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滅びゆく世界と救済の勇者  作者: 福人漬け
世界崩壊編
12/23

11話 星の欠片

よろしくお願いします!



 (もや)さんと一緒にあの隠し部屋に入る。


 「さて、少し遅くなってしまったが先程の戦闘のデータを見てみよう」


 そう言って俺の胸に付けていたワイヤレスの身体検査シールを剥がし、真っ白いテーブルの上に置く。

 するとテーブルの上では俺とパペットの戦闘が立体映像(ホログラム)として浮かび上がる。

  自分でも見ていて信じられなかった。俺が感じていたパペットたちの攻撃はあくまで常人にも避けられるものであると思っていた。しかしデータを見てみるとなんたることか。スピードが桁違いに早かった。攻撃、移動、回避、全てにおいて常人のそれではなかった。確かにノトスは誓約(エンゲージ)中は身体能力が上がっていると言っていたがまさかここまでとは……。


 「これはまた凄いですね……ほんとに俺ですか?」

 「当たり前だろう。私もここで生で見ていたがまさかここまでとは思わなかった……」


 (もや)さんも見ていて驚いたらしい。

しかしノトスはさも当然という態度でとんでもないことを言う。


  「何をそんなに驚いておる。勇者時代の燈はこれの100倍は強かったぞ。これだと若いドラゴンと相討ちが関の山じゃろうな」

 「ド、ドラゴン……」


  アルトリアそんなのも存在するのかよ……。つか昔の俺強すぎじゃね……。

 

 「ドラゴン以外にどんな生き物がいるの?」

 「そーだのう……。10メートルを越す巨人とかフェニックス、ゴブリン、オーク、魔物も存在するな。ん? ゴブリンとかオークって魔物の分類じゃったかな。まあそんなのいちいち覚えておらなんだ」

 「典型的な異世界だな……」


 俺とノトスが無駄話をしてる間(もや)さんはずっと俺の戦闘データを凝視している。


 「この鉱石みたいなのがオリハルコンというやつか?」


 (もや)さんが石器刀を見ながら聞いてくる。


 「ふむ、そうじゃ。絶対に壊れることのない、そして意思のある鉱石。わしはそれで作られておる」

 「一体誰がノトスを作ったの?」

 「それはわしにも分からん。わしが作られたのはアルトリアの神話と呼ばれておる時代じゃ。それ以外はわしにもわからん」


 1000年も前の話だから覚えてないのか……。

 アニメとかだとこういうのはめちゃくちゃ重大な事実に繋がってるんだけど……。

 すると(もや)さんが何かを見つけたのか凄い勢いでテーブルをスクロールし始める。


 「……燈、ノトス……これを見てくれ」


 靄さんがテーブルに指を滑らせて操作すると立体映像(ホログラム)が一時停止し俺の心臓辺りにズームアップする。そこには石のようなものが心臓に埋め込まれているように見える。


 「靄さん……これは?」

 「私にも分からない。以前検査した時には無かった。これは……一体……」


 俺と靄さんが頭を捻る中ノトスは何か考え込むように黙っている。


 「もしかしてノトスは何か知ってるの?」

 「……ああ。まさかまだ残っているとは思ってなかったが。これはモートタイト。星の……アルトリアの欠片(かけら)じゃ」

 「モートタイト……。アルトリアの欠片ってどういうこと?」

 「勇者システムのことは覚えておるな?」

 「ああ、星が自らを救うために勇者を作り出すシステムのことでしょ?」

 「ふむ、概ねそれで合っておる。星は勇者を生む出す際理由は分からんが自分の欠片を勇者に埋め込む。それがモートタイトと呼ばれるものじゃ」

 「それならあるのは当然じゃないの?」

 「いや、本来なら燈がアルトリアから消えた時点でこれは消失するはずのもの。それが残っておるなんて……」


 再び黙ってしまったノトス。


 「ノトス……これは害のあるものなのか?」


 (もや)さんがノトスに問いかける。


 「害はない。むしろ燈を守ってくれるはずじゃ」

 「なら今は考えるのは止そう。これからもっと詳しく検査する必要がある」


 確かに答えがわからない問題を議論するのはあまり意味のあるとは思えない。いつか答えが出るのを待つしかない。


 「とりあえず今日はここで解散しよう。燈も慣れないことをして疲れただろう。何か詳しいことがわかったら連絡する」

 「分かりました」


 (もや)さんの言った通り体のあちこちが痛い。早く帰って布団で横になりたかった。

 帰る準備をしてエレベーターに乗ろうとすると後ろから靄さんに声をかけられる。


 「そうだ、燈」

 「なんですか?」

 「ノトスも一緒に連れて行ってくれ。これからは一緒に暮らすことになった」

 「え? 何言ってるんですか?」

 「姫様から直に頼まれてな。これからは私たちの家で一緒に生活する」

 「いやいやいや! そんな急には無理でしょ! 第一(かすみ)にはなんて説明するんですか?」

 「それは私が連絡しておく」


 ノトスを見ると目を輝かせながら無邪気な子供のような笑顔で俺に詰め寄ってくる。


 「霞とは(あかり)の彼女か! それは早く会ってみたいのう! 楽しみなのじゃ!」


 霞とノトスが会うとか想像しただけで嫌な予感しかしない……。

 そして色々と言い訳……というか説明の仕方を考えているといつのまにか家の前まで来てしまっていた。


 さぁ……覚悟を決めよう……。

感想、意見、批判などございましたらよろしくお願いします!


次話は明日か明後日投稿です!

よろしくお願いします。

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