第一章 テレジア星人、地球へ
把握:(はあく)完全に理解すること。
勿論:(もちろん)議論の余地がない。
指紋:(しもん)指頭の掌側面にみられる皮膚隆線のなす紋理。その形態は全く同じものは二つとなく、また一生不変であるところから個人の識別に利用される。
逸早く:(いちはやく)機会をのがさないで真っ先に。他に先がけてすばやく。
殆ど:(ほとんど)すっかりそうなるわけではないが、事態が進んでそれに非常に近い状況になるさま。
強靭:(きょうじん)しなやかで強いさま。柔軟でねばり強いさま。
傍:(そば)近くの所。かたわら。
操る:(あやつる)巧みに操作する。うまく取り扱う。
真面目:(まじめ)誠実であること。まごころがこもっていて、飾りけがないこと。誠意があること。
取柄:(とりえ)とりあげて用いるべきところ。格別によい点。えて。長所。
優等生:(ゆうとうせい)成績および品行の特にすぐれた学生・生徒。
凄い:(すごい)あまりにその程度がはなはだしくて、人に舌をまかせるほどである。
崇める:(あがめる)尊いものとして扱う。尊敬する。敬う。
由来:(ゆらい)物事が、それをもとにして現れ出ること。ことの起こり。
夫々:(それぞれ)二つ以上の事物や人をさし示す。かれこれ。だれかれ。
衝突:(しょうとつ)二つ以上の物がぶつかり合って短い時間内に大きな力を及ぼし合うこと。
寸前:(すんぜん)ほんのちょっと前。直前。空間的な場合にも、時間的な場合にも用いられる。
機敏:(きびん)機に応じて、心や身体をすばやく働かせること。すばしこいこと。
油断:(ゆだん)気をゆるすこと。たかをくくって、注意をおこたること。ぬかりがあること。不注意。
隕石:(いんせき)流星が大気中で燃え尽きないで地表に達したもの。
干渉:(かんしょう)二つ以上の同種類の波動が、同一地点で合ったとき、両者が重なって互いに強め合ったり弱め合ったりする現象。
破損:(はそん)破れ損ずること。こわれること。
免れる:(まぬがれる)危険なことや不利なことなどから、都合よくのがれられて、そのことに関わらないですむ。具合よく、好ましくない物事に出会わないですむ。
爆発:(ばくはつ)急激に進行する化学反応により、生成ガスの体積が瞬間的に著しく増大し、熱や爆鳴音、強圧などを生じること。
即死:(そくし)即時に死ぬこと。事故などで、その場ですぐ死ぬこと。
捻じ曲げる:(ねじまげる)ねじって曲げる。ねじるようにして曲げる。
吸収力:(きゅうしゅうりょく)吸い取ること
遥かに:(はるかに)程度がはなはだしいさまにいう。ずっと。
気絶:(きぜつ)一時的に気を失うこと。打撲や精神的ショックなど、主に外的原因による。
搭載:(とうさい)兵器を車両、船舶、飛行機などに装備すること
音信不通:(おんしんふつう)便りがないこと。
捜索:(そうさく)さがしもとめること。さがしたずねること。
何処:(どこ)どの場所。
警戒:(けいかい)思いがけない出来事が起こらないように用心すること。不測の事態に対して、注意や準備を怠らないこと。
拉致:(らち)誘拐
行方不明:(ゆくえふめい)ゆくえがわからないこと。どこへ行ってしまったかわからないこと。
簡単:(かんたん)あっさりしていて手数のかからないようす。てみじか。簡略。
矢張り:(やはり)予期した通りの事態であるさま、順当な事態であるさまを表す語。
離脱:(りだつ)脱けて離れること。分離し、脱退すること。
アンドロメダ星雲に、テレジア星という土星の軌道と同程度の巨大な星があった。
テレジア星を支配しているのは、原生植物から進化して知能を持ったテレジア星人でした。
テレジア星では巨大な重力で光も曲がり、光では正確に物事を把握できない為に、テレジア星人は重力の影響を受けない意思波なるものを体から出して、その反射波を体で感じる事により外部の情報を入手していた。
人間の目のように、体の一部で感じる訳ではないので、全方向同時に確認可能でした。
光を感じる訳ではない為に、暗闇でも昼間と同様に外部の情報が入手可能でした。
意思波の強弱を調整する事により、物体の表面は勿論、その内部も透視可能でした。
人間は顔で人物の特定が可能なように、この意思波は指紋のように各自異なっていて、これで各個人の特定が可能でした。
その科学力から、この意思波で各種機械を操作可能にしていて、これが鍵の役割も果たしていた。
肉体的に強く、寿命は約五千年。自分の体内を透視する事により、病気を逸早く発見して対応可能な為に病死はなく、事故や老衰以外で死亡する事は殆どなかった。
例外として気絶した場合には、栄養摂取が不可能となり死の危険性があった。
“天は二物を与えず”と言いますが、彼らも例外ではなく、肉体的には強靭ですが精神的には弱い部分があった。
それは、命の恩人からは離れられなくなり決して逆らえませんでした。
何らかの目的での指示以外は、いつも傍にいた。
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こんなテレジア星人の仲良し女子高生、電気を自由に操れるスケバンの“アヤメ”、あだ名は“女神ちゃん”。
温度を自由に操れる少し大人びた“サクラ”、あだ名は“アネゴ”。
肉食とは思えないほど攻撃力は弱いですが、真面目だけが取柄の優等生“フジコ”、あだ名は“博士”。
この仲良し三人組が、アヤメの家が豪邸なので、よく集まっていた。
アヤメの父は政治家でリッチでしたので、出張や接待などで家をよく空けていた。
アヤメの母ヴィーナスは、その間に趣味の宇宙旅行に宇宙戦艦アイアック号で出掛ける事が多く、留守勝ちにしていたのもここに集まる要因の一つになっていた。
ヴィーナスが以前地球を訪れた時に、桁外れの凄い力を見て地球人は彼女の事を女神様として崇めたらしいので、これがアヤメのあだ名の由来になっていた。
このように、肉食のテレジア星人には攻撃力がありますが、それ以外にも色んな能力を持ったテレジア星人もいた。
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こんな仲良し三人組が、卒業記念旅行に出掛けた時に、母船から近距離用小型UFOに夫々乗り込んで、ふざけてジグザク飛行や衝突寸前まで近付けたりして遊んでいた。
意思波で操れる為に機敏な動作が可能で、油断して周囲をあまり気にしていなかった。それで接近して来た巨大隕石に気付くのが遅れた。
最初に気付いたのはフジコで、その隕石があまりにも大きく凄いスピードでしたので驚いた。
「危ない!」と叫んだが既に遅く、衝突寸前で焦ったアヤメは避けようとしたが、意思波を取り乱してしまいサクラのUFOと衝突してワープエンジン同士が干渉して事故が発生した。
ワープエンジンの破損は免れた為に爆発もせずに即死は免れた。
この事故で空間が捻じ曲がり、アンドロメダ星雲から地球まで一瞬にして飛ばされた。
空間を飛び越える時のショックは加速Gの吸収力を遥かに超えていた為に強いショックがあり三人とも気絶した。
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小型UFOには近距離用通信機しか搭載されてない為に、テレジア星では彼女らと音信不通になり、アヤメの母ヴィーナスが親の代表として警察へ捜索願を提出した。
警察が捜索すると、アヤメたちの使用していた小型UFOの母船である戦闘艦を発見して艦内を捜索した。
その結果、戦闘艦発進時の記録から、小型UFOが三機不明である事が判明した。
戦闘艦の記録データー等を調べると、三人共夫々小型UFOに乗り込み、何処かへ遊びに行った事までは判明した。
小型UFOは悪までも近距離用ですので、戦闘艦の近くの星や宇宙空間等を捜索したが発見できなかった。
念の為に少し遠方まで捜索したが、小型UFOではアンドロメダ星雲から出る事は不可能なので、銀河系までは捜索しなかった。
テレジア軍は常時侵入者などの警戒を行っていて、その記録から侵入者も確認されなかった為に拉致は考えられず、三人とも行方不明扱いにされた。
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捜索願を警察に提出したヴィーナスにその報告があり、サクラとフジコの母に伝えて、宇宙戦艦アイアック号でアヤメを捜しに宇宙へ出た。
警察はアンドロメダ星雲しか捜索していなかった為に、アンドロメダ星雲を簡単に捜索して政治家の主人に、「アンドロメダ星雲を簡単に捜索しましたが、矢張りアヤメ達を発見できませんでした。これよりアンドロメダ星雲を離脱します。」と連絡して、アンドロメダ星雲の外へ捜しに行った。