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失顔探偵 ᒐᘄがƕ たƕてい 〜失顔症のJKと所轄刑事の捜査チーム〜  作者: 路明(ロア)
第6話 地獄の沙汰も顔次第

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警察署四階 署員食堂 2

「は……?」

 (まこと)は、呆然と花織(かおり)の顔を見た。

 百目鬼(どうめき)が無言でスマホの画面に目線を移す。

「これ、妖怪役やってる人と違います」

「えと……」

 唐突に言われたので誠は戸惑った。花織のスマホに表示されたドラマをしばらく眺める。

「ど……どこから」

「妖怪ものは第一話と最新話を少々だけ観ましたけど、このOL役の人とは別人です」

 花織が説明する。

「……一話から?」

「一話目の放送開始っていつだ?」

 百目鬼が身体を少しかたむけてスマホ画面を見る。

「えと……三ヵ月近く前からじゃないかと」

 誠は答えた。

「撮影期間を入れたらもっと前か」

 百目鬼が眉をよせる。

「最新話も?」

「最新話と一話目の人は同じです」

 花織が答える。

「妖怪ものと昨日の特番は」

「同じ人です」

 誠の問いに花織がそう答えた。

「この件と関係あるのか無いのか知らんが、確かなら気味悪いな……」

 百目鬼が椅子の背もたれに背をあずける。

「確か?」

 さすがに唐突すぎて当惑する。誠は花織にそう尋ねた。

「ぜったい間違いないです」

 花織が断言した。

「歩くときの足運びのクセも腕の動かし方も、振り向くときのクセもぜんぜん違います」

「演技を変えてるだけってことは……」

「あと、声が違います」

 誠はスマホに表示されたドラマの画面を見た。

 花織に目配せして音量を上げてもらい、OL役の真船 令奈(まふね れな)が話す声をじっと聞く。

 楽屋で話を聞いたときの声、昨日の特番で沈んだ感じで話していた声を思い浮かべた。

「同じ声だと思うけど……」

「すごく似てはいます。声優さんなんかだと、アニメ放映の途中で演じている人が変わっても、気づく人はほとんどいないそうです。演技力で似せてるんだと思います」

「演技力……」

 百目鬼が呟く。

「すり変わってるのは、演技の心得がある人間ってことか?」

「どうなんでしょう……」

 誠は眉をよせた。

 楽屋を訪ねたときには、元の顔がほとんど分からないメイク、昨日の特番出演時には、顔の輪郭(りんかく)くらいしか判別のできないヴェールがついた帽子。

 このあたりだけなら、誰かが真船 令奈に成りすますのは確かに可能だと思うが。

「いやでも何のために?」

「仕事エスケープ、こっそり不倫相手に会いに行った、ネットに脅迫するような書き込みあったから影武者を立てた」

 百目鬼が可能性のありそうなことを挙げる。少々挙げる内容に偏りがある気はするが。

「影武者って。戦国時代じゃないんですから」

「脅迫書き込みなんてあったんですか? どこ? ツイッター?」

 花織が声を上げる。

 さすがに署員食堂で女子高生の甲高い声は目立つ。食堂内の一人二人がチラッとこちらを見た。

「百目鬼さん、言っちゃっていいんですか?」

 誠は顔をしかめた。

「俺らよりネット覗いてそうな嬢ちゃんなら、どうせそのうちどっかの書き込みで知るだろ」

 花織がスマホの画面を見る。

 即座に検索したそうだったが、ドラマを表示しているため今はやめたようだった。

「今はもう書き込みは削除されたってさ。ここ二週間はないようだって」

 誠は答えた。

「二週間も前の話なんですか?」

「まあ……真船 令奈さんの付き人さんが行方不明ってことで話を聞きに行ったとき、関連してるかもって感じで出てた話だから」

「付き人がいなくなった頃にパッタリ止んでるのがな」

 百目鬼が補足する。

「脅迫の書き込みをした人が付き人さんに何かした可能性があるってことですか?」

 花織が尋ねる。

「いやそこは断言できないし」

「今どきの警察なら、書き込みした人くらいすぐに分かると思うんですけど」

 花織が唇を尖らせる。

「海外のサーバー経由してて」

 誠は眉をよせた。

「使えないですね」

「技術だけの問題じゃなくて、海外のサーバーだと日本の令状が通用しないってのもあるから」

 スマホを見ると、ドラマはもう終盤だ。字幕が流れエンディング曲がかかっている。

 一般の未成年にちょっとしゃべりすぎたかと誠は軽く口を抑えた。

「ともかく暗くならないうちに帰りなさい。いくら陽が長いっていっても、あと一時間もしたら暗くなるよ」

 誠はスマホを花織に返した。花織が受け取りながらも唇を尖らせる。

「女優さんの中の人が誰なのか、めっちゃ気になるんですけど」

「花織さんの意見は参考にさせてもらうから。じゃあね、気をつけて」

 食後に飲んでいたコーヒーの缶を捨てるために席を立つ。

 ほぼ同時に百目鬼が席を立ち、スタスタと食堂の出入口に向かった。





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