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滅びゆく世界と救済の勇者  作者: 福人漬け
世界崩壊編
18/23

17話 登校時のゴタゴタ

まじで……


 朝帰りをしようが異世界人と交流しようが学校はなくならない。

 色々とヤバいことに巻き込まれているが今日は平日、平日ならもちろん学校がある。

 昨日は全休だったとはいえ今日は普通に授業がある。

 今は(かすみ)の作ってくれていた朝食を食べている。白飯に味噌汁、焼き鮭と和風の朝飯だ。


 「うん。やっぱり霞の作ったご飯は美味しいな」

 「なに調子いいこと言ってんのよ。いつもはそういうこと言わないくせに……。おかわりいる?」

 「お主らもうまるで夫婦(めおと)みたいじゃのう」

 「あらノトスちゃん、夫婦(めおと)なんて難しい言葉を知っているのね」


 笑顔でノトスの頭をなでなでする霞。

 反発するのは諦めたのか、ご飯をむしゃむしゃしながら無表情でなでなでを受け入れるノトス。

 

 「今日は何限からだっけ?」

 「あんたも私も2限から哲学でしょ。課題しっかりやったの?」

 「か、課題……もちろんやったに決まってるさ!」


 課題のことなんて全く記憶に残ってなかった。


 「…………」


 (かすみ)が無言で疑ぐりの視線を向けてくる。多分やっていないことはバレている。


 「すいません……。やってません……」

 「やってないなら最初からそう言いなさいよ。はぁ……、あとで写させてあげるから昼飯奢りなさいよ」

 「サンキュー」

 「そういえばノトスちゃんはこの後どうする?」

 

 先に食事を終えた霞は食後のコーヒーを飲んでいる。

 

 「たしかにどうする?」

 「ふむ、それならもう決めてあるのじゃ!」


 急に席を立ち腰に手を当て仁王立ちし始めるノトス。

 

 「わしも……学校に行くのじゃ!」

 「…………」

 「えっ?」 

 「それいい考えじゃない!」

 「いや……でも、先生とかには……」

 「大丈夫よ! 先生の説得は私に任せて! あんたは黙ってノトスちゃんの護衛でもしてなさい」

 「護衛って……、それは言い過ぎじゃ……」

 「何言ってんのよ! こんな可愛い子が外を歩けば良からぬことを考える人だっているわ、例えば誘拐とかね」


 たしかにノトスはかなりの美少女だ。輝く白髪、きめ細やかな肌、カリブ海のように済んだ青い瞳、世が世なら多分傾国の美女と呼ばれるほどにその容姿は整っている。

 

 「わかった。俺がしっかり保護しとくよ」

 「ふむ。わしも燈と一緒なら安心じゃ。しっかり手を繋いでもらおうかのう」

 「じゃあ決まりね! ノトスちゃんも一緒に学校行く!」


 はぁ……、めんどくさいことになったな……。




ーーーーーーーーーーーーーーーー



 俺たちの学校は家から歩いて15分くらいの場所にある。有名な国立大学なので受験の時は死ぬほど勉強させられた、主に(かすみ)に。今でも記憶喪失なのにたった2年で合格できたことに驚いている。多分きっと(かすみ)の教え方が上手かったからだろう。意外と勉強はできるやつなのだ。

 

 「今のところノトスちゃんに変なことしようとする輩はいないわね」


 周囲を睨みながら警戒を怠らない霞。


 「そんな白昼堂々と襲って来るやつなんてさすがにいないだろ……」

 

 そう言った途端ノトスの姿が消える。


 「えっ?」

 「あ~れ~」


 すでにノトスの姿は遠くに消えており何とも言えない悲鳴が聞こえてくる。

 やばい!

 急いで追いかけてノトスを取り戻すために全力で走る。

 しかし開いた差はなかなか埋まらずこのままだと本当にヤバいことになる。


 「そこの誘拐犯! 止まらないとまずいことになるぞ!」

 「へっ! 何言ってんだ。もう追いつけないだろ!」

 「そういうことじゃなくて……」


 必死で止めようにも当然の如く止まらない誘拐犯。

 あーあ、知らないぞ……。

 

 「待ちなさい!」

 「ぐへっ!」


 茶髪がなびき誘拐犯が倒れる。

 霞が誘拐犯を回し蹴りで倒しノトスを受け止める。あまりにも鮮やかな蹴りは見事犯人の顔面に当たり骨が折れた音が響く。


 「私のノトスちゃんを誘拐しようなんて100万年早いわ! 次こんな事しようとしたら鼻だけじゃなくて全身の骨を折るわよ」

 「ヒェェェェ!」


 鬼のような形相……いや鬼の形相が誘拐犯に向けられる。少し遠くにいる俺ですら鳥肌が立つほどの怖さ。目の前の犯人はさぞや生きた心地がしないだろう。堪らず一目散に走って逃げる犯人。

 だからまずいことになるって言ったのに……。あれは完全にトラウマになったな。

 少しして(かすみ)たちの元にたどり着く。


 「何してんのよ! おっそいわよ!」

 「お前が早すぎなんだよ」

 「そんなことよりノトスちゃん、大丈夫!? 怖くなかった!?」

 「全然大丈夫なのじゃ。それにしても霞、お主凄かったのう。アルトリアなら将軍クラスになれる器じゃ」

 「アルト? なにそれ?」

 「え、絵本の世界の話だよな! 最近ハマってる!」

 「そうなんだ。……あっやばい! このままだと授業に遅れるわ! 急ぐわよ!」


 腕時計を見た(かすみ)はノトスと先に走って行ってしまう。授業まで残り10分、まぁ走れば間に合うだろう。


 「ってまた走らなきゃならないのかいよ……」


 霞とノトスを追いかけ学校に向かう。

 

だれか……


次話は明後日か来週投稿です。

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