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魔王ガリウスの末裔 ~異世界でいきなり次期魔王宣告を受けてしまいました~  作者: 宜候(ヨロシクソウロウ)
第2章 ミナレ国 ~グラーブル辺境伯領~
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第18話「ケンファの剣術指南」

翌朝、アリーナとアークはタナンのギルド長に挨拶して来るといって出かけていった。


他もメンバー達も、それぞれ街へと出かけていった。


ユウトはセナに誘われたが、やることがあるといって商館に残り、剣を持つと裏庭にいって剣の練習を始めた。


昨日ケンファに教わったことを思い出しながら刀を使って練習をしていると、アリーナがやってきた。


「あら、ユウト、さまになっているじゃない。」


「うん、昨日の夜、練習していたらケンファ殿がやってきて教えてくれたんだ。」


「そういうことですか。よい方に教わりましたね。」


「ところでアリーナ、ケンファ殿ってどんな人なんだい?」


「あの人はね、イーデル国でも有数の刀の使い手ですよ。私も子供の頃教わっていました。」


「アリーナの師匠か。どおりで刀の知識が豊富なわけだ。」


そんな話をしていると、ケンファがやってきた。


「アリーナも一緒でしたか。練習は如何ですか?ユウト殿。」


「昨日教えていただいたことを、忘れないように練習しているところです。」


「師匠がユウトに教えてくれたのですね。有り難うございます。」


「では、今日もお付き合いいたしましょうか。」


「それはありがたい。」


ユウトは再び刀を振り始めた。


しばらくユウトを見ていたケンファは、もう少し手首を柔らかく使うように指示した。


時々アリーナが手本を見せてくれたので、練習は順調に進んでいった。


昼食を商館で簡単に済ませると、3人は再び裏庭で練習を始めた。


「それではここからは、これでやってみてくれんかの。」


ケンファはそう言うとユウトとアリーナに木刀を渡した。


まずはユウトが木刀を振ると、「ブーン」と大きな音がした。


次にアリーナが木刀を振ると、「シュッ」と音がした。


「アリーナ、よい音じゃ。ユウト殿、木刀でこの音が出せれば、刀ならほとんど音は消えますぞ。」


「ユウト殿なら直ぐに出来るようになるでしょう。」


「師匠、ユウトにあれを見せてあげては如何ですか?」


「そうじゃな、久しぶりにやってみるか。では、ユウト殿ちょっとそこで見ていて下さい。」


「じゃ、アリーナ頼む。」


アリーナはケンファに向かってリンゴを放り投げた。


ケンファは目にもとまらぬ速さで抜刀し、リンゴを切ると、刀を鞘に戻した。


リンゴは何もなかったかのようにケンファの横に落ちて転がった。


(あれ、今確かにリンゴを切ったように見えたけど、そのままじゃないか。)


ケンファはリンゴを拾うと、ひょいっとユウトに向かって投げた。


ユウトが受け取ったリンゴを見ていると、いきなり手の上でぱっくりと二つに割れた。


(あ、すげー。)


ユウトはしばらく驚いていたが、あわてて「ケンファ殿お見事です。」と言った。


「久しぶりにやったが、うまくいきましたのう。ははははは。」


「腕は落ちていませんね。師匠。」


「まだまだ若いもんには負けませんぞ。」


刀を振る音は全く聞こえなかったし、リンゴも何の衝撃を受けてないように見えたが、リンゴは真っ二つに切られていた。


その後もケンファの指導の下ユウトは木刀を振り続け、徐々に「ブーン」と言う音は小さくなっていった。


日没が近づいてくると、ケンファがある提案をしてきた。


「ユウト殿、ワシと一緒に実地訓練はどうじゃろうか。」


「実地訓練というと、魔物討伐ですか?」


「そうじゃ。」


「ケンファ殿のお仲間は良いのですか?」


「実はのう、うちのパーティのメンバーは腰痛もちが何人かいての、2,3日休むことになっているんじゃ。」


「アリーナ、言ってきても良いか?」


「そうですねぇ、私も師匠が魔物討伐しているところを見たことがないので、一緒に行きます。」


「よし、決まりじゃ。では、いくつか依頼を受けてくるから、1時間後に商館の前で待ち合わせにしようか。」


「分かりました。」


「あ、師匠、アグネスに腰痛の治療を頼んでおきますので、お仲間に伝えておいて下さい。」


「それはありがたい。皆喜ぶよ。」


1時間後にユウトとアリーナが商館の前にやってくると、既にケンファが待っていた。


「5つほど依頼を受けておいたよ。」


「では、行こうか。」


今日はアグネスが一緒ではないので、防御と高速などの魔法をユウトが付与し3人は街の東門を出て、最初の魔物が潜んでいるあたりへ向かった。


最初は30体ほどの魔獣と数体のオークの群れだった。


「ではユウト殿、私が切り込んできますので、見ていて下され。」


そう言うとケンファは魔獣の間を縫うように進んでいき、あっという間に戻ってきた。


「10体ほど魔獣を倒してきたよ。」


ケンファが戻った時は、魔物の群れはまだ静かなままだったが、しばらくすると、あちこちでばたばたと魔獣が倒れる音が聞こえてきた。


(音もなく魔獣を倒して戻ってくるなんて・・・こんな戦い方もあるんだな。)


「では、残りは私が。」


そう言うとアリーナも魔獣の間を縫うように走り回り、戻ってきた。


しばらくすると、魔獣どもがばたばたと倒れる音が聞こえてきた。


最後にオークがばったりと倒れすべての魔物が倒された。


「師匠、如何ですか。」


「うん、見事じゃ。アリーナも腕を上げたな。」


ユウト達は次の間獣の群れに向かった。


次は、魔獣のみで30体ぐらいの群れだった。


「では、ユウト殿、。訓練開始じゃ。」


「あれくらいなら一気に片付けても良いのじゃが、とりあえず訓練も兼ねているので、相手に気づかれぬように半分ほど倒してきて下され。」


「分かりました。」


そう言うとユウトは魔物の群れのかなに入っていった。


最初は順調に倒して行ったが、途中で魔獣が悲鳴を上げたため、他の魔獣に気がつかれてしまった。


魔獣どもが逃げ出したのを見ると、ケンファとアリーナは飛び出していき、残りの魔獣どもを仕留めて回った。


「まだ少し手首の使い方が悪いようですな。」


そう言うとケンファはユウトの手を取り手首の動きを教えた。


依頼を受けた残り3つの魔獣討伐も、ユウトがまず突入して半分倒して戻る訓練を続けたが、途中で魔獣に悲鳴を上げられてしまった。


結局最後まで成功できず、ユウトは少し落ち込んだ。


「ユウト殿は覚えが良いので、直ぐに出来るようになります。お時間があれば明日もお付き合いいたしますよ。」


ケンファにそう言われ、今日はとりあえず帰ることになった。


「では街へ戻りましょうか。」


ケンファがそう言うと、ユウトは「待って下さい。」とケンファ達を呼び止めた。


「魔獣、いや、巨大な魔物が走る音が聞こえます。どこかの村を襲いに行くのかもしれません。」


「それは放置できないな。」ケンファが言うとアリーナも、「討伐しておきましょう。」と言った。


ユウト達は魔物の群れに向かって走り出した。


「これはまた巨大なオーガですな。」


この群れは、魔獣50体ほどが先頭を走り、その後には小鬼が30体、そしてオーガが5体続き、しんがりに巨大なオーガが1体と言う構成だった。


「アリーナ、どうする。」


「まずは、魔獣は私と師匠で、小鬼はユウトに任せます。すべて倒したら再度合流してオーガに当たりましょう。」


「オーガに気づかれぬよう、一気に倒しますぞ!」


ケンファの言葉で、3人は群れの中に入っていった。


ケンファとアリーナは縦横無尽に魔獣の間を走り回り、次々と魔獣を倒していった。


ユウトも小鬼の間を縫うように走り回って、初めて悲鳴を上げられずに30体の小鬼を倒した。


3人は合流すると、直ぐにオーガに向かって走り出した。


「ユウト、オーガは私と師匠で倒すので、師匠の戦いぶりを見ていて下さい。」


アリーナにそう言われ、ユウトはオーガの少し手前で立ち止まった。


「そろそろオーガも気がつく頃じゃ、小さいやつを一気に倒しますぞ!」


アリーナとケンファが刀に魔力を流し込むと、刀が水色に光った。


オーガはあっという間に倒され、残りは巨大オーガ1体となた。


「では、師匠。後はお任せしますね。」


「老人をこき使うやつじゃの。」


そう言うと、巨大オーガに向かって真っ直ぐ走っていくと、オーガの手前で飛び上がり刀を上段に構えて振り下ろした。


オーガは、大剣で刀を受け止めようとしたが、大剣もろともケンファに真っ二つに切り裂かれた。


(属性を付与した刀とはいえ、大剣ごと切り倒しちゃったぞ・・・とんでもない年寄りだな。)


「お見事でした。それにしても大剣ごと切ってしまうとは、すごいですね。」


ケンファは「武器のおかげですよ。はははは」と笑っていた。


「武器の属性はご自分で付与したのですか?」


「これは、私が冒険者をやるといったら、前魔王のフリード様が付与をしてくれました。」


「それはともかく、今回は悲鳴を上げられずに小鬼を倒せたではありませんか。」


「いや、まぐれですよ。」


「まぁ、後数回もやれば身につくことでしょう。私もお教えした甲斐がありました。」


「さぁ、皆心配しているといけないので、そろそろ戻りましょう。」


アリーナに促されて、ユウト達はタナンの街へと戻った。



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