別エンド リリアナ 2
「横にはなれないけど、もたれてもいいぞ」
リリアナは酔いで、少しフワフワしていた。それに加えてジュードが側に居てくれる安心感でボーッとしてしまい、ジュードの言うまま彼にもたれ掛かり目を閉じた。
しばらくして、すっきりして目が覚めた。ジュードにもたれかかっていたことに気づき慌てた。どのくらいこうしていたのだろうか?
「あ、あの」
「スッキリしたか? 大丈夫か?」
「ええ。ありがとうございました。あの、もたれかかったりしてごめんなさい」
「俺が言ったのだから謝る必要はない」
そう言いながら彼は水の入ったコップを差し出す。
「ありがとう」
水を飲んでいると彼が聞いてくる。
「ところで、何で酒を飲み過ぎたんだ。きみは注目されているんだから、気をつけないとすぐに付け込まれるぞ」
「ええ、分かってるわ。うかつだったわ」
本当になんて危険なことをしたのだろうか。
「それで何で飲み過ぎたんだ? 何かイヤなことでもあったのか?」
「何もないわよ」
「まさか、俺がなかなか来ないから寂しかったとか」
彼がからかうように言う。
「寂しいわけないでしょ。バカも休み休み言いなさいよ」
寂しいのではなく怒っていたのだが、彼のせいは当たっているので、顔は赤くなるし、つい慌てた。
「まさか、本当に俺のせい? ……そんなわけないか」
「そんなわけないに決まってるじゃない。なんだか飲みたい気分だっただけよ、何となくよ、何となく」
「まあ、悩みがあるわけじゃないから、いいのか?」
「そうよ。モテすぎるのが悩みね」
「さすが、月の女神。言うことが違うな。その割には全く浮いた噂がないけど」
「今は数ある中から吟味してるの」
「全くそんな風に見えないぞ。ひたすら逃げようとしているだけと言うか」
「な、何よ。人のこと言えるの? 自分だって彼女いないんじゃないの?」
「そうだなあ。確かに女性との関わりは避けまくってきたな。でも少なくとも今は興味ある人からは逃げてないかな」
「興味ある人ね。なんか微妙な言葉ね」
「自分で言ってても微妙だが、それ以外に言葉が思いつかない。俺のことはいいんだよ」
「私だって、今は他の男のことなんてどうでもいいのよ。全く興味が湧かない」
「他の男って、誰か好きな男がいるのか?」
「ち、違うわよ。好きなんかじゃないわよ。絶対違う。でも何か気になるというか…………」
リリアナはブツブツ言って、ハッとして赤くなった顔をあげた。
「あなたには全く関係ないんだから!!!」
「そ、そうか」
二人して黙り込んだ。
リリアナはジュードの興味ある人がいるという言葉が気になってしょうがない。そんな人がいるのか。誰だろう。
しかし、探りようもない。ジェラルドに聞けばもしかしたら分かるかもしれないが、だったらどうすると言うのだ。私は彼のことなんて好きでも何でもないんだから、知ったところでどうしようもない。
程なく、ダンスの音楽がかかり始めた。
「踊るか?」
「そうね。なんか踊らないとやってられないわね」
「何か怒ってるのか?」
「よくわからないけどまたムカムカしてきた」
「そうか。じゃあ行こう」
リリアナは差し出された手をとって歩く。そうしていると怒りが収まってきた。ジュードをそっと見上げると、彼はこちらを見て優しく微笑んだ。リリアナは慌てて目をそらした。ドキドキして心臓が爆発しそうになる。
何なのこの男は! ダンスになると機嫌が良くなるの? ダンスが苦手といってなかったっけ? いや、正確にはダンスに女性を誘うのが苦手だったかしら。じゃあダンスが大好きなのかしら?
「ダンスが好きなの?」
黙っているとドキドキしてしまうので話しかける。
「特にそういうわけではないかなあ」
「その割にはダンスの時は上機嫌にみえるけど」
「そうなのか? そう見えるのか。確かにそうかもしれない。
でもそれは………」
「それは何?」
「言わない」
「何か今日はそれが多いわね」
「そうだな。俺も学習してるんだ」
「何を?」
「君がどんな言葉に反応するか」
「どういうことよ」
「それも言わない」
「言いなさいよ!」
「怒らせるからなあ」
「怒らせるようなことを思わせぶりに言うのはやめて」
「ついつい、口から出るんだ」
「もう付き合ってられないわ」




