第十三章 テレジア星人フジコ現れる
取り敢えず:(とりあえず)他の事はさしおいて、まず第一に。まずさしあたって。
焦り:(あせり)あせること。気がいらだつこと。
練る:(ねる)計画、案などを何度も考えて修正・改良する。
黙秘:(もくひ)隠して言わないこと。
椅子:(いす)腰掛け。
無駄:(むだ)行っただけの効果がないこと。役にたたないこと。無益。
暇:(ひま)やるべきことがなくて余裕のあるさま。格別の行為や仕事がなくて漫然としているさま。
嘘:(うそ)本当でないことを、相手が信じるように伝えることば。
呆然:(ぼうぜん)気抜けしてぼんやりしているさま。また、あっけにとられるさま。
ある日、連続宝石強盗犯の梅川が警察に追われて山中に逃げ込んだ。
警察に追われていた為に、焦っていて足元が不注意になり何かに足を取られて転倒した。
何に足を取られたのかと思い確認すると若い女性が倒れていた。
既に死んでいるようでしたので、そのままにして行こうとしていた。
再び足を取られて転倒した。
今度は何かと思い確認すると、死んでいたとばかり思っていた女性の手が梅川の足を確りと捕まえていた。
梅川は必死に振り解こうとしていたが凄い力でどうにもならないどころか逆に引き寄せられた。
そうです、この女性が三人目のテレジア星人フジコでした。
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フジコは運動神経が鈍い為に、空間を飛び越えた時のショックを上手く吸収できませんでした。
梅川に蹴っ飛ばされると本能で若い女性に変身したが、直ぐには動けずに取り敢えず梅川の足を捕まえたのでした。
梅川は、フジコが凄い力で放してくれそうもなかった為に、「おい!俺は急いでいるんや!放せ!バカ野郎!」と警察に追つかれると焦りながら怒っていた。
フジコは、「そんなに急いでどこへ行くの?」と梅川を落着かせようとしていた。
梅川は、「どこかで聞いたような文句やな!交通標語などで遊んでいる場合じゃない。早く逃げないとヤバイ!」と落着く様子もなくフジコも諦めて、梅川の様子から誰かに追われているようでしたので逃亡の手助けをする事にした。
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何とか動けるようになったフジコは梅川を抱えた状態で梅川の向かっていた方向に凄いスピードで移動した。
フジコは、「どこ迄行くの?連れて行ってあげるわよ。」と梅川の目的地まで行こうとしていた。
梅川は、“えっ!?飛んでる?”と何がどうなっているのか理解できませんでしたが、取り敢えず他府県まで逃亡して廃工場に潜み、フジコの説明を連日聞いていた。
梅川はチンピラと違い、計画を練って宝石強盗を実行する知能犯なので、松田長官の時と同じように、「お前、SF映画の見過ぎで頭が可笑しくなったのか?」と最初は信じられませんでした。
フジコに、「地球人にこんな事できる?」と宙を飛んだり体の形状を変えたりするところなどを色々と見せられて信じかけてきた頃に、梅川がフジコにコンビニ弁当を買いに行かせていた間に警察に逮捕されるハプニングが発生した。
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フジコは、コンビニで梅川の買い物をしている間でも、梅川の様子を透視力で確認していた為に、警察が突入して梅川が逮捕された事に気付いた。
命に関わる状況ではなかった為に、梅川の様子を確認しながら取り敢えず支払を済ませて戻った。
梅川が連行された警察署へ、UFOに透明シールドを張り上空に到着したフジコは、透視力を使用して梅川の所在を確認していた。
逮捕された梅川は、“ひょっとすればフジコが宇宙人の科学力で何とかしてくれるかも知れない。”と思い、取り調べでは黙秘を続けていた。
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その頃、警察の刑事課に若い女性から電話があり、「明日の正午、梅川を返して頂きます。」と予告した。
梅川の所在を警察署の上空から確認したフジコからの電話でした。
刑事達は、「ドラマじゃあるまいし、まさか警察署に乗り込んでこないだろう。」と本気にしていませんでした。
万が一の時の為に、正午には刑事達が警察署の玄関や裏口を警戒していた。
正午前に、セーラー服姿の女子高生が警察署の窓口に落し物を届けに来た。
対応した警察官は落ちていた場所を聞いて、「その付近の詳しい地図を持って来ます。しばらくお待ち下さい。」と伝えて地図をとりに席を離れた。
その女子高生こそが梅川を救出にきたフジコだったのです。
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フジコは待っている時間に近くの椅子に一般人に紛れて座って、“まさか”と思いつつも、念の為に警戒していた霧島刑事の所へ行き横に座り話し掛けた。
「小父さん、先ほどからずっとそこに座っていますが刑事さんなの?暇そうですね。テレビドラマなどで刑事の仕事は無駄の積み重ねだって聞いた事ありますけれども刑事さんもそうなのですか?」と刑事が声で気付くか確認した。
霧島刑事は、どこかで聞いた声やな?と思いつつも、セーラー服の美少女が、まさか梅川を取り戻しに来た凶悪犯だとは考えられませんでした。
「どうせ無駄な事をしているので暇だけれども、お嬢ちゃんはここで何をしているの?」と話をすればどこで聞いた声か思い出すと考えて話をしたが、フジコの声が昨日の電話の声だとは気付かなかった。
その女子高生は、「今からお仕事です。刑事さん、そろそろ約束した正午ですよ。そんなにのんびりしていても良いのですか?」とこの刑事さん、まだ気付かないわ、と呆れていた。
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霧島刑事はフジコの言葉で、“えっ!”と声を思い出した瞬間、その女子高生は立ち上がり、同じく立ち上がった霧島刑事と向かい合わせになり、「私が何故、小父さんが刑事だと解ったのか不信に思わなかったの?それにここで張り込みしていたのでしたら、私が今来た事に気付かなかったの?ずっと座っていただなんて嘘だと見抜けなかったの?刑事でしたら電話の声ぐらいは覚えておくものよ。私は覚えているわよ。昨日、電話に出たのは刑事さんでしょう?刑事失格ね。」とフジコの忠告に呆然とした瞬間、フジコが持って来た落し物が爆発して、地図を持って戻って来た警察官を吹き飛ばして即死させてあたり一面騒然となった。
霧島刑事は爆風で何かの破片が飛んできた為に、目を守る為に目を閉じて腕で覆いながら何が起こったのか解らず、“えっ!?“と再び目を開けると、その女子高生の姿は消えていた。
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フジコはUFOから電話した時に、電話に出た霧島刑事を透視力で確認していた。
その刑事が窓口近くの椅子に座っていた為に話し掛け、その間に、梅川が留置されている場所と監視カメラの位置を透視力で確認していた。
他の警察官が爆発や負傷者に気を取られている間に、フジコは監視カメラを壊しながら迷わず留置場に向かった。
警察を惑わす為に怪物に変身して、梅川にはフジコだと名乗り、梅川が留置されている房の鉄格子を壊した。
留置場の警察官は、鉄格子を簡単に折り曲げたので、ぬいぐるみなどではなく本物の怪物だと判断して非常ベルのボタンを押して発砲しながら止めに入った。
梅川が、「殺せ!」と指示すると、フジコは両腕を刃物に変形させ突き刺して引き裂いた。
梅川が出入り口から脱走しようとするとフジコが、「そこから脱走すれば警察官に遭遇します。こっちに来て。」と梅川が留置されていた房の鉄格子と反対側の奥の壁を簡単に破り、そこから脱走した。
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霧島刑事は非常ベルの音で我に戻り、“まさか、あの可愛い女子高生が?”と信じられませんでしたが、大声で同僚を呼びながら急いで留置場へ向かった。
留置場の壁は破られていて、女子高生と梅川の姿はどこにも見当たりませんでした。
留置場の警察官は数発発砲した痕跡のある拳銃を持った状態で死亡していた。
怪物に食いちぎられたかのように体はバラバラになり内臓も破られていてあたり一面血の海で、丸で地獄のようでした。
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留置場では、何かが爆発したような痕跡はなく鑑識が徹底的に調べたが、監視カメラも壊されていて、どうやって短時間の間で壁を破ったのかも警察官が何で体をバラバラにされたのかも不明でした。
霧島刑事は、他の房に留置されていた囚人達に何があったのか事情を聞いた。
囚人達は口を揃えて、「怪物がドアから入って来て銃を発砲している警察官を引き裂き、壁を破ってその房に留置されていた囚人と逃走した。怪物は銃弾を何発受けても平気で、俺達も殺されるかと思い生きた心地しなかったよ。血が噴き出す様子を見て、こいつなんかおしっこ漏らしたんだぜ。」と証言した。
しかし、怪物を見たのは囚人達だけでした。
念の為に囚人達の証言を参考にして怪物の絵を描いた。
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その絵を参考にして、警察内部や近くの商店街でも徹底的に聞き込みしたが、怪物の目撃証言はなく、商店街の監視カメラにも映っていなかった為に、「本当にこんな怪物がいたのなら他にも被害者がいて誰か見ているだろう。その女子高生は爆弾以外に何か武器を持っていて囚人達と何か取引して怪物をでっちあげたんだろう。」と信頼性に欠けるとして怪物の存在は否定された。
そうです、肉食で攻撃力の強いテレジア星人にはこのような事は朝飯前なのです。
梅川が、「何故監視カメラを破壊したんだ?怪物が映っていても警察にはどうにもならないだろう。」と何故監視カメラを壊したのか理解できませんでした。
フジコは、「宇宙人や怪物が関与していると悟られると、自衛隊が出動して騒ぎが大きくなる可能性がある為に監視カメラは破壊しました。人間の姿で行くと、囚人の目撃証言から宇宙人の関与が疑われる可能性があった為に怪物に変身しました。怪物だと囚人達だけの目撃証言になるので、存在は証明されないと判断して怪物に変身しました。」と説明した。
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これで調子づいた梅川は大泥棒を気取って警察に犯行予告して犯行に及んでいた。
警察は犯行を阻止するどころか、どこから侵入して、どうやって逃亡しているのか?すら掴めませんでした。
まさか体を液状にして配水管などから出入りしていたとは夢にも思いませんでした。
やがて梅川は犯行時に同行するようになった為に、フジコは配水管などから出入りできなくなった。
警察官と鉢合わせする事もあったが、フジコには全く手も足も出なかった。
梅川は、フジコが気転をきかせて怪物や宇宙人の存在は証明されなかった為に、自衛隊が出動しないように、できる限り警察を警戒させないようにテレジア星人の能力を使用するのは最小限度に留めるように指示していた。
フジコは身軽でロープ等を使い、忍者のように飛び、バカ力の女性だと思われていた。
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脱走した梅川が全然捕まらずに犯行を重ねている為に、マスコミが脱走した時の様子を取材していると、フジコと霧島刑事の会話を聞いていた一般人に気付いて取材した。
マスコミは、“犯人一味にからかわれた警察に逮捕は無理か!?”と報道した。
フジコと直接話をした霧島刑事は上司から、「お前は犯人一味と話をして全く気付かなかったのか?まさかセーラー服に惑わされたのか?それでも刑事か!バカ者。お前のお陰で犯人一味にからかわれたと報道されて警察は笑い者だ!警視総監から直接小言を言われて署長もご立腹だ!お前の責任で逮捕しろ!逮捕できなかったら、犯人一味の指摘通り、お前は刑事として失格だ。もう一度警察学校で勉強して交番巡査からやり直せ!それが嫌なら君は解雇だ!」と怒鳴られた。
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霧島刑事は梅川の写真とフジコのモンタージュ写真を作り、全国に指名手配した。
しかしUFOにいる梅川は一向に捕まらず、フジコが別人に変身して地上に降り、フジコの近くの立体映像をUFOに映し出したので、梅川はUFOから一歩も出ずに、恰も地上にいるような感覚になっていた。
食事などは梅川の指定した物を持ち帰りで購入したり、コンビニ弁当などを購入したりしていた。
夜はバーチャルリアリティで豪華クラブなどを映し出し、フジコを梅川好みのホステスや人気タレントに変身させて相手をさせるなどして、毎日宝石や札束に囲まれて王様気分を満喫していた。
梅川は、アルコールは豪華なものを購入できるが、豪華レストランの食事は持ち帰りができない為に、昼と夜の違いが不満でした。
指名手配されている為に外食ができず、UFOを空き地に着陸させて、たまに豪華レストランの出張シェフを呼んで、昼も豪華な食事をする事もあった。
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ある日、出張シェフの一人が、フジコは別人に変身していた為に気付きませんでしたが、梅川が指名手配されている事に気付いてレストランに戻ってから警察に通報した。
直ぐに霧島刑事が数名の警察官とパトカー数台で現場に急行したが、そこは只の空き地でした。シェフも何がどうなっているのか解りませんでした。
結局、梅川の目撃証言は証明されず、シェフはいらいらしている霧島刑事に怒られながら、「今後、このような悪戯をすれば軽犯罪法違反で検挙します。」と警告された。
次回投稿予定日は、5月16日です。




