シンデレラⅡ(もうひとつの昔話 42)
その昔。
シンデレラという心根の優しい娘がおりました。
お母さんがなくなったあと、お父さんは次のお母さんと結婚しました。
二番目のお母さんと二人のお姉さんはたいそう意地悪で、シンデレラは掃除、洗濯、食事の支度などのすべてをさせられました。
ある日。
王子様がお城で舞踏会を開くことになり、町の娘たちはおしゃれをして、はなやかなドレスをまとってお城に向かいました。
シンデレラのお姉さん二人も、せいいっぱいのおしゃれをして出かけていきました。
――わたしも舞踏会に行きたいな。
シンデレラの目に涙。
でも、ドレスがないので行かれません。
そんなとき……。
妖精のおばあさんがあらわれました。
「涙をおふき。きれいにしてあげるから、おまえもお城に行って踊っておいで」
おばあさんが魔法のツエをひとふりします。
するとなんと、カボチャは黄金の馬車に、ネズミは白馬に、トカゲは立派な御者に変わりました。
「でも、こんな服じゃ……」
シンデレラは灰まみれの服と靴を見ました。
「それもきれいにしてあげるよ」
おばあさんがツエをふります。
灰だらけの服はステキなドレスに、すりへった靴はきれいなガラスの靴になりました。
「さあ、早くお行き。魔法のききめは十二時までだからね」
「ありがとう、おばあさん」
カボチャの馬車に乗って、シンデレラは舞踏会場のお城へと向かいました。
舞踏会が始まります。
シンデレラの美しさに目をうばわれた、王子様。すぐに踊りを申しこみました。
「踊っていただけませんか?」
「はい、よろこんで」
シンデレラは王子様と踊りました。
王子様との夢のような時間はまたたくまに過ぎてゆきました。
やがて、十二時を告げる鐘が鳴り始めます。
――たいへん、魔法がとけちゃう!
シンデレラはあわてて舞踏会場を飛び出しました。
靴がぬげましたがかまっちゃいられません。
王子様は引きとめようとしました。でも、シンデレラはあっというまに消えてしまいました。
鐘が鳴り終わりました。
すると馬車はカボチャに、馬はネズミに、そしてシンデレラはもとの灰まみれ。
階段にはガラスの靴が残されていました。
王子様に届けられたガラスの靴には、舞踏会で踊った娘の足の臭いが残っていました。
「よし!」
王子様は大きくうなずいたのでした。
ある一軒の家。
娘が靴をはくと足にぴったりです。
「名前は?」
「シンデレラです」
王子様が娘の足を匂うと、ガラスの靴と同じ強烈な臭いがしました。
「ウゲッ!」
王子様はおもいきりゲロをはきました。
「シンデレラ、はいてあなただと確信しました」