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『ボトルの穴』 ~一夜限りの“ドラァグクイーン”~

先日、とあるバラエティー番組で、男性芸人や男性タレントの面々が『女装』に励み、それを審査するというのをやっていた。

もはやこの企画はシリーズ化しており、毎度優勝するのがあの「杉浦太陽」。

「ウルトラマンコスモス」や辻妻でもお馴染みの彼じゃが・・・ヤバイねぇ~・・・ホンマ惚れそうなくらいじゃわ。

夜中に流川(広島の繁華街)でおったら思わず声をかけそう(笑)なくらい、「オンナ」じゃね(笑)


じゃけど、この『女装』ってのは、男は一度でも「やってみたい」という願望はあるんじゃないか・・・と思うんじゃけど・・・

現に俺は、やってみたい。 あの時も病みつきになったしのぉ。。。。。。



。。。。。。。。。20数年前。とあるBARで働き始めた頃。

俺はまだまだ裏方で、グラス洗いや清掃。チャームの盛り付けなどがメインだった。

ある日。ひとりの常連客のオヤジがこうつぶやく。

「ほいじゃけどマスター。ここはええ店じゃが、色気がないよのぉ~」

「ウチはそういう店じゃないよ」

「じゃけど、少しくらい色気ある。可愛いねーちゃんが入ったらええじゃろうが、のお。あんな若い兄ちゃん入れんでも・・・」

俺を指差す。正直俺は「ムカッ!(」

酔いが廻るにつれ、さらにその煽りはしつこくなっていった。

「やっぱりオンナよ! オンナ入れんと!! オンナ! オンナ!!」

「やまかしいっ、今日は帰れっ!!!」

マスターは、はっきり言って「商売」というタイプではなかった。

客とのケンカもしょっちゅうじゃったし、ホントに「職人」「我が店」「俺スタイル」を全面に出している方であった。

店もかなり殺風景じゃったけど、酒のこだわりは今でもマスターを超える方に出会った事はない。

それくらい「俺スタイルの店で、俺のこだわりを楽しむ客にだけ飲ます!」で貫き通されていた。


そんなマスターではあったが、たまにギョッとする遊びゴコロを出す事があった。

そういう時は決まって、子供のようなイタズラな目と、大人の陰湿な笑いの同居の実に複雑な表情を・・・ほら来た!!

「ソウタ!来週末。○○さん(さっきの客)がまた来るけえ、色気で行くで!」

「・・・・・・!?!?!?」

「楽しみにしとれよ( ̄∀ ̄*)ニヤり☆」

その楽しみは、俺に対してか、○○さんに対してか・・・いや、マスターが一番楽しんどんじゃないんか??


翌週末、バイトの日。嫌な予感のまま、店出勤。

マスター以外にも、他のBARでバーテンダーをやっていらっしゃる方が来ていた。

「○○をギャフンと言わせるけーの! ソウタ、これに着替えや!!」

差し出されたのは、チャイナドレス!!!

予感は当った・・・ギャフン!は俺じゃんかっ!

生まれて始めてのチャイナドレス。じゃけど・・・、俺の身長で着れるかっ!

若干細身の俺なので横は大丈夫じゃったが、足が、足がっ!!

スネ毛丸出しの足が、バカボンのようにスカートの下からそそり出ておるっ!

「カウンター内じゃったら足が見えんけえ、ええじゃろっ(笑)」

そんな問題かっ???

そして、さらに・・・他BARの先輩に、なんと・・・化粧をさせられたっ;;;;;

じゃけど・・・自分で言うのも何じゃが、俺の目は昔から良く「女の子目」と言われる事もある位、二重でまつげが長い・・・ので、なかなか映えた。

髪は当時は金髪で、後ろをくくっていたのでそれも下ろされ・・・

座っておれば、なかなかの存在であったかもしれん。じゃけど立ったら・・・181cmの巨大オカマであるっ(笑)


その日は・・・ホントに盛り上がった!!!

来るお客さんお客さんが俺を見て、一瞬は女の子かと思ったらしい・・・がやっぱりすぐにわかった。

じゃけど、店の雰囲気がなんか今日はいい、ゆー事で実に皆陽気じゃった。

寡黙なマスターも笑っていた。今までの店は何なんじゃ??

特に、女性のお客さんにはとてもウケが良く、

「私がもっと綺麗にしてあげる!」 と、さらなるメイキングを施された。

終いには俺は妖怪人間ベラのようになっとったような気がする。

実はその日はかけもっていたコンビニバイトの日でもあったんで、顔だけ洗って店に行くと

「オマエ、何化粧しとんなら!!」

と、派手に怒られた。同じエリアの店でも、こちらは怒られるのか??


実は、この日、例の○○さんはBARに来られなかった。

先週、マスターとやりあった事で気分を害したのか、それから一度も来る事がなかった。

おっと、俺は何のための「女装」じゃったんじゃろうか????

翌日からもまた店は殺伐とした運営に戻っていた。

先日来られたお客さんも「もうアレはやらんのん??」と問い掛けてこられたが、「一夜きりのお遊びよ」とマスターは言い放っていた。

じゃけど・・・・俺は俺で、正直病み付きにはなりそうじゃったんじゃが・・・(笑)

それにしても、トイレの時は往生こいたのぉ・・・女性の大変さがわかった。




[ピンク・レディ]


レシピ


ドライジン 3/4

グレナデンシロップ 1/4

卵白 1個

レモンジュース 1tsp

ライムスライス 1切


それぞれの材料を強めにシェークして、シャンペン・グラスに注ぐ。


1912年、ロンドンで大ヒットした舞台「ピンク・レディ」の打ち上げパーティーで、主演女優のヘーゼル・ドーンに捧げられたカクテル。

グレナデンシロップの甘さと、卵白のなめらかさが今もあの当時と変わらない人気を誇る。

ドライジンの量を半分にして、残り半分をブランデーにする技もある。

この方が味に深みが出るが、残念ながら美しいピンク色は半減。




あれから女装する機会はモチロンなかったが、2年前の職場で、もはや息子世代分のバイト君達と揃って、遊びで化粧しあって、カツラも用意して「顔女装」を20年ぶりに楽しんだ♪

イケメンのスタッフが多かったんで、また彼らが似合う、似合う。

もはや俺は叶う術ナシ! あぁ~、20年前に対決したかったのぉ。





女装は、若いうちにやっておくのがオススメです(笑)

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