決戦 14
「それにその為にワシは動いたのだからな」
思わせぶりなゴンザレス将軍の言葉にオーギュストは苦笑いを浮かべた。
「それにしてもお気に入りの傭兵……吉田とか言いましたか……同行していないんですな」
「奴は別働隊を指揮するということで動いている……ラスコーの坊やが逃げ出さないようにな」
ゴンザレス将軍の言葉に一瞬オーギュストは安堵の表情を浮かべた。
「その顔はなんだね……ラスコーが生き残るのを歓迎しているような……」
「そ、そんなつもりはありません。ただ……子供一人に別働隊を動かすほどでは……」
「貴公がそういう顔をするから別働隊を動かしたんだよ。ラスコーが生きている限りワシは枕を高くして眠れないからな」
ゴンザレス将軍の言葉に心の奥を見透かされたたと言う様にオーギュストは黙り込んだ。
「それにしても……貴公のご自慢の息子は相変わらずワシが嫌いと見えるな……決戦を前にして本国へ立ち戻るとは……」
「あいつには厳しく言っておきます」
「厳しく言って聞く相手か?まあ良い」
そう言うとそのままゴンザレス将軍は身を翻した。
「貴公の戦いぶり……楽しみに見させてもらうよ」
「承知しました。ご安心ください。必ず紅籐太を討ち取ってご覧に入れます」
オーギュストはそのまま満足げに頷きながら去っていくゴンザレス将軍を居た堪れない表情で見送っていた。




