秋を数えて
珈琲よりもお茶を飲むことが多いようです。理由としては、お茶のほうが手間をかけず、本格的な香りを楽しめるからです。
ただ、珈琲を飲むとなればインスタントはいやで、ドリップをしたくなります。
珈琲は香りは好きですが、酸味と後味が苦手なので、できるだけ酸味の少ない豆を選びます。豆も煎りたてとはいきませんが、都度、引くようにはしています。二度引くと、引き加減のばらつきは少なくなります。また、引けば、どうしても粉が出て雑味につながりますから、篩で粉を取り除きます。
ネルドリップがより本格的なのでしょうが、サイフォンを使うと濃く抽出されてしまうので、私レベルでは酸味や苦味が立ってしまいます。ですので、紙臭くなると仰る方もありますが、ペーパードリップです。
引いた珈琲豆は多めに入れます。その際、中央をすり鉢状に窪ませておくほうが、フィルターにお湯が回るのを遅らせることができます。
お湯を注ぐケトルは、滑らかに少量のお湯が注げる専用のものが良いようです。蒸らしは1分。その際、ポットに落ちた珈琲液は捨てます。それから、90度プラスアルファのお湯を、円を描くようにゆっくりと少しずつ、時間をかけて注いでいきます。抽出するのは、人数分の60%くらいで、フィルターにお湯が十分残っている間にドリッパーは外します。このポットに、ケトルの残りのお湯を適量注いで薄めます。薄めるのは個人的な好みです。濃く珈琲を抽出していますので、薄めても香りは華やかで、酸味は強くなく、苦味は感じられるくらいになる・・・ような気がします。
あとは、カップに注いで準備完了です。
夜中に、こういうことをしていると間違いなく家族の誰かに嫌がられます。本当は、夜中に秋を数えるのなら、珈琲は諦めたほうが良いようです。
秋は、陽の射す野を渡る 風ともしれぬ冷たさに
いたずら顔を覗かせて こっそり、隠れているそうな
秋は、落ち葉を踏みしだく 乾いた音の中にいて
気づけば、ひとりカサカサと 風と話しているそうな
秋は、日暮てゆく空を 茜に染めてゆくように
色褪せぬよう、もみじ葉に 紅を重ねているそうな
秋は、夜長を鳴く虫の 調べをたばね、風にのせ
夢の間に間を満たすごと そっと届けているそうな
秋は、夜空の三日月の 淡き光と舞い降りて
佇む人の寂しさに ただ、より添うているそうな
秋は、夜更けてゆく頃に 眠れぬ人の傍らに
その面影をしのばせて こころ満たしてゆくそうな
眠れぬ夜の戯言に 秋を数えてみることの
哀しいようで、おかしくて
窓を開ければ、珈琲は 白き香りを燻らせる
読み返すと明らかに、本文より前書きが長くなりました。ここまでお読みくださった方々、本当にありがとうございます。