別エンド リリアナ 6
リリアナ 視点 完結です。
でもまだ続きます。
ジュード様にキスをされると思ったのだけど……何も起こらない?
目を開ける。
ジュードはわたしの頬に手をやったままじっとしていた。
そして急に布団を思いっきりめくられた。
「ジェラルドー!!!!」
ジュードが叫んだ。部屋がビリビリと震えた。
「は、はいっ!!!」
戸が開いて、クリスと、ジェラルドが入ってくるなり、床に這いつくばった。
「「申し訳ありませんでした!!!」」
「お前ら、俺を騙して楽しかったか!!!」
「決してそんなつもりでは……」
「じゃあどういうつもりなんだ!!!」
「ジュード様!」
私は後ろから抱きついた。
「な、何を!?」
「私達のためにやってくれたのよ。私が普通に謝ると、結局また嫌いと叫んで負のループにはまると思ったのよね。面白半分にこんなことするわけないじゃない」
クリスとジェラルドはコクコクと頷いた。
「リリアナさん、恥ずかしいから離してくれないか」
「兄と姉思いの優しい二人を許してくれるなら」
「そんなに簡単に許せるものか! 俺がどれだけ……」
私は彼の前に回り込んで抱きついた。ジュードが真っ赤になった。
「リリアナさん、離して」
「ジュード様ごめんなさい。私のためなの。許してくれる?」
私は、全力で可愛らしく上目遣いをした。かなり恥ずかしいが、やり遂げなければ。
「うっ、……わ、わかった。許す」
「本当に申し訳ありませんでした」
「兄さん本当にごめんなさい」
二人は床に頭をつけて謝ると、慌てて部屋から出ていった。
「リリアナさん、二人は居なくなったよ」
ジュードは真っ赤な顔で口元を手で隠している。
私は嬉しくなってニッコリ笑った。
「ああもう、可愛いすぎる!」
そう言うとジュードは、私を抱き締めてキスをした。何度も何度もキスをした。ビックリしたけど、彼の気持ちが伝わってきて嬉しい。
ジュードは顔を離すと私を優しく抱き締めた。
「リリアナさんが元気で本当に良かった」
そう言って私の首元に顔を埋めた。
私は彼の髪をやさしく撫でる。彼がこんなに私のことを思ってくれているなんて。
しばらくして、二人でソファーに腰掛けた。
「リリアナは、俺をいじめて楽しかったのか?」
彼に呼び捨てにされてうれしくなる。
「楽しいわけないじゃない。でもジュード様の気持ちを聞けて嬉しかったわ。私のために泣いてくれてありがとう」
「俺は君の病気が手遅れだと聞いて目の前が真っ暗になったんだぞ。恐ろしくて体が震えて、どれほど怖かったか」
「本当にごめんなさい」
「この前嫌いと言われてから、君ともう今までのように話せないのかと思うと、寂しくてたまらなかった」
「ジュード様」
「これ以上辛い思いはごめんだ。リリアナ、ずっと君のそばに居たいんだ。結婚してくれないか?」
「嬉しい! ジュード様、私もずっと一緒にいたい」
ジュードはリリアナをギュッと抱きしめた。
「ところで、もしかして君の気になる人って俺のことだったの?」
「そうよ。あなたの興味ある人って私のこと?」
「そうだよ」
「『興味ある』って喜んでいいんだかどうだか、かなり複雑だわ。言葉の意味は似てるのに、好意じゃなくて面白そうだなっていう好奇心しか感じない」
「実際君に対する好奇心でいっぱいだったんだけど」
「好きって言ったじゃない」
「好きだよ。愛しくてたまらない」
「嬉しい」
私は喜びに震えながらジュードの胸に顔を埋めた。
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☆クリスとジェラルド
「ジェラルド、本当に巻き込んでごめんな。ジュードさんに殺されるかと思った。あやうく漏らしそうだった」
「兄さんのためだから。それにしても怖かった。さすがに騎士の殺気は半端なかった。俺も危なかったよ」
「ジュードさんはあの姉さんを手懐けるんだからすごいよ」
「君の姉さんのお陰で俺たちは無傷ですんだんだ。リリアナさんは流石だよ。あっという間に殺気が消えて良かった。漏らしてたら恥ずかしくて婿に来れなかったよ。もう、巻き込まれることがないといいな」
「二度とごめんだ! とりあえず皆に終わったと報告しないと。俺たちがいる2階へ近づかないように、部屋から出ないように頼んでたんだ。どんなに大騒ぎになっても来ないでくれって。
中途半端に介入されると困るから」
クリスは昨日、母親に相談して邪魔が入らないよう段取りをしていた。皆不思議そうな顔をしながらも指示通りにしてくれた。
とりあえず一番近い隣の部屋へ行き、扉を叩いた。
「アマンダ!」
「兄さん!」
「どうにか解決したようだ。もう大丈夫だから、安心して」
「良かったわ。うまくいったということね?さっきの怒鳴り声がすごくて飛び上がったわ」
「俺も、恐ろし過ぎて漏らすとこだった。すごい殺気だった」
「殺気だったのね。ものすごく怖くて震えたわ」
「ジュードさんの殺気は半端ないな」
「面白いものを聞き逃してはと、部屋に居たのを後悔してるわ」
「アマンダ……俺たちは死を覚悟してたのに呑気でいいな」
「兄さんは自分で考えたんでしょ。しょうがないじゃない」
「ひどいなあ」
「嘘よ。ありがとう、姉さんのためにがんばってくれて」
「アマンダ!」
クリスが感激して抱きつこうとしたら頭をはたかれた。
☆再びクリスとジェラルド。
「ヒドイ、俺も幸せになりたい」
「頑張れ」
「何で彼女が出来ないんだろう?」
「本気で彼女作る気なかったろ。お前はシスコンだからな」
「えっ?」
「特にお姉さん大好きだろ」
「え? まあ、確かに」
「お姉さんはこれからあまり構ってくれなくなるだろうから、彼女を本気で作りたくなるんじゃないの?
まあ、リリアナさんが、基準だと普通の女性が物足りなさすぎるよね。見た目といい、中身といい。クリスは苦労するな」
「なんかジェラルドが上から目線だ。
お前こそ、ソフィアとのことちっとも進展してないじゃないか。婿に来る心配以前の問題じゃないか」
「そうだな。俺とクリスの違いは好きな人がいるかどうかだけだな。俺もショック療法をされないうちにどうにかしないと……」
「そうだな。あんまりのん気にしてるとジュードさんに仕返しされるぞ」
「……はい」
リリアナ視点 (終)
次回から別エンドのジュード視点です。
本編はジュード視点も書いていましたが、リリアナ視点とさほど変わりなかったため掲載しませんでした。
次回からのジュード視点では、リリアナに肩を貸している時の葛藤や、お見舞いに出掛けるときのジェラルドとジュードのやり取りなども書いてますので、楽しんでいただけるはず。こちらは短めです。




