラギルスが慌てながらスクラープを完全装備する。
その時――。
「ほ、報告! レオ部隊からの通信!」
第1小隊の騎兵が、通信が入ったことを告げた。
そこにいる全員が耳を傾けたのを確認すると、続けて通信内容を報告した。
「レオ部隊が! フォーンとは別の人型モンスターと遭遇! 難易度はAからS級と推測!」
AからS級という言葉に、全員がどよめいた。
「げ、現状はどうなっていますか!」
周りがざわめく中、ラギルスは現状の様子を聞いた。
「げ、現在第1小隊小隊長レオが応戦中。しかし、重傷者1名、し、死者2名……と」
死者が出た。
これだけで全員の士気がグンと左右された。
「……場所を」
全員が静まり返る中、ラギルスは冷静に聞いた。
「む、向こうですっ」
その騎兵は震えながら、先ほどレオ部隊が出撃した方向を指さした。
「ラギルス部隊! フォーン討伐からレオ部隊救出へ作戦変更! ついてきてください!」
ラギルスはスクラープをフル稼働し、騎兵が指さした方向へ、全速力で走り始めた。
「おぉ、俺らも行くぞ!」
ジャズの一言でみんなはハッとして、スクラープを完全装備してラギルスを追っていった。
「ベルハラ! お前を主軸に、今後の動きを決めろ! もちろんルリとグラルバにも連絡してからな!」
ジャズはさらに、ベルハラに今後の大雑把な指示を出した。
「あ、ああ」
返事したのを確認したジャズは、ラギルス部隊の最後尾を走っていった。
「……ふぅ。誰かグラルバに連絡してくれ! 私はルリに連絡する!」
ベルハラは無理やり声を張って周りに指示を出した。
「クソっ……切り替えねぇと」
ベルハラは、グレードフープを通してルリに通信を入れた。
◇ ◇ ◇
「どうして……どうしてこうなったんだ……」
目の前の惨劇を見て、ボロボロなスーリンは、悲痛な声を上げた。
――それは10分前のこと。
「よし……敵だな。行くぞ!」
人型モンスターに、レオは1人で飛び掛かった。
「フッ!」
レオは一気に距離を詰めると、振りかざした剣を、頭目掛けて振り落とした。
ガキンッと音を立て、レオの攻撃を大鎌の柄で受け止めた。
そして、再び距離を取るようにレオを弾き飛ばした。
「今のを受け止めるか。だったら!」
レオは先ほどと同じように距離を一気に詰める。
今度は剣を振りかざさないで、あらゆる方向から斬撃を浴びせた。
「ウゥ……」
レオのコンパクトな攻撃を柄で受け止め、躱し、傷を負うことなくすべての攻撃をいなした。
「オォッ!」
攻撃を見切った敵は、攻撃の隙をついてレオの腹に蹴りを入れた。
「ぐっ……」
レオは苦しそうな声を出し、後方に吹き飛んだ。
「レオが飛ばされた!?」
第1小隊の砲兵が声を上げた。
確かに蹴りだけで5、6mほど飛ばされたということは、かなりパワーもあるということだ。
「ちゃんと人間ぽいことするんだね」
レオは吹き飛ばされるも、倒れることなく余裕を見せる。
「オォォッ!」
余裕を見せるレオに、今度は敵が攻撃を仕掛けてきた。
「来い!」
身構えるレオに一瞬で距離を詰めたと思うと、大鎌をぶん回してきた。
「くっ!」
レオは見事に剣で攻撃を受け止めたが、押される形で弾かれた。
大鎌が規格外の大きさのため、明らかに剣の反撃が届かない距離が保たれている。
そのため、レオはその後も、大鎌による攻撃をただ凌ぐしかできなかった。
「――撃て」
2人の攻防が激化する中、スーリンは通信で誰かに発砲の指示を出した。
直後、スーリンたちから見て左の方向から重い銃声が鳴り響いた。
陣形を組んでいる間に、1人しかいない狙撃手を絶好の狙撃位置に潜ませていたのだ。
「ッ……!?」
人型モンスターは、とんでもない反応速度で間一髪弾を避けた。
「避けられた!」
ダルカンは素っ頓狂な声を上げた。
「いや、ほんの少しだけでも隙を作れば……」
「ハァッ!」
スーリンの言う通り、一瞬の隙を見逃さなかったレオが反撃に出た。
「余計なお世話なんだけどね」
相変わらず減らず口を叩くレオは、下半身を集中的に連撃に出た。
「ウッ」
身長が高く、大鎌の武器を使う人型モンスターは、低い連撃の対処に苦戦している。
一気に攻守が交代した。
この調子でいけば討伐できる。
すでにスーリンの脳内では、レオが勝つ未来が見えていた。
いくらリーチが長い大鎌でも、懐に入ればほぼ無力だ。
「うおおおおっ!!」
「いけぇええええ!!」
レオや他の隊員も、押せ押せな雰囲気になっている。
「なんとかなりそうだな」
アランが、後ろからスーリンに話しかけた。
「ああ、正直この部隊は、レオがどれだけ優位に戦えるかにかかっているからな。ああなったらもうこちらのペースに――」
突然、ブンッという聴いたことがない音がしたと思うと、人型モンスターの姿が消えた。
「は?」
全員が、ハトが豆鉄砲喰らったように、モンスターがいたはずの場所を見つめている。
その時、別の位置にいた狙撃手から通信が入る。
「後ろ!!!」
「がっ…………え?」
通信直後、後方から悲痛な声が聞こえた。
全員がゆっくりと振り返ると、そこにはあの死神のような人型モンスターが立っていた。
右手に持った大鎌の刃を、第1小隊の砲兵の腹を突き刺した状態で――。
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