表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/25

11

これで一旦完結ですが、投稿はまだ続きます。

 しばらくジュードに抱き締められたまま馬車に揺られる。ゆっくりと馬車が停止して丘に到着した。

 二人で手をつないで、丘を歩く。


「俺を思って泣いてくれてありがとう」


「目の前が真っ暗になったの。もうおしまいだと思ったわ」


「俺も君がイアン兄さんのことが好きだったのかと勘違いして、頭が真っ白になったよ。なんで今まで気がつかなかったんだろう、いつも君を見ると嬉しくて堪らなかったのに」


「そんな風には全く見えなかったわ」


「ポーカーフェイスは得意なんだ」



 ジュードが立ち止まる。こちらに向くと片膝をつき、私の手をとる。


「リリアナさん、これからも君とずっと一緒に居たい。俺と結婚して下さい」


「嬉しい!私もずっと一緒にいたい!」


 うれしくてジュードに抱きついた。

 再び馬車に乗り隣に座る、家に着くまで手をつないだままだった。




 ジュードと家に帰ると、クリスが駆け寄ってきた。二人の様子を見ると、安心したように、微笑んだ。


「クリス、迷惑をかけてごめんなさい」


「とりあえず大丈夫そうで、安心したよ。ジュードさん、お世話になりました。少しお話を伺っても?」


「もちろん。私も話がある」


「ではこちらへどうぞ、姉さんは着替えてきたら?」


「そうさせてもらうわ」



**********


☆ジュード視点


 客間に入ってメイドがお茶や軽食を用意し終わるのを待ち、二人きりになったところでクリスが話し始める。


「ジュードさんすいませんでした。手に負えなくて押し付けてしまいまして。近衛騎士隊の見学会で拝見したジュードさんがすごく格好良くて、頼もしくて、どうにかしてくださるのではないかと頼ってしまいました」


「そうか、そう思ってもらえたとは嬉しいが」


「ええ。お任せして正解でした。姉さんがすごくスッキリした顔してました」


「こちらこそ、彼女とちゃんと話ができて良かった」


「本当にビックリさせてすいません。俺もお兄さんがもう一人いらっしゃると知らなかったものですから。ジェラルドとはいつも一緒にいるのに、何で知らなかったのやら。1年くらいの付き合いではまだまだ知らないことが多いと言うことかな。なぜか俺も聞かなかったし、彼はあまり家族の話をしないから、ていうか俺がしゃべりすぎなのか?!」


 それから、ひとしきり二人でジェラルドのことで盛り上がった。

 クリスは再びリリアナの話をする。


「話を戻しますが、姉が取り乱して驚かせてすいませんでした。普段はあんなことはないんですが。察しもいいし。なぜか自分の恋愛のことに関して相当ニブイというか、認めたくなかったのか。認めたら負けだと思っていたのか」


「そうだな無意識に思ってたのかもしれないな」


「姉は、人よりちょっと、おしゃべりで、でも、口は固いんです。で、ちょっと……時々、思ったことが口からポロポロ出て、アレな姉ですけど、とても、とても良い姉なんです。一応美人だし。あの、それで、ご迷惑かとは思いますが、少し姉のことを考えてはいただけないかと。ジュードさんはオモテになるだろうから、選り取り見取りだとは思うので、あんな見た目だけが取り柄の……いや俺にとっては素晴らしい姉なんです。ちょっと他人にはお勧めしづらいですが。あっ、しまった。あっ、いえ、慣れるとあの妙なとこが癖になります。きっと、多分……刺激が強いので退屈だけは絶対しないかと」


 クリスはリリアナのことが大好きなのはよく分かった。姉の恋を叶えてやりたい気持ちもよく分かるが、彼女に対する言い様がひどすぎる。

 懸命に俺に勧めているはずなのに、彼女の悪口のような本音がポロポロこぼれている。おかしくてたまらない。クリスは正直な男なのだな。


 気を取り直して、俺が返事をしようとすると、ノックの後リリアナが入ってきた。

 リリアナは部屋に入るとクリスではなく、俺の隣に腰かけた。クリスがビックリしている。


「姉さん、ええと、ジュードさんとちゃんと話ができたということなんだよね」


「ええ、ジュード様のことが好きだってわかったわ。よくよく考えるとずいぶん前から好きみたい」


 リリアナは恥ずかしいのか下を向く。

 そうだったのか。俺は嬉しくなって口元が緩む。


「へっ、ああそうなんだ……それでその」


「クリスくん俺は、リリアナさんに求婚して受け入れてもらったんだ」


「へっ……キュウコン? キュウコンって、あの求婚?」


「結婚してくださいと言った」


「えっ結婚? えっ? 付き合ってみようかではなく? えっ、なんで? いやあれはジュードさんのせいではないので責任を感じる必要は」


「責任を取るためではなく、彼女のことが好きだから求婚したんだ」


「ええ? ジェラルドの屋敷で会ったときも、全くそんな風じゃなかったし、騎士団の見学の時もほとんどしゃべってないだろうし、あの誕生日会くらいしかなかったよね。それもわずかの時間だし。まさか見た目が好きだから?!  勧めておいて何ですけど、早まったら駄目ですよ。姉さん強烈ですよ。美人だけど見た目騙しの詐欺ですよ。こんなこと言うのもなんだけど、本当に変で……」


「クリス!!!! 覚えてなさいよ!」


 クリスはこの後リリアナに1週間口を聞いてもらえなかったらしい。

 そんなクリスに、俺は言った。


「見た目と中身が違うのは、知っている。そもそもいきなり怒られた。口は悪いし、ジェラルドのことを好きなのは趣味だというし、お見舞いのカードを送れば、『次は油断しないから大丈夫です』という訳の分からない返事が返ってくるし、なぜか女タラシと言われるし。理解不能で何度考えることを放棄したことか」


「そ、そこまでやらかして、いえ、理解していただいているのに好き? まあ、それはそれは。だ、大丈夫ですね、きっと。ちなみに姉さんにかかればあの奥手なジェラルドも女タラシです」


 その後彼女の父親に、彼女と婚約したいと申し出た。


「あの時の方と……まさか! へー、はーなるほど、そうですか。なんとまた物好きな」


 これまたひどい言われようだった。

 リリアナは激怒して父親を睨みつけた。


「私はお母様にそっくりって言われるの! そのお母さまと結婚した、()()()()()のせいで私はここに居るんですけど!!」


 彼は夫人にも無茶苦茶怒られていた。気の毒だが、胸がスッとした。



 俺たちは、後日二人で俺の両親に会い、そして一番上のイアン兄さんにも会った。


「お兄様は、あなたたちと似てないのね。母親似なのね」


 兄は見た目も、性格も母に似て、おっとりとした見た目で実際におっとりしている。

 リリアナは半年後に我が家で暮らすこととなる。




 あの衝撃の日以来、リリアナの言動がとても可愛らしくなった。「ジュード様」と話しかけてきては嬉しそうに微笑んでくれる。愛しくてたまらない。


 クリスにリリアナが可愛らしくなったと言うと、


「ジュードさんの前だけです」


と言われたが、最高ではないか。もちろん彼女のユニークさがなくなったわけではないので、たまに暴走しては喧嘩することもある。


 俺は俺で、リリアナが可愛らしすぎて、彼女のことを考えると頬が緩むらしく、しばらく「頬が揺るんだ残念な男前」と呼ばれることとなった。


(終)


**********


☆クリスとジェラルドの会話


「最近兄さんがやたらため息をつくんだ」


「なんかあったのか?」


「『何か心配事でもあるの?』って聞いたらさあ、『リリアナが可愛すぎて辛い』だって。もう兄さんがウザイ!」


「分かるよ。うちは姉さんがジュードさんがいかに格好良いか熱く語るんだ。アマンダに『姉さんうるさい』って言われてる。俺にも『何であんなに格好良いのかしら?』って真面目な顔して聞くんだぞ。知るかよ!」


「本当、迷惑だよなあ」


「婚約したら、平和になると思ったのに。早く結婚してくれ!」


「うちに住むから、俺は二人一緒の所を見ないといけないんだぞ。恐ろしい。耐えられるか心配だ」


「二人一緒だと、ますます暑苦しいぞ。早くソフィアと結婚しろ」


「その前に告白しないと」


「さっさとしろよ」


「……その前に仕事に慣れないと」


「理由つけてたらいつまでもたってもその日は来ないぞ」


「クリス嫌い」

 拙い文章を読んで下さりありがとうございました。

ブックマークもありがとうございました。大変嬉しかったです!

 完結しましたが、結婚騒ぎと別バージョンのラストも書きました。

ジュード様が叫びます。

自分としては別バージョンも大変気に入ってます。

それを今日か明日以降に投稿する予定です。

読みやすいように一話ずつを短めにしているので思ったより長くなりました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ