地の精霊2 潜入捜査でイヤーン!
~ここまでのあらすじ~
地の精霊キャンベルを利用して金儲けをする精霊犯罪者ペム。しかし彼とキャンベルとの関係は、普通の召喚師と精霊との関係ではないようだ。
今回は駆け出し召喚師リオと精霊たちがこの事件に巻き込まれていく過程です。
はたしてどうなっていくのか。
それでは、地の精霊2 どうぞ!
夜もいい加減な時刻になって訪ねてきたのはリオの師である女召喚師のギムレットだった。
「は、はい。いま呼んできます」
突然の訪問に面食らったカイーナだったが、とりあえず彼女の目当てのリオを呼びに行く。
ギムレットがリオの家に訪問することは滅多にない。それも夜に真剣な面持ちで表れるとはただ事ではないようだ。その当然の疑問をたずねるエミー。
「どうしたんですか? こんな夜になって」
「ああ、ちょっとな。お前たちにも話がある、みんな集まってほしい」
わけも分からずひとつのテーブルに集められるリオと精霊たち。ダリアの灯した炎の明かりが揺れるなか、ギムレットが話し出す。
「こんな時間にすまない、実はお前たち全員に話があってきた。急ぎの、だ」
ただ黙して彼女の声に耳を傾ける他ない一同。彼女の口調からは何らかの事件が起こっていることがうかがえる。
「・・・最近、この街の金や宝石の流通量が短期間のうちに急増しているんだ。一度に大量の貴金属を換金所や宝石商に持ち込む連中が現れた」
「それが何か?」
状況がさっぱり呑み込めないリオが口をはさむ。
「話しは最後まで聞け。・・・それで、どうやらその連中には精霊がかかわっているらしい。背後に精霊犯罪を得意とした召喚師がいるようだ」
精霊犯罪とはその名の通り精霊を使って行なわれる犯罪のことだ。精霊が持つ人間には無しえない驚異の力を使って治安を荒らしたりあるいは人を殺めたりする犯罪行為は召喚師のみならず世界的にもタブーとされるもので、それを行ったものは規模の大小、国家の如何に問わず厳しく罰せられる。
「私はその調査に協力するように命じられ、先日やつらの拠点と思われる場所を突き止めた。それがここだ」
彼女は持ってきた街の地図を広げその中のある一点、郊外の高級住宅地のひとつに指を置く。
「ペムという男の屋敷だ。ここから一度に大量の貴金属を持った連中が頻繁に出入りしている」
「・・・物証はあるのですか? その話だけでは精霊がかかわっているという証拠がありませんが」
エミーの言うとおり、これだけでは単なる大量換金に過ぎず精霊がかかわっているということにはならない。しかしその言葉を待っていたかのように、ギムレットは小石くらいの純金の塊を取り出した。
「こいつを見てくれ、どう思う?」
炎の明かりに照らされた純金は、鏡のような滑らかさでゆらゆらと臙脂色の光を放っている。そしてそれを取り出した瞬間、カイーナ、ダリア、エミーの精霊たちの感覚は鋭敏にすぐさま反応した。
「・・・精霊の気配がします」
「うん」
「かなり濃い気配、いいえこれはもはや匂いです」
人間にはただの金の塊にしか見えないが、精霊たちはそこから彼らに共通する気配をしっかりと感じ取っていた。色濃く残された力の痕跡は、この金が精霊によってもたらされたものであることをはっきりと暗示している。
「これが証拠だ。精霊によって造られた金や宝石が街にあふれ始めている。どうにかしなければいけない」
「それで・・・いったい僕たちに何を?」
ギムレットはにやりと両の口角を引き上げて
「ふふ、それはだなぁ・・・」
およそ善良とは言い難い雰囲気を纏いつつ、不気味に語りだすのだった。
~ ~ ~
「引き受けなきゃよかった・・・」
広大で豪華な屋敷の床をひたすらモップがけするリオ。長らくまともに清掃などされていなかったようで、大理石にこびりついた汚れは相応の力を入れないと決して落ちることはない。
誂えられた服装こそ、いっぱしのボーイかウエイターのような立派なものだが、作業内容を考えるといっそ作業服の方がよほど楽だっただろう。
彼は今、ギムレットの作戦でペムの屋敷の使用人として潜り込んでいる。いや、彼だけではない。水の精霊カイーナと風の精霊エミーも同様にこの屋敷の中にいる。
ペムは貴金属を換金するのに人手を使う。ということはもっと効率的に換金しようと考えた場合、必ず素性の割れない「いついなくなってもいい人材」を欲しがるはず。
そう見込んだギムレットの作戦が、急に金回りの良くなったペムに取りつく小悪党に紛れ、人身売買業者のふりをして近づき、屋敷に内通者を送り込んで現場と精霊を一挙に押さえようというものだった。
彼女の口車にペムが見事に反応してくれたおかげで、彼らは堂々と屋敷内を探索することができるというわけだが、当然この作戦はかなりの危険をともなう。もし作戦がバレてしまったら命の保障はないし、相手が精霊犯罪者である以上、カイーナもエミーもただでは済まないだろう。
鏡のようにキレイになった床に映る自分の顔を繁々と眺めながら、リオは地の精霊がどこにいるのかよりもまず、いざというときの逃げ道を探すことの方が先決だなと冷静に考えていた。
「いったいどういうことですか!?」
リオがいる広間から続く廊下の先。そこからエミーの声が聞こえてきた。彼女にしては珍しく感情的な大きな声だ。
何事かと彼は慌てて声のする方へと向かい、声のする一室のドアの隙間から中を覗いた。
「まずこの服装についての説明をお願いします。貴方が私たちに何を求めているのかを!」
防衛ラインぎりぎりのフリルスカートと腿の途中で切れている黒いストッキング、穴の開いた胸元ばかり強調して機能を果たさない特製の上着とエプロン、趣味で着けていると言わんばかりの無意味な白いカチューシャと手首の装飾品。一見いわゆるメイド服の類のようだがそれらは明らかに卑猥な雰囲気を醸し出すもので、本来の目的とは全くの別種業務を連想させうる代物。
エミーの声は、それらを身に着けたうえでペムを前に抗議の声を上げている最中のものだった。
「いやぁいやぁ、どうしたんだいエミーちゃん?よーく似合ってるじゃないか」
「そういう問題じゃありません!」
ニタニタと脂ぎったなんともいやらしい微笑みで、上から下まで二人を舐めまわすように眺めているペム。その鼻息が荒いのは肥満のせいだけではないようだ。
「あの、こんな服装じゃ動きにくいんです。その・・・見えちゃって」
胸元とスカートに手を当てもじもじしているカイーナも抗議する。
見える、とはつまりそう言うことだ。彼女の場合は豊満な胸元に上着が引っ張られ、それにつられてスカートもエミーより少し上がってしまう。必然的に、立っているだけでかなり気を使う危ない姿となっている。
「そうかい、ん~? あぁカイーナちゃんはエミーちゃんより大きいからなぁ、でも気にしなくていいよ、グフ」
「そういう問題じゃないんですってば!」
エミーはカイーナに比べて幾分控えめであるためその問題はないようだが、やはりまともな使用人のする格好ではない。抗議の声は空しく響くばかりだ。
「さあ、君たちはまずお部屋に案内してやろう。仕事は追々、覚えればいいさ・・・フヒヒヒヒッ!」
こりゃマズイことになった。
一部始終を見守っていたリオは内心、改めて引き受けたことを後悔する。彼女たちが精霊であるとはいえ相手は精霊犯罪者。事が起こりそうなときでも、力を使って危機を必ず回避できるとは限らない。
「何かあったら恨みますよ師匠・・・はぁ」
先行きに大きな不安を感じつつも、今はため息しか出ないリオであった。
おひさああーーー!!!!ごめんねーーーーーーーwwwwww
いや学校がね、ほら色々とさ・・・ え、言いわけ乙? そうだね、冬休みだねwww
はい、というわけでようやく投稿の「地の精霊 2」 いかがだったでしょうか。
書いている時の感想としては メイド服の描写はめんどくさい これにつきるww女子の制服はあるけどメイドなんて服着たことねぇしwwww
あ、あと断っとくけどそっち系の描写は出てこないよ それこそ書けんわww
健全クリーンでお送りするこのお話、これからもお付き合いしてもらえるとうれしいです。
次回は地の精霊キャンベルと、カイーナ&エミーが中心となる予定。 主人公? そんなものは飾です、エライ人にはry
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