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滅びゆく世界と救済の勇者  作者: 福人漬け
世界崩壊編
14/23

13話 使者

よろしくお願いします!


 22時。あれから2時間。場所は家の近くの公園。

 公園の照明が照らしているのは俺、ノトス、(もや)さん、そしてさっき家に来た地球の使者ユア。ユアさんの片手には鞘に収められた2メートルくらいの刀が握られており、大変物騒だ。


 「解散して3時間で新たな出会いを連れてくるとは……。(あかり)、急に主人公みたいになってきたな」

 「(もや)さんそれ、笑えないですよ……」

 「おい、さっさと話を始めるぞ。さっき風呂から上がったばっかなのに外に出すとか風邪を引いてしまうわ」

 「…………」


 地球の使者もといユアさんは黙々と俺たちについて来てくれる。


 「おい、ユアとやら。貴様は一体どこの誰で何者なのじゃ」

 「私はアースの民。あなたたちには地底人といった方が分かりやすいでしょう」

 「地底人……」


 異世界人が来て今度は地底人かよ……。

 マジとんでもなくなってきたな……。


 「私たちは遥か昔に地球によって作られた。いつか来る危険から地球を守るために」

 「それって……」

 「ああ、(あかり)と似ておるな。星が自らを守るために作る、地球版勇者システムなのか……」

 「そして長い年月が経ち最近多くの異物がこの地球に入り込むのを感知した。特に気になったのが真刀燈お前だ」

 「俺?」

 「お前からはアースの民の力を感じる」

 「アースの民の力……」

 「そうだ。地球より授けられし神秘の石、星遺と呼ばれている。本来なら我々アースの民しか持ちえないはずだがお前からは我々よりも強い力を感じるが半分異物が混じっている」


 そう言うと手に持っていた刀を抜き始める。闇よりも濃い刀身が公園の照明に反射しその鋭さが素人目にもわかる。


 「おい、貴様何をするつもりじゃ」

 「…………」


 黙ったまま刀を抜き続けるユア。最後まで抜き放ち切っ先を俺に向ける。ノトスが俺の手を繋ぎいつでも誓約(エンゲージ)ができるように身構える。

 するとユアさんはそのまま振り下ろし地面に刀を突き立てる。それからフードを外すとその奇妙さは確かに地底人と言われれば信じるくらい変だ。

 特徴的なのは頭の上半分を大きな目が描かれた布で覆い、そこから流れるように緑の髪が足元まで伸びている。さらに真っ黒な民族衣装みたいなものを着ており、はち切れんばかりの双丘が主張している。布の上からでも分かるほどの美貌とスタイルで思わず目が釘付けになってしまう。

 

 「私たちアースの民は真刀燈あなたに従う。どうかこの地球を脅威から救ってくれ」

 「………」


 ひざまずき予想外のお願いをして来る。

 俺とノトス、そして(もや)さんは顔を見合わせるとユアさんの肩に手を置き立たせる。


 「そういえばエイリアンとか怪物とか出てきたけど明確な目標みたいのがなかったし、地球の脅威は無視できないですよ」

 「ふむ、確かにな。なんだかんだ言っても(あかり)は勇者になる運命らしいのう」

 「元から燈には今後色々とやってもらうつもりだったからな」


 まあ話の展開はめちゃくちゃ早いけどアニメとか漫画だと結構ありがちだからな……。


 「ちょっと待ってくれ。私の話を信じてくれるのか? 自分で言うのもなんだが結構突拍子も無い話だと思うんだが?」

 「まあここ2、3日で完全に世界がおかしくなってるのはわかったしもう驚かないですよ。それにユアさん、嘘つきに見えないですしね!」

 「……ありがとう」

 「おい、お主あまり燈を誘惑するなよ。その豊満なボディだと燈はすぐ鼻の下を伸ばすからのう」

 「伸ばさないよ!」


 いや確かにこの素晴らしいスタイルを前にしたら世の中の男は色々と伸ばすだろう。しかし俺には(かすみ)という彼女がいる! 決して! 決して! 決して……。

 

 「おい、燈。鼻の下が伸びてるぞ。(かすみ)に言ってしまおうかな」

 「(もや)さん……それは洒落にならないことになりますよ……死人が出ますよ」


 霞はちょっとしたことでもバットで殴ろうとして来るからな……。しかも本気で当てに来る。まあそんなところも好きなんだが……。


 「おい……」

 「ん? 何ですか、ユアさん」

 「いや私のことは呼び捨てでいい」

 「わかりました……いやわかったよ、ユア」

 「そんなことより……」


 ユアの声を遮るように(もや)さんのスマホが鳴る。


 「ちょっと失礼する」


 電話に出るため少し離れたところに移動する靄さん。


 「ごめん、それでユアは何を言おうとしたの?」

 「向こうの方に異物が現れた」

 「えっ」


 ユアが指差したのは東京があった方角。

 そして何やら慌てた様子で(もや)さんがこちらに向かって来る。


 「今連絡があって東京跡地にアルターからと思われる生命体が確認された。少し遅い時間だが燈、ノトスきてくれ」

 「うん」

 「ふむ」

 「……」


 ユアは黙ったまま静かに佇んでいる。


 「ユアさん、私はまだあなたのことは信じきれてない。だが燈は君のことを信じている。だから私も今は信じる。それに今ここにいられても困る。だから一緒付いてきてくれ」

 「それはごもっとも。では行きましょう」


 ちょうどいいタイミングで迎えの車が来る。遅い時間帯だから

 それに乗り込み俺、ノトス、ユア、(もや)さんは壁に覆われた東京に向かう。


評価よろしくお願いします!


次話は明日か明後日投稿です!

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