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第1話 堕ちた天使
冷たい…
今はそれしかわからない
俺がだれで、ここがどこなのか
何も分からない
いつからこうなったかもわからない
「………」
「……………」
声が聞こえる
誰かそこに居るの?
「しゃ、喋ったぞ」
「生きてるみたいだな…」
右手は動かせた
それを認識すると同時に俺は気を失った
次に目を覚ましたのは小屋の中だった
昨日のことははっきり覚えている
…
だめだ
名前は思い出せない
「あ、起きた。おかーさーんあの人起きたよー」
子供の声だ
「あらそう」
女の声もする
「あの…大丈夫ですか?」
「あ…は、はい」
「よかった。でも不思議ですよねー」
「なにが?」
「あなたですよ。急に空から人が降ってくるんですもの」
空から降ってきた?
「俺が…ですか?」
「はい。でもよかったですね。藁の上に落ちて」
確かに…
そこに落ちてなかったら俺は…
「あの…外に出たいんですが」
「大丈夫ですよ。立てます?」
「はい」
俺はゆっくり立ち上がりドアを開け外に出た