表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
失顔探偵 ᒐᘄがƕ たƕてい 〜失顔症のJKと所轄刑事の捜査チーム〜  作者: 路明(ロア)
第4話 花より団子よりお金でしょ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/455

警察署二階 刑事課 2

「整形したやつを司法解剖した場合、顔にシリコンやらワイヤーやら入れてたら分かるけど、そうじゃない場合はまあ何ともだとさ」

 刑事課。

 (まこと)が外から帰ると、百目鬼(どうめき)がキャスターつき椅子ごと誠のデスクへと移動してきた。

 タブレットを差し出す。

 問い合わせに対しての医師のメールと思われるものが表示されている。

「見た目で分かるのは、不自然な場合だと。そうじゃない場合は、以前と顔が大きく違っているのでバレる」

「まあ、その辺はふつうに分かりますが……」

「あの水死体が、本当にお嬢ちゃんが言う通りの “前の佐藤 一郎(さとう いちろう)” だとしたら、顔は整形されてるってことになるのか」

 百目鬼が顔をしかめる。

「もしそうだとしたら、捜索願いが出されてたとしても顔写真は役に立たな……」

 誠はふと黙りこんだ。

 百目鬼も口をつぐみ、目を泳がせる。

「……いまお前、縁起でもねえこと考えたろ」

「縁起なんですか……」

 百目鬼が刑事課の入口を見る。

「あーやべ。あのお嬢ちゃんが、ダブルピースで乱入してきそうな気がしちまった」

「いくら花織(かおり)さんでもそこまでは」

 誠は苦笑した。

 誠のスマホが鳴る。メールのときの音だ。

 デスクの上のスマホを手にとり、画面を見る。

 余目 花織(あまるめ かおり)と表示されていた。

「えっ、うわ。花織さんっ?!」

「なにお前、お嬢ちゃんのメアドあれからそのままなの?」

 百目鬼が顔をしかめる。

「いや……特に消去する理由もないというか」

「いいから見ろ。昨日のヘドから、吐いたやつの身元を割り出したとかかもしれん」

「いくら花織さんでもそこまで行ったら超能力ですよ」

 誠は顔を軽くしかめて表示を見た。

 「ああ」と呟く。

「……“佐藤 一郎” が退院したそうです。ちゃんと治療費を支払って」

 「ほお」と百目鬼が相槌を打った。

「ならお嬢ちゃん側は問題なしか」

「だと思うんですけど」

 花織とはこれまで四度ほど関わっている。そろそろ性格がつかめてきた気がしていた。

 まさかと思い、誠はメールの画面を下へとスクロールしてみた。


 「尾行開始!(絵文字)」


 何行かの空白をあけ、残りの一行が現れる。

「やっぱり……」

 誠は(ひたい)に手を当てうつむいた。

「無償でようやるなあ」

 百目鬼が横から覗く。

「俺なんか、これより給料下がったら交番勤務に戻りてえところだ」

「いや、というか」

 誠はあわてて花織の番号にかけた。


「──はい」


 さほど間を置かず、声を潜めた花織が通話に応じる。

「花織さん? いまどこいるの。余計なことしないで戻って」

「──いまタクシーの中です。被疑者は県道を椀間市に向かって南下中」

「降りなさいっ!」

 誠は声を上げた。

 というか、まだ被疑者じゃないしと脳内でつけ加える。

「──あ、大丈夫です。病院の職員用のタクシー券使ってます」

「そういう問題じゃないの」

 百目鬼が、ほとんど無視状態でタブレットを操作する。

「あっ、降りた」

 花織がスマホから顔を逸らした感じでそう言う。

「──運転手さん、降ります、停まって」

「花織さん!」

 誠は語気を強めた。

「百目鬼さん、俺ちょっと行ってきます。──花織さん、このまま切らないで」

 椅子にかけた上着とワゴン車のキーを手に取り、誠はバタバタと出入口のドアに向かう。

「あ、俺も行く」

 百目鬼がタブレット画面を見ながら椅子から立ち上がった。




「お嬢ちゃんが言ってた、ふだん着物を着てる人って線で行方不明者の一覧見てたんだが」

 ワゴン車の助手席に乗りこみながら百目鬼が切り出す。

「該当する人いましたか」

 誠は急いでシートベルトを締め、エンジンをかけた。

 人を殺しているかもしれない人間のあとをつけるとか。高校生の好奇心としては行きすぎだ。

 ふたたびスマホを耳に当てる。

「──花織さん? 絶対に切らないでね。いまどんな所。なるべく安全な所にいて」

 百目鬼が誠の手からスマホを取り、耳に当ててくれる。

「すみません」

「いいから安全運転しろ」

 そう言うと、誠に代わって通話に出る。

「お電話代わりました。お嬢ちゃん、そこどこだ。和菓子に関係するとこか?」

 「ピンポーン」という花織の声が漏れ聞こえる。

「和菓子?」

 誠は百目鬼を横目で見た。

「よそ見すんな」

「すっ、すみません」

 ウインカーを出し、公道に出る。

 確かに、和菓子屋の店員か何かなら店によっては和服を着ている。

「行方不明者の一覧に、仁令 薫(にれ かおる)っていう三十七歳の和菓子職人がいた。わりと老舗の和菓子屋の経営者だ」

「その人が、“前の佐藤 一郎”?」

「顔を変えられてるって話が本当なら、和菓子屋で何か借りてDNA鑑定するのが一番早そうだな」

「経営上の揉め事でしょうか」

 誠は問うた。

「そこまでは分からんが」

 百目鬼のスマホが鳴る。

 片手に誠のスマホを持ち、もう片手で自身のスマホを持って、百目鬼は通話に応じた。

「──はい」

 簡単なやり取りをしてから、百目鬼が自分のスマホを仕舞う。


「ゲロの内容一致した。どっちからも有機リン系の化合物が出たとよ」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ