表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
21/31

第二十一章 呪縛からの開放

よだれ:不随意的に唾液が口から流れ出るもの。唾液の分泌過多によるものと、口輪筋の収縮不全または嚥下えんか障害によるものがある。

阻止そし:じゃまをして、とどめること。おさえてとめること。

鎮火ちんか:火事が消えること。火事を消すこと。

お淑やか:(おしとやか)言語、動作などが落ち着いてもの静かであるさま。優雅で上品であるさま。また、つつしみ深いさま。近代では、ふつう女子の言語、挙動についていう。

破壊:(はかい):器物、建物、組織などをやぶりこわすこと。また、やぶれこわれること。

抗体:(こうたい)生体内に抗原が侵入すると、それに対抗して形成され、抗原と抗原抗体反応を起こす物質の総称。


アヤメは対処方法が解らずに痙攣しているフジコを抱きかかえて、「大丈夫だから落ち着いて。ゆっくりと深呼吸して!」と助言していた。

しかし、痙攣は収まるどころか益々激しくなってきた。

アヤメはどうすれば良いのか解らず焦って、「アネゴ!見てないで何とかしてよ!」と助けを求めた。

サクラはUFOからガソリンタンクを持って来た。

アヤメは、「アネゴ、準備していたの?対処方法が解っていたの?それだったら見てないで手を貸してよ!」と博士が苦しんでいるのに何もしないサクラが冷たく感じた。

サクラは、「私は、女神ちゃんがどうにもならないようでしたら手を貸すようにと指示されています。ですから準備してしばらく様子を見ていました。呪縛から開放される時の対処方法は学校で習ったでしょう?知らない方が可笑しいのよ。どうせ女神ちゃんの事だから、授業をボイコットしたか、授業中に涎を垂らしながら“お寝んね“していたのでしょう?そんな事をしているからいざという時に困るのよ。呪縛から開放されてテレジア星に帰れば、もう一度小学生の教科書から順番に勉強し直す事を勧めるわ。でないと、今後色々と困る事があると思いますよ。あとは私が処理しますから博士から離れて。」とサクラはアヤメにフジコから離れるように指示した。

アヤメがフジコから離れると、サクラはフジコにガソリンをかけて熱線で火を着けた。

    **********

霧島刑事達は予想外の対処方法に驚いて、「何をするのだ!」とコートを脱いで消し止めようとしていた。

アヤメが、「テレジア星人の事は私達に任せて下さい。火が着いたくらいでは死なないから大丈夫です。」と阻止した。

その間に、サクラが燃えているフジコを抱きかかえて、サクラの体にも火が燃え移っている様子を見て、霧島刑事達は言葉を失い、しばらく傍観していた。

サクラは、「ガソリンも飲み込み、深呼吸して体の内部から燃やして!大丈夫だから、落ち着いてゆっくりと深呼吸して。」と助言していた。

その後、ニ~三十分ほど燃えていたが、やがて鎮火して、真っ黒い炭状になった。

サクラはフジコに、「大丈夫だから、ゆっくりと体を動かして、ゆっくりと。」と助言した。

しばらくすると、真っ黒い炭状の物体にヒビが入り、割れて中からフジコが出てきた。

サクラが、「どう?博士、大丈夫?」と確認した。

フジコは口からも大量の炭を吐き出しながら、「まだ少し調子悪いけれども、先ほどに比べると痙攣も収まり楽になりました。有難うアネゴ。」と少し落ち着いた様子でした。

それを聞いたサクラはアヤメに、「もう大丈夫よ。あっそうそう、松田長官が亡くなった時には私も同じ状態になると思うので、その時は女神ちゃん、お願いね!年齢からして松田長官の方が先に天国に召されると思うのでね。」と説明している間に、フジコはマンホールの上に着陸させていたUFOを呼び寄せて、うがいをしていた。

サクラは現状を確認して、後はアヤメに任せて大丈夫だと判断すると、「女神ちゃん、もう私が帰っても大丈夫よね。」と確認して松田長官と帰った。

    **********

アヤメはフジコを霧島刑事の所へ連れて行き、「もう大丈夫ですよ、博士は私やアネゴよりずっと大人しくお淑やかですのでね。呪縛時の記憶は残っている為に、宝石などの隠し場所や仲間がいるかなど、色々な事は聞けば解るわよ。それじゃ私はこれで失礼します。」と猪熊巡査と立ち去ろうとしていた。

霧島刑事達は、フジコが今の今まで狂暴で牙を生やした怪物でしたので、アヤメに大丈夫だと太鼓判を押されても、梅川を殺した仕返しをされないか不安でした。

霧島刑事は、「囚人達が警察署の留置場で目撃した怪物の証言が、先ほどのフジコさんにそっくりです。警察官が簡単に体をバラバラにされた記憶もあり、私も他の警察官も怖いです。可能であればアヤメさんにも取り調べに同席して頂けないでしょうか?」とアヤメに協力依頼した。

猪熊巡査は、「私達でお役に立てるのであれば協力させて頂きます。」と快く引き受けて、猪熊巡査とアヤメを含めて取り調べを行う事になった。

フジコは霧島刑事の質問に何も隠さず自供した為に取り調べもスムーズに進み、宝石や仲間の事など色々と聞いた。

フジコは頭も良く、梅川の作った宝石強盗団組織の参謀も勤めていた為に、その全容はフジコが把握していて、宝石強盗団組織は完全に壊滅した。

しかし、未解決の宝石強盗や銀行強盗事件で、手口がテレジア星人のものだと思われる数件でフジコの記憶にない事件があった。

犯行予告状はありませんでしたが、フジコと梅川の犯行だと判断して捜査を中断していた。

霧島刑事は、「猪熊巡査、最近発生した難事件で、梅川の犯行だと判断した数件は捜査を一時中断しています。上司とも相談しますが、アヤメさんに捜査協力願えませんでしょうか?」と依頼した。

猪熊巡査は、「了解しました。上司を通じて正式にアヤメの出動を依頼して下さい。できる限りの事は、協力させて頂きます。」と協力的でした。

霧島刑事から相談された上司は署長にアヤメの出動を依頼して、アヤメと猪熊巡査が捜査に協力する事になった。

    **********

アヤメが、「先程アネゴにも聞いたが、梅川とタイタンに行ってないか?タイタンに1円玉が落ちていたんだ。」と確認した。

フジコは、「いいえ、私は行ってないわよ。地球に私達以外の宇宙人が潜んでいる可能性があり、未解決事件の犯人の可能性があります。一円玉を所持していた事を考慮すると、地球人として生活しても違和感がないと思われます。体の形状を地球人と同じように変形させられる可能性がある事から考えてテレジア星人の可能性が高いです。私達が起こした事故現場近くに他のテレジア星人がいて、呪縛になった可能性もあります。女神ちゃん、喧嘩は得意でも頭を使うのは苦手なので、そのテレジア星人を捜し出せますか?アネゴの力を借りた方が良いと思うわよ。」と助言した。

アヤメはフジコの胸倉を掴んで、「アタイでは、役不足だと言うのか!」と締め上げるとフジコは、「た、助けて!」と助けを求めた為に猪熊巡査が止めた。

霧島刑事は、今の様子からフジコとアヤメが争っている時にフジコがアヤメに、“この不良娘が!”と言った事を思い出して、その言葉の意味を聞いた。

フジコは、「女神ちゃんは今、猪熊巡査の指示には逆らえない為に警察には協力的ですが、手の着けられない不良娘で私もよく虐められました。寿命で猪熊巡査が亡くなれば、またあの不良娘に戻るんでしょうね?」と呪縛前の事を思い出しながら返答していた。

アヤメは、「不良で悪かったわね。文句ある?」とフジコを睨んだ。

フジコは、「怖い、猪熊さん、助けて。」と助けを求めた為に猪熊巡査がアヤメを止めた。

    **********

今夜の取り調べは終了し、明日も取り調べを行う事になった。

夜の睡眠時は留置場の警察官も怖く、更に留置されている囚人達は警察官が体をバラバラにされる様子を目撃していて不穏になる可能性がありフジコを引き受けなかった為にアヤメに一任される事になった。

アヤメが、「博士が怪物に変身するから皆怖がっているだろう。監視カメラを壊した上梅川を助けるのだったら、怪物に変身しなくても良かったんじゃないか?」と雑談しながらフジコを連れて帰った。

翌日の取り調べで霧島刑事はアヤメから、病気や怪我はタイムマシンで治せると聞いた為に、「しばらく体調不良だったと聞きましたが、何故タイムマシンで治療しなかったのですか?」と不思議そうでした。

フジコは、「特に意味はないです。ただ、梅川が看病してくれると言うので、“こういうのもたまには良いかな?“と思っただけです。」と返答した。

アヤメが、「梅川に体を任せたのか?梅川の事だから優しさではなく助兵衛心だったんじゃないのか?何をされたんだ?」と興味本位で聞いた。

フジコは、「それは否定しないけれども、何をされたかなんて言えないわよ。呪縛の為に梅川には逆らえずどうにもならなかったのよ。」と恥かしそうでした。

アヤメは笑いながら、「矢っ張りそうか。看病だから、連日素っ裸にされて、お医者さんごっこで浣腸など言えないような事を色々されたのか?他に何をされたんだ?診察か?Hな場所ばかり診察されたんだろう。梅川の玩具だな。」とからかった。

猪熊巡査が、「可哀想だからもう良いじゃないか。」とアヤメを止めた。

    **********

霧島刑事もフジコにこの事を追求するのは可哀想だと判断して質問を変えた。

「解りました。それではもう一つ聞かせて下さい。何故火を着けると呪縛から開放されるのですか?それでしたら命の恩人が生きている間に火炎放射器で火を着ければ良かったのではないですか?」と質問した。

フジコは、「それは地球人でも、驚いたり悲しんだり怒ったり興奮したりすると、血圧が上がったり心拍数が上がったりして、体の中で色々な変化が起こるでしょう?それはアドレナリンなどの化学物質が分泌されるからなのですが、テレジア星人は命を助けられると感謝感激して、その時に化学物質が分泌されます。この化学物質は血液と結合しやすく、数秒で体中に広まります。これが呪縛の原因です。その物質は燃えますが、命の恩人が生存していると、火炎放射器で燃やしても次から次へと分泌されます。命の恩人が亡くなれば、その分泌が止まり、体の中に残っている化学物質と血液とが争います。これが痙攣の原因です。呪縛の原因となる化学物質を燃やして血液を援助します。テレジア星人の組織や血液は燃えませんので、火を着けるとその化学物質だけが燃えます。燃え残りがあっても少しだけなので、テレジア星人の組織がその化学物質を破壊できますが時間がかかります。しかし、必ず燃え残りはあります。これが命の恩人の血縁関係者に影響される原因です。しかし、自分の意思で立ち切る事は可能です。即ち、確りと燃やせばその後が精神的に楽になります。燃え残りが多いとしばらく体調不良になります。」と説明した。

    **********

霧島刑事は、「血液と結合し易いのは理解できますが、それと争うのは抗体や白血球ではなく、血液なのですか?」と質問した。

フジコは、「説明不足で御免なさいね。テレジア星人には抗体も白血球もありません。血液がそれらの役割を果たしています。血液は強い酸で、食べた物を溶かすのも、血液です。私達は銃で撃たれても平気ですけれども、その時に少量の血液があなた方にかかった可能性があります。特に、持っていた盾が溶けていたり、着ていた服に穴があいたりしている人は注意して下さい。私達の血液は硫酸や硝酸など、地球上の酸とは異なる為に、地球の病院で対応できなければ女神ちゃんに相談して下さい。授業をさぼっていた女神ちゃんには対処できないかもしれませんので、無理だと思えば下手に対処せずにアネゴに相談するのよ。」と返答した。

    **********

霧島刑事は、「了解しました、直ぐに警察官に確認します。」と返答した。

取り調べ終了後、今迄の事はフジコの意思ではなく、テレジア星人としては避けようのない事だと判断された。

また梅川が死亡して呪縛から開放されたものの、その血縁関係者には言いなりとまではいきませんが、強く影響され大変危険な事が判明した。

上司を通じて政府と相談した。

政府関係者も、アヤメとフジコが争っている様子を報道の動画で見ていて、こんな生物が敵になれば大変な事になる。先日留置場の警察官の体がバラバラにされたのはこの怪物だろう。銃どころか核兵器でも倒せないこんな怪物が敵になれば地球が滅亡する可能性も否定できないとして、取り調べ終了後、裁判なしで即刻テレジア星への退去処分と決定した。

勿論テレジア星でも、その血縁関係者に会う事は非常に危険で法律でも禁止されている為に、フジコは即刻テレジア星へ帰る事になった。


次回投稿予定日は6月15日です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ