18話 学校
よろしくお願いします
学校に着いた俺、ノトス、霞は席を探し周囲を見る。
哲学の授業はあまり人気がないから席は大体空いている。
「ノトスちゃんはどこに座りたい?」
「なら全体を見渡せる席がいいのう」
「分かった、こっちよ!}
一番後ろの席を陣取った俺たちは先生が来るのを待つ。
「ほんとに大丈夫なんだろうな?」
「大丈夫だって。私に任せなさい」
すると始業のチャイムが鳴り先生が入ってくる。
この授業の先生は年配の女性の方で優しい雰囲気がある。
「じゃあ行ってくるわ」
教卓にいる先生と話始める霞。
すると急に霞が泣き始め先生も泣き始めるというカオスな状態になる。
おいおい……一体どうなってんだよ……。
「なんだか……凄いことになっておるが……」
「ああ、どうなってんだ、あれ……」
ひとしきり話すと先生は大きく頷き、霞は席に戻ってくる。
「ふぅー、案外簡単に説得できたわ」
「お前……先生に何言ったんだよ……」
「少し話をしただけよ。それよりしっかり許可取ったから。それに先生が学校にも話しておいてくれるって。だからこの後も学校にいて大丈夫」
「いや……まじで何言ったんだよ、それ……」
「すごいウソ泣きだったのう……感心したのじゃ」
霞は演技力も半端ない。一緒に暮らしてる俺でも演技だと見破るのは容易ではない。つか勉強もできて、運動もできて、演技力もあるってどこのアニメ主人公だよ……。
そんなこんなで授業はつつがなく終わり——何度か先生がノトスを見て泣きそうになっていたが——今は昼休み。多くの学生は昼食を取りに食堂に足を運ぶ。いつもは弁当の俺たちも今日は朝に色々とバタバタしていたので食堂に行く。
「ノトスちゃんは何が食べたい? ここの学食はなんでも美味しいけど私のオススメはカルボナーラよ。トロッとした卵に濃い味付けのソースが病みつきになるの」
「わしはハンバーグが食べたいのじゃ!」
「よし! ハンバーグにしましょ!」
なんかコントを見てるみたいだな……。
確かハンバーグのある店は4階だったか。エレベーターに乗るように提案するが即座に霞に却下される。
曰く、「ノトスちゃんをあんな密室に閉じ込めたら何が起こるか分かったもんじゃないわ」とのこと。
こいつはどんだけ過保護なんだか……。流石に学校でそういうことをする奴は……ってそんなこと言うとまた来そうなのでやめよう……。
しかし霞の心配もあながち間違いではないのかもしれない。
「なんか……めちゃくちゃ見られてるな……」
さっきから俺たちが通るたびに四方から視線を感じる。誰もがノトスに向けており、時折「……あの男、とんでもない美幼女を連れてるとか。なんて羨ましいんだ……」という声が聞こえる。この学校にロリコンが多数紛れてるな……。
「そりゃそうよ。こんな可愛い女の子がいれば誰だって見てくるわ」
「まぁ白髪の幼女ってだけで目立つしな」
「幼女ではない、立派なレディじゃ!」
「ノトスちゃん……可愛いわ!」
覆い被さるようにノトスに抱きつく霞。
そんなこんなで食堂に着いた俺たちはハンバーグの食券を購入し、列に並ぶ。ちなみに俺は普通の目玉焼きハンバーグ、霞が和風ソースのハンバーグ、ノトスはチーズinハンバーグだ。
「ハンバーグ〜、ハンバーグ〜、楽しみなのじゃ!」
「も〜食べちゃいたいくらい可愛い……」
「霞お前……ここまで変態だったのか……」
それぞれのハンバーグが出来上がり席に着く。やはり食堂でもジロジロ見られるが霞やノトスはそんなのどうでもいいのか目の前のハンバーグに目が釘付けだ。
「ごくり……う、美味そうなのじゃ……。よだれが溢れてくるのじゃ……」
「たしかに美味しそうね〜!」
いや霞はノトスに目が釘付けだった……。こいつこんな変態だったのか……。
「いただきますなのじゃ!」
湯気が立ち昇るハンバーグを一切れ口にほおばるノトス。トロっとしたチーズがハンバーグと絡まってとても美味しそうだ。俺も自分のハンバーグを口に入れる。肉汁が噛むごとに溢れ出し、とても美味い。
「うん、初めて食べたけど美味しいわね。カルボナーラといい勝負だわ」
「霞は毎日カルボしか食わないからな。たまには違う物も食べろよ」
すると突然室内がざわめき始める。ざわめきは次第に広がるとそれと呼応するように俺のスマホが鳴り始める。画面を見ると靄さんからだ。
「もしもし」
「燈! よかった! 大丈夫か!?」
「大丈夫って何のことですか?」
「気付いてないのか!」
「燈! 急ぎこっちへ来るのじゃ!」
「なんだよ、今電話して……」
ノトスに呼ばれ行くと窓の外に宇宙船が飛んでいた。文字通り宇宙船だ。誰がそう見ても宇宙船だ。
「燈! 聞いているのか! そっちは大丈夫なんだな!?」
「靄さん……これは……」
「私にも分からん! とりあえず無事なんだな?」
「はい、今ノトスと霞と学校にいます……」
「む……から……しろ……」
「え? 聞こえないですよ! 大丈夫ですか?」
「むか……しろ……」
ブチッという音と共に突然電話が切れる。周囲も同じようにスマホを握りながら困惑している。靄さんにもう一度かけ直そうとしても全く繋がらない。
「電話が通じない。霞はどうだ?」
「私のも繋がらないわ」
「燈……あの空飛ぶ船は……」
ノトスが青ざめた顔で俺を見てくる。この表情から俺は嫌な予感が止まらない。
「もしかして……」
「ああ、間違いない。あれはお主を連れて行ったやつじゃ。つまり……」
「あれが……多次元寄生エイリアンか!」
嫌な予感は的中。
まさかこんな展開になるとは……。
展開が急すぎたか!
次話は今週中には投稿したい
来週になるかも……




