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日記帳

日記 何気ない日常 2019.0723

作者: ひなた ねこ

楽しく遊んだ帰りの駅


フレと別れた瞬間、どっと疲労が押し寄せてくる。

人波が気持ち悪い。むわっと湿気を含んだ空気が重い。

全てから逃げるように私は駅のホームへと向かい…

たかったんだ…。


人波をかき分けて、帰りの電車路線を確認…する… スマホで?


いつもの田舎駅じゃない都会の駅。

こんな人波の中で確認するわけにはいかない。

人波を縫って立ち止まるなんて、できない。

私は必死で人に埋もれながら、路線と時刻の掲示板を目で追う


(17:14 6番線…)


帰りの路線が確認できたので、このむわっとした空気から逃げるようにホームへと下っていった。


今まではグリーン車で帰るなんて発想はなかったんだけど、別れる前にフレから言われた言葉が蘇る。

「体調悪そうだね。座って帰った方がいいよ?」

「座れるかなー?混んでるだろうな…」

「グリーン車だよ。それでも座った方がいい」

その後も他にもどこかへいこうと誘ってくれたのだけれども、あまりにも息が上がっていた私は辞退していたのだ。

そんな私を思ってか、グリーン車を進めてくれた。


私は、避難しようと降りたはずのホームの人波で、さらに呼吸が辛くなった。

どうやら、私が乗る列車の前に、2両別の列車が左右に来るようで、人が溢れかえっていた。

グリーン車チケットを買おうと、あたりを見渡すも、人波で見えない。そんな中、列車がホームへと滑り込んできた。

狭い通路に降りる人の群れが雪崩のように押し寄せてくる。

かろうじて端へよけても、今度は乗る人波に連れ去られそうになる


早く帰りたいっ


その思いで、人の波を避けていった。

4回分の人の流れをやり過ごした頃、埋もれていたグリーン車チケット売り場が見えた時、私の救いのように見えた。

ただよっていた重い空気も、4回の列車移動で流れて行ったのか、だいぶ楽になってはいた。

チャージ分で、自宅近くの駅まで購入、グリーン車が止まる車両を確認して足元を見ながら移動する。

うん。見ながら移動したはずだったんだ。


自分の乗る電車が滑り込んできた時、私がいた場所には止まらなかった…。

両編成で止まる場所が違うことは理解していたけれども、自分が乗る列車の編成をきちんと覚えて居なかったせいだ。

しかも、私が並んだ2両先にあるようで、グリーン車を避けた人垣ができてしまい移動ができない。

次の駅で降りて車両を移動しよう。そう考えを巡らせて、立つ場所を選んでいた。

扉近くのつり革。手を伸ばせる左手ならば、なんとか掴むことができる。

つり革や人波で感じるのは、自分の背の低さ。低さが憎い。上がらなくなってきた右腕が痛い、バランス取りにくい。

肺に溜まっていた、むわっとした空気が空調で冷えていくと、少し落ち着いてくる。

それでも気持ち悪い。

次の駅、早々に行動へと移したかった私は、手荷物の位置を変えて動きやすいように身支度をしていた。

ちょうどその時、前に座って居た家族連れが、次の駅で降りる会話を始めたのだ。

この車両から移動して、入れるか座れるかもわからない所へ向かうより、私はそこを選んでしまった。


もったいない。と一瞬思ったのだけれども…。

グリーン車へ行こうと行動を取らなかったら、この巡り合わせは無かったのだと思うと、ここで座れたことが嬉しくなった。


いつしか上がっていた息は落ち着きを取り戻し、安堵する。

フレの一言に救われたと。





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