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魔王ガリウスの末裔 ~異世界でいきなり次期魔王宣告を受けてしまいました~  作者: 宜候(ヨロシクソウロウ)
序章 異世界へ
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第2話「ユウトとガリウスの関係」

母との通信が途絶えてから、ユウトはしばらくはボー然としていたが、母の言葉を思い出して、アリーナに声をかけてみた。


(ちょっとスレンダーな美人だな。いつも挨拶をしてくれるメイドさんと違うのかな?)


アリーナは彼が声をかけると、今回のことについて話し始めた。


アリーナの話では、ユウトがここに呼ばれた理由をしっかり理解できるように、この国の誕生から語る必要があると言い、かなり長いものとなった。


アリーナは魔王ガリウスの話しから順番に話してくれた。。


遙か昔、ガリウスという魔力の非常に強い人が居て、代々ミナレ国の貴族の家系だった。


しかし、とある事情でミナレ国を離れ、この地でイーデル国を建国した。


ガリウスの魔力は他の人々とは比較にならないほど強力で、その力を使って、この国を守ってきた。


ガリウスの持つ魔力は、代々その子に受け継がれてきていたが、何故か男子にしか受け継がれない重要な魔法があった。


このため、魔王ガリウスの男系の子孫が次の魔王となってこの国を守っていくこととなった。


ガリウスには、アレキスとセレスという二人の息子がいて、当然強力な魔力を持っていた。


時が過ぎて国が安定すると、息子達の意思とは無関係に派閥ができるようになった。


過去にも男子が複数生まれると派閥が出来、家を分断するような事態が起こったことがあった。


そして幅通の間の争いは、このまま放置すれば次期魔王争いにもなりかねない状況になり、そんな状況を案じた兄弟は、争いの元を絶つため一人が異世界へと行き、その地で暮らすようにすることを決めた。


魔王の力は、歳と共に増していき、衰えることなはかった。


アレキスもセレスも強大な魔力を有していたが、まだ若く、異世界への扉を開けることは出来なかった。


二人は父の元へ行き、いずれか一人を異世界へと送るように言った。


そしてガリウスは、二人の話を聞き、セレスを異世界へ送ることに決めた。


ガリウスは、セレスが向かう異世界は魔法が存在しない世界だったので、若干の魔力を使えるように、自分の力の一部をセレスに与え、異世界への扉を開いた。


別れ際に、ガリウスは、「今後、魔王に二人目の男子が生まれたときは、異世界へと送るものとする。そして魔王に男子の子の生まれぬ時は、異世界より魔王となれる男子を選び、この地へ呼び戻すことにする。セレス頼んだぞ。」


こうして、魔王の跡継ぎは一人のみをこの地に残すことになった。


そして、セレスは婚約者のラノスと共に異世界へと渡っていった。


セレスは、その地でわずかに使える魔力を駆使し自分の子孫や異世界から来る魔王の子が不自由なく暮らせるための基盤を作った。


その後何人かの魔王の息子達が異世界へと送られ、また、魔王としてこの地へと召喚されていた。


そして今回、現魔王パイトスには男子の子がなく、ガリウスの男系の血筋であるユウトが召喚された。


さらに、アリーナは、男系の男子の元には、時にこの地の娘が嫁いでいる事も教えてくれた。


そしてユウトの母もこの地の生まれであることも。


ここまで聞いて、ユウトはやっと事情は理解できてきた。


しかし、あまりにも常識の範囲を超えているので、まだ頭の中は混乱したままだった。


ユウトは頭の中を少しずつ整理していった。


(要するに、魔王の男系男子のみが魔王になるが、今の魔王に男子が生まれなかった。これが始まりだな。)


(この国は、魔王の力で守られている為、次の魔王が必要になった。)


(そこで男系男子の私が選ばれて、次期魔王として召喚されたと言うことだ。)


ユウトはなんとなく理解できたような気分になってきた。


(魔王か。)


(あのゲームはこの時のためのものだったんだな。)


(まぁ、それも悪くないか。)


(今思えば、異世界に興味を持つように育てられてきたような気もする。)


ユウトは、中学を卒業すると、両親と共にリゾートアイランドへ引っ越していた。


そこには、大きなリゾートマンションと娯楽施設、そして研究施設のようなところがあった。


そこに引っ越すと、父から一つのゲームを渡され、「このゲームは、おまえの学校だから、このゲームをやるように」と言われていた。


(あの時もう少し真剣に考えれば、今の状況が直ぐに理解できたのかな?いや、無理だな。)


そのゲームは妙にリアルな仮想現実社会のようなところで、そこの学校にユウトは通うことになった。


ヘッドギアを付けると、先ほどユウトが目覚めた場所に行き、そこから学校へと通っていた。


その地では、魔法を使うことができ、魔法の勉強をした。


学校には、ユウト以外にも何人かの生徒が居たが、ユウトは生徒達が人間なのかNPCなのか良くわからなかった。


と言うのも、彼らは必要以上にユウトと関わろうとはせず、ほとんど会話もしなかった。


しかし、非常に個性的で、時々聞こえる彼らの会話は日常的な物が多かった。


学校では、ほとんどの授業はクラスで行われたが、ユウトだけは別途、魔王の教育を受けていた。


ゲームの主役だからと思っていたが、今その意味をはっきりと理解することが出来た。


アリーナはここまで説明すると、「今日はゆっくりとお過ごしください。明日は魔王とのご対面となります。食事をそちらに用意させていただきました。」と言って、部屋の隅の椅子に腰を下ろした。


(え、来て早々に魔王と会うのか。なんか怖いな。)


振り向くと、いつの間にか食事が用意されていてた。


起きてから何も食べずにアリーナの話を聞いていたので、ユウトはとりあえず、何も考えずに食事に集中した。


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