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第五章 松田長官、海坊主の罠に填る

壊滅:(かいめつ)物の形や物事の組織などが、ひどくこわれてだめになること。また、それらを打ちこわしてだめにすること。

噂:(うわさ)物事や人の身の上について、かげで話をすること。また、その話。

揃う:(そろう)そうあるべきものが全部ととのう。残らずそなわる。集まって一つの形や組をなす。

現在、松田長官率いる特殊部隊は、衛星の打上げも可能な科学力を持つ悪の組織、“海坊主”の壊滅に力を入れていた。

松田長官を襲ったのは、その海坊主一味の可能性があった。

そんな中、各国の各種人工衛星が突然行方不明になる事件が相次ぎ、海坊主と関係あるらしいと各国で捜査していた。

松田長官も捜査した所、最近になって海坊主に不穏な動きが目立って来た。

特殊部隊の隊員を選抜して召集し、作戦会議を開く事になったが、そのメンバーにサクラが入っていた。

特殊隊員達は、「サクラは組織上、松田長官直属の特殊隊員になっていますが、何者か知っていますか?」などと噂していた。

誰もサクラとチームを組んだ事はなく、サクラを知っている特殊隊員がいなかった為に、松田長官直属の特殊隊員としか解らなかった。

    **********

特殊隊員達は会議が始まるまで雑談していると、女子大生風の若い女性がGパンにTシャツ姿で会議室に現れた。

特殊隊員の一人が、「何か用ですか?今から会議が始まるので勝手に入って来ないで下さい。」と彼女の前に立ち警告した。

彼女は、「私は松田長官に呼ばれたテレジアサクラです。」と笑顔で写真入りネームプレートを見せた。

特殊隊員一同驚いて、「こんな学生気分の抜けない若い女性をこの会議に呼ぶなんて、松田長官も何を考えているのだ!」と松田長官の真意が理解できずに困惑していた。

やがて松田長官が会議室に現れて会議を始めようとしたが、特殊隊員達はサクラの事が気になり会議どころではなくサクラの事について確認した。

松田長官は、「サクラには特殊な能力があります。今回の作戦でその能力が必要不可欠な為、メンバーに加えました。」と女子大生風ではなく、キャリアウーマン風に、いや特殊能力があるのだからスポーツウーマン風に変身させるべきだったと後悔していた。

特殊隊員達は、「どんな特殊能力ですか?」と納得できない様子でした。

松田長官は、「極秘です。メンバーも全員揃っているようなので会議を始めましょう。」とサクラの話題を中断させて会議を始めた。

    **********

松田長官は、「衛星には武器を搭載している軍事衛星もあり、中には核兵器を搭載している衛星もあります。その他、機密情報などもある為に、至急海坊主の基地を発見し対応する必要があります。人のいない山奥や海の孤島などの調査をする一方で、衛星を確認して海坊主が関与している証拠を掴む必要があります。」と会議の目的を説明して会議を始めた。

会議が進み、航空写真の撮影や分析、海底の調査など特殊隊員一人一人の役目もはっきりして、最後に衛星の確認が残った。

    **********

特殊隊員達は、“衛星の確認はどうするのだろう?ナサに協力依頼するのかな?それだったら、最初からアメリカ軍に任せれば良かったのに。”と松田長官の真意が理解できなかった。

松田長官が、その役目をサクラに指示して会議は終了した。

特殊隊員達は心配になり、サクラにどうするのかを確認した。

サクラは、「先程長官が仰っておられた特殊能力を使用します。具体的な事は極秘ですのでご想像にお任せします。」と断言を避けて松田長官と会議室を退室した。

会議終了後、特殊隊員達で話合い、「どんな特殊能力か知らないが、衛星は地上や航空機から双眼鏡でも確認は困難だ。天体望遠鏡を使用するのかな?」と衛星を確認する方法が解らずに他の特殊隊員に確認した。

別の特殊隊員が、「天体望遠鏡は子供でも使うぞ。特殊能力ではないだろう。それに常時確認不可能だ。あんな若い女性に何ができるのだ!」と話合っていた。

矢張り不味いのでは?と結論を出して、サクラに疑問を抱いていた特殊隊員が代表で松田長官の後を追ったが、既にエレベーターに乗った後でした。

    **********

隣のエレベーターで追い駆けて、ビルの出口付近で松田長官に追着いたが、サクラと名乗った女性はどこにも見当たらずに、松田長官と一緒にいるのは堅物秘書だけでした。

特殊隊員が松田長官に話し掛けようとすれば堅物秘書が、「松田長官に用がある時は私を通して下さい。」と警告しながら間に割り込んできた。

特殊隊員は、「今の会議内容で確認したい事項があります。」と松田長官に話し掛けようとした。

堅物秘書はそれを止めて、「今の会議に何か問題でもありましたか?会議内容は極秘の為、このような場所で喋らないで下さい。何故会議中に確認しなかったのですか?特殊隊員としてもっと自覚を持って頂けませんか?確認事項は松田長官宛に文書で提出して下さい。」と特殊隊員が極秘事項を喋る事を阻止した。

特殊隊員は、「この石頭!」と怒り、特殊隊員のサクラと堅物秘書のサクラが同じカバンを持っていたとも気付かずに、他の特殊隊員が待っている会議室に戻った。

    **********

その特殊隊員は、「あのコチコチ頭の堅物秘書は苦手だ。小声で喋れば誰にも聞こえないだろう。融通が利かないんだから。あいつの辞書には不可能ではなく融通の文字がないのではないか?」と不満そうでした。

まさかエレベーターの中で変身していたとは思わなかったようでした。

    **********

作戦実行当日に航空写真を分析した結果、敵のアジトがあると思われていた山奥を切り開いて作った広い場所にある建物に乗り込んだ。

建物の中には何もなく、爆弾が仕掛けられた張りぼてのアジトでした。

松田長官が海坊主の基地を捜しているとの情報をつかんで、おとりの建物を作ったのでした。

爆弾を発見した松田長官の指示で慌てて避難すると同時に爆発した。

そこへ十数台のジープが特殊隊員達に向かって来た。その状況で、セスナ機にマシンガンで攻撃された。

松田長官を含めて特殊隊員達は、「しまった!罠に填った!」と慌てていた。

慌てて逃げ惑い、岩場に身を潜めて特殊隊員達が銃撃戦をしている中で松田長官はサクラに連絡していた。

「サクラ、衛星の様子はどうだ?無事か?」と確認した。

「各国の各種衛星は全て無事で、正体不明の衛星も確認できていません。今の所は何も起こりそうにもありません。銃声が聞こえますが大丈夫ですか?」と松田長官が焦っているようでしたので心配していた。

    **********

松田長官は衛星が無事である事を確認すると、「大丈夫ではない。罠に填った。至急応援願いたい。」とサクラに助けを求めた。

「了解しました。数秒で行きます。」と慌てていた。

特殊隊員達はその無線を聞いて、「あんな小娘のサクラに何ができるのですか?どこから来るのか知らないが、どんな特殊能力でも数秒では無理でしょう。」と松田長官の真意が理解できなかった。

松田長官から、「この作戦時はサクラと離れますが、部下数名と行動する為に大丈夫です。任務に集中して下さい。」と指示されていたサクラは、急いで松田長官の位置を確認していた。

    **********

特殊隊員達が銃撃戦をしていると、上空で何かが光ったかと思えば突然、松田長官率いる特殊隊員達とセスナ機との間にUFOが出現して、セスナ機は避けきれずに接触して墜落した。

特殊隊員達は、セスナ機とUFOが接触した為に驚いている中で、松田長官がサクラに連絡していた。

「サクラ、セスナ機と接触したようですが大丈夫ですか?」とUFOの性能を知っている松田長官は大丈夫だと思ったが、念の為に確認した。

サクラは、「はい、大丈夫です。私のUFOはセスナ機と接触した程度ではビクともしません。」と松田長官が無事だった為に間に合ったと安心していた。

松田長官は、サクラが大丈夫である事を確認すると、「海坊主のジープが谷間の細い通路から次々と入って来ている為に、谷間の上の岩を落として通路を塞げませんか?」と依頼した。

サクラは、「了解。」と照準を合わせて攻撃の準備をしていた。

その次の瞬間、UFOから一筋の光が発射されて、谷間の上の岩に命中した。

岩は、松田長官の思惑通りに谷間へと落下して通路を塞いだのを見て、特殊隊員達はサクラがUFOを操っている事に気付いて、何故そのような事が可能なのか不思議そうでした。

    **********

再びサクラから、「谷間から入って来たジープが十数台あります。上へ被さるように着陸してバリアを張ります。」と連絡が入った。

UFOが、松田長官率いる特殊隊員達の頭上から覆い被さるように着陸した。

UFOの底部に、直径十cm程度の窓が開き、固体とも液体とも判別できない流動体の物質が出て来た。

特殊隊員達が身構えると、その流動体の物質は人間の姿に近付いて、やがて会議に出席していた、女子大生風の若い女性に変身した。

    **********

特殊隊員達は、サクラは人間じゃないと気付いて言葉を失っている中で松田長官は、「有難うサクラ、助かりました。所で衛星の様子はどうですか?」と確認した。

サクラは、「先程報告したように、今の所は異常ありません。この場所は罠でしたら何もないと思うので、皆さんも私のUFOで衛星の監視をしませんか?」と搭乗口を開けてタラップを出した。

しかし、特殊隊員達はUFO自体見る事が始めてでしたので、衛星どころではなかった。

「このUFOの着陸は、ボールペン程の太さの脚が四本あるだけですが、二~三メートル程の細長い脚で、こんな不安定な場所に着陸しても大丈夫ですか?」とUFOの脚が折れて下敷きにならないか心配でしていた。

サクラは笑いながら、「大丈夫ですよ。基本的に着陸時には脚を出しません。宙に浮かべます。この脚はバリアを張っているだけです。この中にいれば、拳銃どころかバズーカ砲でも核兵器でも大丈夫ですよ。」と返答した。

特殊隊員達は、「確かに海坊主のジープからのマシンガン攻撃もバリアで跳ね返され、今、突っ込んできたジープもバリアでペシャンコになりました。しかし、こんな細い棒四本で核兵器を防げるのですか?」と半信半疑でした。

    **********

松田長官が、「あまり長い時間衛星から離れると心配なので、質問はUFOの中でして下さい。皆、UFOに乗った事ないでしょう。一度乗ってみませんか?」と指示した。

全員UFOに乗せて、タラップを収納し、搭乗口を閉めて衛星まで行った。

海坊主のメンバーは、特殊隊員達がUFOに搭乗して、バリアの四本の棒がゆっくりとUFOに収納され、飛び去っていく様子を何もできずにただ見守っているだけでした。まさか宇宙人が特殊部隊に協力しているとは考えられず、サクラのUFOは特殊部隊の新兵器だと思っていた。

サクラのUFOが人工衛星よりも高い高度まで1~2秒程度で上昇して、その加速Gも感じなかった為に、特殊隊員達がその凄い科学力に驚いた次の瞬間、体が宙に浮いた。

その様子を見てサクラは、「あっ!そうそう説明する事を忘れていましたが、私のUFOは加速Gの吸収はできますが、重力発生装置は搭載されていませんので悪しからず・・」と事後説明した。

特殊隊員の一人が、「そういう事は早く説明しろ!今更どうにもならないだろうが!」と初めての無重力体験に苦労していた。

    **********

松田長官が、「サクラ、地球の周回軌道を回り、各種衛星を監視して下さい。それとUFOの壁を透明にできませんか?」と確認した。

サクラは、「できます。」とUFOの壁を透明にして地球の周回軌道を回っていた。

特殊隊員達は宙に浮いた状態で双眼鏡などを使用したりUFOの立体レーダーを確認したりして全員で監視していた。

しばらくするとサクラが、「長官、立体レーダーで見知らぬ巨大人工衛星を地球の裏側で発見しました。接近します。」と報告した。

一人の特殊隊員が、「こちらから肉眼で確認可能な位置まで接近すると、海坊主の巨大人工衛星からも、こちらが確認可能なのではないですか?確認可能な位置まで接近しても大丈夫ですか?」と心配そうに質問していた。

サクラは接近しながら、「大丈夫ですよ。心配しなくても透明シールドを張っています。外部からは見えません。」と笑顔で返答して安心させた。

    **********

全員で、その巨大人工衛星を監視していると、先端部が吸盤になっているロボットアームを数本出して人工衛星を捕獲しようとしていた。

サクラが、「どうしますか?長官、阻止しますか?」と確認した。

「海坊主の基地を確認したい。しばらく様子を見て下さい。」と指示した。

その巨大人工衛星は、そのまま人工衛星を捕獲して、地球に戻って行くと松田長官が、「サクラ、気付かれないように追跡して下さい。」と指示した。

サクラはUFOの透明シールドを張った状態で追跡して、太平洋上の無人島にあるアジトを発見した。

松田長官は本部に連絡して応援を依頼した。


次回投稿予定日は、4月24日です。

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